『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』は「やめられない、とまらない」を地で行くダークヒューマンドラマ【韓ドラオタクおすすめの1本】
“国民の婿”として愛された男が“クズ・オブ・クズ”を演じる衝撃作!
韓国ドラマ大好き!なライターがおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。
苛烈ないじめによって心身に癒えぬ傷を負ったヒロインが、18年後、加害者の同級生たちに復讐の牙をむく様子を描いた『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』のあらすじと見どころを紹介します。
『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』
全16話
出演:ソン・へギョ、イ・ドヒョン、イム・ジヨン、パク・ソンフンほか
Netflixシリーズ「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」独占配信中
あらすじ
ムン・ドンウン(ソン・へギョ)は高校時代、裕福な家の娘パク・ヨンジン(イム・ジヨン)を中心とした特定の同級生らから壮絶ないじめを受けていた。ヨンジンの母親は育児放棄の状態で、先生に訴えても逆に暴力を受ける始末。その後、ドンウンは高校を退学。ヨンジンへの憎しみを抱え、働きながら勉強し大学に合格する。ある日、栄養失調で倒れたドンウンは病院で研修医のチュ・ヨジョン(イ・ドヒョン)と出会い、囲碁を教えてもらうことに。そして教師になったドンウンはヨンジンへの復讐を開始する。
ここが見どころ
いじめを受けたヒロインによる壮絶な復讐物語。痛いまでにリアルで緻密な台本と、没入感を倍増させる俳優たちの類まれなる演技によって、まさに「やめられない、とまらない」を地で行く作品です。
本作でソン・へギョ演じるムン・ドンウンを苛め抜くチョン・ジェジュンを演じているのがパク・ソンフン。ええ、『涙の女王』で、ヒロインにとんでもなく執着するサイコな投資家ユン・ウンソンを演じたあの彼が、本作でも悪役を熱演!
「悪役を演じる時は楽しみながら演っている」とインタビューに答えるほどに憎々しい演技を披露してくれたパク・ソンフンのチッケム(ファンカメラ)目線で、本作のみどころを紹介します♡
無表情なヒロインによる壮絶な復讐劇
高校時代に苛烈ないじめに遭って身体と心に消えない傷を負ったドンウンが、18年後、傷を負わせた同級生たちに復讐の牙をむく、という物語です。
本作でダークヒロイン・ドンウンに扮するのがソン・ヘギョ。大ヒット作『太陽の末裔 Love Under The Sun』(韓国では最高視聴率41.6%! すごっ!)などに主演して“ラブロマンスの女王”の名をほしいままにしてきた彼女が、今作では笑顔を完全に封印。虚無と言ってもいいほどの無表情で加害者たちを地獄へと突き落としていきます。
復讐のエッジの効いた容赦のなさは、いじめの凄惨さに比例しています。
ドンウンの高校時代、同級生の男女5人組に苛烈ないじめを受けていました。暴言・嫌がらせ、体中を殴る蹴るは序の口。高熱のヘアアイロンで火傷させるまでにエスカレート。いじめどころか犯罪レベルの所業なのに、加害者たちは学校や警察、そしてドンウンの親にまで手を回して、被害者であるドンウンの訴えを財力と権力にモノを言わせて封じ込めるのでした……。
しかも、その後の加害者たちはお天気キャスターになって建設会社の社長と結婚したり、親のゴルフ場を引き継いだり、画家デビューしたり、CAになったりと、キラキラ陽キャライフを満喫。一方ドンウンは、18年もの間、夢も希望も失って、長袖の下に無数の傷跡を隠しながら苦難の道を孤独に歩き続けてきたわけですから、復讐に余念なし。
そんなドンウンの目的はたったひとつ。“加害者連中に社会的な死を与えること”。ゴミ箱を漁ってでも弱みを掴んで、加害者同士の対立を煽って、彼らが大切にしているものをひとつ、すべて取り上げていきます(震)。
「目には目を、歯には歯を、骨折には骨折を、傷には傷をもって償う。
そんなの、あまりにもフェアプレーでは? 皆さん」
魂に刻み込まれた復讐心に則って、ビシッと宣戦布告するドンウンにしびれます!
“クズ・オブ・クズ”のパク・ソンフン
敵役のタチが悪いほど、復讐劇は深まるもの。
実際、パク・ソンフンの演技があまりに自然すぎて、役名のチョン・ジェジュンが本名だと思われることもあったとか。
それでは、ジェジュンは、どんなキャラクターだったのでしょうか。
ドンウンをいじめる5人のうちのひとり。裕福な家庭に生まれ、ブティックを経営していたり、親からゴルフ場の経営を任されるなど、金銭的に不自由したことのない人物。しかし、少しでも気に入らないことがあるとすぐキレて、相手を殴るという救いようのない金持ちのドラ息子なのでした。
さらにいじめ仲間のパク・ヨンジン(イム・ジヨン)とも肉体関係を持っているわ、三十代になっても同級生をパシらせるわ、CAやお店のスタッフをアゴでこき使うわの典型的な利己的横暴男。ちょっと思い返してみても、いいところがひとつも見つからないくらいのクズ・オブ・クズでした!
これまた大ヒット作である『涙の女王』のウンソンを演じた時は、孤高の成り上がり覇者にしか出せないキリッとした雰囲気が感じられたパク・ソンフン。しかし、本作のジェジュンは、労なくして親のお金&仕事&人脈で社会サバイブしていているせいか、全体的に退廃的な空気を纏っていました。そんな2人に共通するのは、愛する人の心を手に入れることができないという、悲しみと切なさ。愛憎入り乱れ過ぎて、周囲の人間すら巻き込んでの七転八倒からの“切なさたたえターン”は、パク・ソンフンにしかできない演技です。
“国民の婿”と呼ばれた時代もあるパク・ソンフン
パク・ソンフンのデビューは2008年。演劇メインで活動していた彼がブレイクしたのはデビューから10年後の2018年のこと。『たった一人の私の味方』で知名度が急上昇し、数々の新人賞を受賞。“国民の婿”と呼ばれ、称号にふさわしく、多彩なジャンルの作品でも主演を務めています。スヨン(少女時代)と共演したラブコメ『ラブ・パッセンジャー』ではクズ度ゼロ、ツンデレ100%が妙にツボにハマりますし、サスペンスコメディ『誘拐の日』では誘拐犯の主人公を追う刑事役を熱演。徹夜続きのはずなのに清潔感と気だるい色気を漂わせるパク・ソンフンの居住まいは、徹夜明けだというのにダンディです。
ちなみに、12月26日配信予定の世界的ヒットシリーズ『イカゲーム』シーズン2への出演も決定。現時点(11月22日)で悪役を演じるかどうかは不明ですが、既に公開されている映像から、黒髪のボブヘアに、アイラインとピンク色のリップを塗った姿が確認されているので、かなり斬新なキャラクターであることは間違いないようです。
襟足長男からボブ男へと華麗にチェンジするパク・ソンフンをお楽しみに!
作品概要
『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』
全16話
出演:ソン・へギョ、イ・ドヒョン、オム・ジヨン、パク・ソンフンほか
Netflixシリーズ「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」独占配信中
Kカルチャー・旅・お酒・漫画・音楽・スポーツ観戦好きのライター。ドハマりしたK沼が旅沼に直結し、年間十数回は海外へ。マイブームは「海外の大衆食堂をめぐること」。2023年は釜山&ソウル(韓国)、バンコク&ブリーラム(タイ)、ホーチミン&ハノイ&ダラット(ベトナム)、コロンボ(スリランカ)、リヤド&ジェッダ(サウジアラビア)で爆食。2024年はソウル、ソウル、台湾、ソウルへ。さらに東アジア最大のレインボーパレードである、台湾LGBTプライドパレード「臺灣同志遊行」にも参加。