12星座全体の運勢

「風通しのよい真実味」

11月7日の「立冬」を過ぎると、木枯らしが吹き始め、日に日に冬めいてくるようになります。 

まだまだ晩秋の装いが色濃く残っている時期でもありますが、「雪中花(せっちゅうか)」の異名をもち、雪の中でも香り高い水仙が咲き始めるのもこの頃。そんな中、11月15日に迎えていく今回のさそり座新月のテーマは「真実を告げること」。 

それは世間一般や他者のリアリティーへ順応することや黙認することを拒んで、自分本来の波長にとどまり、自分のことを正確に認識してもらうよう、相手や周囲に要求していくこと。 

平安時代末期に中国より渡来した水仙は、室町時代になって一休禅師が『狂雲集』で「美人ノ陰ニ水仙花ノ香有リ」とエロティックなもののたとえに詠んだことで知られるようになりましたが、和歌にはほとんど詠まれていません。それは都からはるかに遠い辺鄙な海辺や岬などにひっそりと咲いていたから。 

しかしこれからの時代、このように水仙に例えて真実を語る人たちの存在は、ますます隠しきれないものとなり、互いにゆるやかに連帯しては離れ、つながっては適切な距離をとり、といったことを繰り返していくでしょう。そして今回の新月は、多くの人にとって、そうした風通しのよい関係性へと近づいていくための大切な一歩となっていくはずです。

魚座(うお座)

今期のうお座のキーワードは、「弱いものに従う」。

魚座のイラスト
近年の欧米では、人間をキリスト教―特にプロテスタントの考えるような“強いもの”ではなく、“弱いもの”と見なして、弱者の権利を助けるイスラム教の考え方に共感を持つ人々が増えているという話を聞いたことがあります。 
 
こうしたイスラム教の考え方への見直しは、老人の人口比率が増大している他、障害者だけでなく社会にさまざまな「弱者」が再発見されている現代日本においてもやはり大変重要なトピックでしょう。 
 
例えば、ケアということを「支える」という視点からだけではなく、「力をもらう」という視点からも考えていく上で、イスラム教の開祖である預言者マホメットの言行録『ハディース』の一節である「力強いとは、相手を倒すことではない。それは、怒って当然というときに心を自制する力を持っているということである」という言葉は大いにヒントを与えてくれるように思います。 
 
怒って当然。つまり、相手の理不尽な権利主張を無視して、自分の主張や要望をそのまま無理やり押し通しても構わないだろうという判断に「必然性」が感じられる時というのは、必ずその背後に「強いものに従うべき」という判断の後押しが存在します。 
 
しかし、必然であるということは、そうしかしようがないという意味で、そこに「自由」の余地はありません。だとすれば、それを裏返して、「弱いものに従う」という判断にこそ、「自由」があると言えるのではないでしょうか。 
 
「心を自制」して、あえて自分を空白にする。その上で相手の存在の内側へと自分を巻き込ませてみること。結果として、相手からこちらの空白へと何かが流れ込んでくる。それが「力をもらう」ケアの在り方といえます。 
 
今期のうお座もまた、自分のペースに相手を巻き込んだり、必然性の文脈をつくろって従わせるのではなく、あえて自分を差し出し、巻き込まれてみることで、自由になっていく。そんなケアの倫理へと開かれてみるのはどうでしょうか。 
 

参考:黒田寿郎訳『40のハディース』(イスラミックセンター・ジャパン)
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ