30年ぶりの規模で、フォロンの作品が東京駅で見られる!

「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展

東京ステーションギャラリーでは、「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展を、2024年7月13日(土)から9月23日(月)まで開催します。ジャン=ミッシェル・フォロンは、20世紀後半のベルギーを代表するアーティストのひとりです。本展では、フォロンの初期のドローイングから水彩画、版画、ポスター、晩年の立体作品までを含めた約230点を紹介する、日本では30年ぶりの大回顧展です。

アメリカ有力誌も注目した、ベルギーのアーティスト・フォロン

《無題》フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025

《無題》フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025

ジャン=ミッシェル・フォロン(Jean-Michel Folon, 1934-2005)は、20世紀後半のベルギーを代表するアーティストのひとりです。若き日に偶然出会ったマグリットの壁画に感銘を受け、絵画世界に惹きつけられたフォロンは、1955年に移住したパリ近郊でひたすらドローイングを描く日々を送ります。フランスではなかなか芽が出ませんでしたが、作品を投稿したアメリカの『エスクァイア』『ザ・ニューヨーカー』『タイム』などの有力誌で注目され、1960年代初頭にはそれらの表紙を飾るようになります。

《無題》フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025

《無題》フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025

その後、オリベッティ社(イタリア)のグラフィック・デザインを任されたり、ミラノ・トリエンナーレ(1968年)のフランス館で壁画を依頼されたりと活動の幅を広げていきました。続くヴェネツィア・ビエンナーレ(1970年)やサンパウロ・ビエンナーレ(1973年)へのベルギー代表としての参加や、各国の美術館での個展の開催など目覚ましい活躍をみせます。世界中で高い評価を得たその活動は、版画や水彩画、ポスター、文学作品の挿絵や舞台美術など多岐にわたります。

《無題》1983年頃 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025

《無題》1983年頃 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025

色彩豊かで幻想的な詩情あふれるその作品は、一見すると美しく爽やかにさえ感じられますが、そこには環境破壊や人権問題など厳しい現実への告発が潜んでいます。後年手がけた彫刻作品にも、孤独や不安といったそれまでのグラフィック作品に通底するフォロンのメッセージを読み取ることができるでしょう。


本展はフォロンの初期のドローイングから水彩画、版画、ポスター、そして晩年の立体作品までを含めた約230点を、5つの章ごとに紹介する、日本では30年ぶりの大回顧展です。デジタル化やパンデミック、戦争など、社会的に大きな曲がり角にある現代、環境や自由への高い意識をもち、抑圧や暴力、差別などに静かな抗議を続けてきたフォロンの芸術を、いま、あらためて見直します。

章立て
プロローグ 旅のはじまり
第1章 あっち・こっち・どっち?
第2章 なにが聴こえる?
第3章 なにを話そう?
エピローグ つぎはどこへ行こう

「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」の見どころは?

《無題》フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025

《無題》フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025

1.色彩の魔術師
フォロンの作品の大きな魅力は、その美しい色彩にあります。しかし1点の作品に使われる色数は決して多くはありません。限られた色彩を巧みに組み合わせ、グラデーションや滲みなどを駆使することで、奇跡のような美しい世界が創造されるのです。

2.線の職人
プロとしてデビューする前に、ひたすらドローイングに打ち込んでいたフォロン。彼の描く線は伸びやかで躍動していますが、まるでそこに引かれることをあらかじめ決められていたかのように的確で、迷いが少しも感じられません。

3.謎のリトル・ハット・マン
フォロンの作品にしばしば登場するリトル・ハット・マン。今回の空想旅行の同伴者でもある彼はいったい何者なのでしょうか。フォロン自身は「私に似たある誰か」であると同時に「誰でもない」と言っています。じつはよく分かっていないのかも。

4.やさしい悪魔?
フォロンの作品は親しみやすく、爽やかでユーモラス。ついその世界に引き込まれてしまいます。でも油断は禁物です。やさしい微笑みの裏には、静かな怒りや厳しい現実が隠されているかもしれません。

5.矢印と迷宮
フォロンは矢印にとりつかれていました。町中で矢印を見かけると写真に撮り、作品にも至るところに矢印が描かれます。ところがその矢印ときたら、いったいどこを指しているのやら。矢印に従って進むと、かえって迷宮に入り込んでしまうようです。

「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展 開催概要

東京ステーションギャラリー

会期 2024年7月13日(土)〜2024年9月23日(月・振)
会場 東京ステーションギャラリー
住所 100-0005 東京都千代田区丸の内1-9-1(JR東京駅 丸の内北口 改札前) 
時間 10:00~18:00(金曜日~20:00)*入館は閉館30分前まで
休館日 月曜日(ただし7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開館)、7月16日(火)
入館料
一般1,500(1,300)円/高校・大学生1,300(1,100)円/中学生以下無料
*( )内は前売料金[6/1~7/12オンラインチケットで販売]
*障がい者手帳等持参の方は200円引き(介添者1名は無料)
*チケット販売=【前売券・当日券】オンラインチケット www.e-tix.jp/ejrcf_gallery/
【当日券】当館1階入口
TEL 03-3212-2485

詳しくは「東京ステーションギャラリー」の公式サイトをチェック!