備えあれば憂いなし! もしもの時の救いのお金

災害、失業、離婚、病気、親の介護……。万が一の時に身を守ってくれる社会保障や税優遇の制度を知っておこう!

CASE 01:自然災害にあう

自然災害で住まいが被害を受けたら「支援金」が受け取れ、家や生活に必要な車などが損害を受けた場合には、税金が軽減される「雑損控除」か「災害減免法」の適用を受けられる。
レスキュー隊に担架で運ばれている様子を描いたイラスト

救いのお金

A 被災者生活再建支援制度  最大で300万円

基礎支援金、加算支援金としてもらえるお金の金額表
豪雨、洪水、地震、津波など一定規模以上の自然災害によって10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市区町村で、自宅や家財に大きな被害を受けると、被害に応じて「基礎支援金」、住宅の再建のしかたに応じて「加算支援金」が受けられる。届け出先は、市区町村。

B 雑損控除

災害や盗難などで、自身やその配偶者、扶養している親族の資産が損害を受けた場合、一定の額を所得から控除できる。所得が減る分、税額が軽減、被災した年に納めた所得税が還付され、翌年の住民税が安くなる。控除は最長3年。届け出先は、税務署(確定申告)。

C 災害減免法

直接所得税額が免除、軽減される制度。所得が1000万円以下で住宅などの損害額が時価の50%以上の場合に適用。所得が500万円以下なら全額、500万円超~750万円なら50%、750万円超~1000万円なら25%。控除は1年。届け出先は、税務署(確定申告)。

CASE 02:失業する

雇用保険に加入していると、退職後に失業給付として「基本手当」が受けられる。ただ、いつから、いくら給付されるかはケースごとに異なるので退職前に把握して。
木材でつくられた人形がうなだれている様子

救いのお金

失業給付の基本手当の金額
会社員以外にもパートやアルバイトでも週20時間以上働いている人は雇用保険に加入しているので失業給付の対象になる。「基本手当」の支給開始時期や日数は、離職理由で大きく異なり、自己都合でなく、倒産や解雇など会社都合で離職した人のほうが早く支給され手厚い。しかし新たに新型コロナ関連の特例が設けられ、自己都合離職であっても給付制限がなくなり、給付日数が手厚くなる可能性があるので、しっかりチェックしよう。届け出先は、ハローワーク。

CASE 03:離婚する

3組に1組は離婚する時代。もしもの時は夫婦のプラスとマイナスの両面の財産を分け合うことが基本なので、さらにお金でもめないためにも知っておいて損はなさそう。
ハートがギザギザと半分に割れているイラスト

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年金分割

離婚したら厚生年金が分割対象に。共働きでふたりとも会社員の場合、婚姻期間中のそれぞれの厚生年金のうち給料が多かったほうが相手に分ける形に。妻が専業主婦の場合、夫が会社員ならば厚生年金記録を半分もらう形になる。届け出先は年金事務所。
住宅ローンの落とし穴

CASE 04:病気になる

仕事が原因で病気になった場合は労災保険。それ以外の場合も医療費の負担を減らす制度や税優遇があり、うつ病などで障害年金が支給されるケースがあることも覚えておいて。
救急車のミニカー

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1 業務中のケガや仕事が原因の病気

A 療養補償給付

労災保険指定医療機関などで治療を受けた場合、自己負担なしで治療が受けられ、療養に必要な費用が治癒するまで給付される。届け出先は、労働基準監督署。

B 休業補償給付

業務上の病気やケガの療養中で働くことができず、休業中に賃金が支給されない場合、労災保険で日給の8割が補償される。届け出先は、労働基準監督署。

2 業務外のケガや病気で仕事を休む

A 傷病手当金

療養のため仕事を休むと4日目から最長で1年半、給与の3分の2が支給。届け出は、勤務先を通じて健康保険組合・協会けんぽへ。
傷病手当金の詳細を分かりやすく記した図

B 高額療養費制度

1カ月の医療費の自己負担が上限額を超えた場合、超えた分が健康保険から支給される。届け出は、加入している公的医療保険(健康保険組合・協会けんぽなど)に申請。

C 医療費控除

1年間に自己負担した対象の医療費が10万円以上の場合、10万円を超えた分が所得から差し引かれることで、税金が安くなる。届け出先は、税務署(確定申告)。
医療費控除の計算式を分かりやすく記した図

3 うつ病など

障害年金

体に障害のある人だけでなく、うつ病などの精神疾患によって障害認定を受けると1〜3級の障害等級に応じて障害年金の受給対象に。条件は年金加入者であること。届け出先は、国民年金被保険者は市区町村、厚生年金被保険者は年金事務所など。

CASE 05:親の介護をする

家族が要介護状態になった場合、まず介護のサポート体制を整える介護保険の申請を。そのために仕事を一定期間休む場合は、仕事と介護の両立を支援する制度もあるので利用しよう。
おばあちゃんの人形

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A 介護保険

介護が必要な人、介護を予防する必要がある人に対し、介護サービスを提供する介護保険。40歳以上が加入。介護認定を受けると状態が軽い順に要支援1〜2、要介護1〜5の区分に分けられ、要介護5の場合の支給限度額は月額約36万円。届け出先は、市区町村。

B 介護休業給付金

家族の介護のために仕事を月に2週間以上休んだ場合、雇用保険に加入していると、給与の約3分の2を受給することができる。勤続2年以上の場合、要介護状態の家族1人に対し、給与の67%が通算93日最大3回に分けて給付される。届け出先は、ハローワーク。
撮影/細谷悠美 写真協力/PIXTA 取材・原文/佐久間知子 構成・企画/高戸映里奈 渡辺真衣(2人ともMORE) ※情報は2020年12月時点のものです。紹介している制度やサービス、特典、キャンペーンなどは予告なく変更・中止となる場合があります。