「役をつくり込む点では、僕は不器用なのかもしれません」【安藤政信さんインタビュー】

生きたいという思いを、自分の体を通して表現したかった。

「これから家族や未来をつくっていく中で死を宣告されるのはすごく残酷なこと。僕も家族ができ
たばっかりだったので、役を自分の身に置き換えて考えていました」

最新作の映画『きらきら眼鏡』で安藤さんは、がんを患い、短い余命を病院のベッドで過ごす裕二を演じている。 明るくて優しい恋人を思いながら、近づく死に恐怖するという役どころだ。そんな悲しくも難しい人物像を安藤さんはかなりの減量も行った姿で見事に演じきっている。「病気を患う方のすべてを理解することはできないけど、まずは彼らの苦しみや生きたいという思いを、自分の体を通して表現したかったんです。同じ時期に『コード・ブルー』というドラマで医療現場にいたので、自分なりに病気のことを調べる機会がありました。『減量をしよう』と思ったわけではなく患者さんが食べ物を受け付けなくなるといった話を聞いていく中で、おいしいお肉をばくばく食べて撮影に臨むことはできなくて……。役をつくり込む点では、僕は不器用なのかもしれません」

役づくりは実に繊細でストイック。「ほかの役者さんにはけっこう驚かれる」と語った、彼の台本との向きあい方にもそれが表れている。

「台本を見るのが苦手だから、少しでも見る気になるよう役として演じたい感情や世界観に近い絵や写真をページの余白に貼っていて。アートの図録をコンビニでコピーしてひとりで一生懸命切り貼りしたり(笑)。以前の作品では死ぬシーンのページに、血のりをつけたことも。そういった自分なりのイメージをもとに演技について監督に相談しています」

20年のキャリアの中で、安藤さんがMOREに登場するのは約13年ぶり。蜷川実花が男性俳優を撮り下ろす人気連載『蜷川妄想劇場』に登場して以来になる。「先日も実花に会って『大人になったね』なんて言われて」と話すように、蜷川実花やレスリー・キーなど世界的な写真家と親交があり、自身も演技に並ぶ表現方法として、カメラをライフワークとしている。最近撮りたいテーマを聞くと、安藤さんならではのアーティスティックでユーモアたっぷりの答えが返ってきた。

「20代の頃は、死をテーマにした重いイメージの写真を撮っていました。でもここ数年は、人を被写体に、生命力や愛を感じる写真を美しく撮りたいという気持ちに。たとえば女の子と気ままに旅をしながらふたりだけの距離感を切り取る。MOREさん、そんな企画いかがですか? 『安藤炎上劇場』という連載で(笑)」


あんどう・まさのぶ●1975年5 月19日生まれ、神奈川県出身。1996年、映画『キッズ・リターン』でデビューし、俳優として活躍。2009年には映画『花の生涯・梅蘭芳』にて海外進出を果たす。現在、公開中の映画『スティルライフオブメモリーズ』、ドラマ『恋のツキ』に出演している

9/ 7 から全国公開! 『きらきら眼鏡』に出演します。 

恋人の死後、心を閉ざして暮らす明海(金井浩人)。ある日古書店で『死を輝かせる生き方』という本の中に大滝あかね(池脇千鶴)の名刺を見つけ連絡する。● 9 / 7 〜全国公開 ©森沢明夫/双葉文庫 ©2018「きらきら眼鏡」製作委員会


取材・原文/力石恒元 撮影/森脇裕介 ヘア&メイク/細野裕之(プュアナプー) 撮影協力/株式会社ヨネヤマ 衣装協力/SOLIDO

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