彼女の“今”が知りたくて

平手友梨奈のソトガワ

「オファーをいただいてから返事をするまでの間に時間がかかってしまうのも、何ごとにおいても最初は緊張してしまうのも、人見知りなのも、初対面の人には自分から話しかけることができないのも……ずっと変わらないですね」(平手友梨奈さん、以下同)
新たなフィールドで活躍をスタートさせた今、仕事に対する意識に何か変化があったか平手さんに尋ねると、返ってきたのは 何も変わらない という言葉。そんな平手さんのために監督が用意したのが〝予約席〟のプレート。共演者が集まるストーブの近くにそれを置いた平手さん用の席を設置。そこからコミュニケーションはスタート。
「そこで皆さんが〝平手ちゃん座って、しゃべろうよ〟と優しく声をかけてくださって。撮影はすごく楽しかったです。岡田さんと淳君は年齢がちょうど6歳ずつ離れていて、本当の兄妹のように仲よくなれました」
そう微笑みながら、一緒に焼肉店に行った話、あき時間に遊んだ話、ドッキリを仕掛けた話を楽しそうに語ってくれた。クランクアップする時には「終わりたくない」と感じたほど「いい現場だった」そうだ。
「完成した作品は新鮮な気持ちで観ることができました。今作はあえてエリカの部分しか台本を読まなかったので。私の知らないところで、冷川と三角はこんなふうに動いていたんだ、と」
自分の台詞だけ読んだ理由は、
「ほかの人の動きや感情、物語の展開をあらかじめ知りすぎてしまうと、演じていて自分が面白くないし、新鮮味がなくなってしまうから」

「私、覚えるのが遅いんです。それは台詞に限らず歌やダンスも同じ。何ごとも時間がかかる、時間をかけて覚えるタイプなんです」
一瞬一瞬の心の動きを見逃さないように、覚えるべきものはしっかりと自分の中に入れて現場に向かう。そこで飛び出したのもまた 変わらない という言葉だ。作品の世界にグッと入り込み表現する。それは歌もダンスも芝居も同じ。
「楽曲の中でも、ステージでも、誰かになろうとしたり、なっていたり。今までも私はずっと演じていたんだと思うんです。よく今までのお仕事と女優のお仕事の違いについて聞かれるのですが、私にとっては両方とも同じ。場所や形が変わっても表現するのは変わらない。今までも表現してきたし、これからも表現し続けるんだと思います」
映画『さんかく窓の外側は夜』

©2021 映画「さんかく窓の外側は夜」製作委員会 ©Tomoko Yamashita/libre