エッセイ連載「心を溶かす、水曜日」拡大版
ブレイディみかこさんと20代女子の誌上愚痴座談会、開催!

ブレイディみかこさんとMOREが定期的に開催している、20代読者との座談会の様子をお届け! みんなはモヤモヤにどう向きあってる? ブレイディさんを囲んでゆるっとトークしました。

私たちのモヤモヤを“愚痴る”会、スタート!

ブレイディみかこさんと20代読者との座談会

\参加メンバー/

Aさん
企業で企画・広報を担当する29歳。春頃に転職を予定している

Bさん
新卒からIT企業の人事部で働く入社3年目25歳。もうすぐ入籍予定

Cさん
広告関連会社に勤務し、現在は企画を担当。入社5年目の27歳

モア編集部W
入社8年目、モア編集部歴3年の30歳。愛犬との生活を楽しむ

友達・人間関係と私たちのモヤモヤ……

大人になると、友達の年齢も職業もさまざまゆえにモヤモヤも複雑化しがち。楽しい関係を築くのに大切なことは?

ブレイディみかこさんと「人間関係のモヤモの画像_2

Aさん:実年齢と内面が見合っていないなぁとモヤモヤすることが。会話中に「その考えいいな」、「○○さんさすが!」と思っても、しんを突く的確な返しができなくて。

ブレイディ:考えを言語化するのが得意な人もいれば、時間がかかる人もいる。Aさんはおそらく後者で、よく考えたり悩む人ほど、人前で瞬発的に語れないと思うんです。視点を変えれば、どの意見にも共感できるのは、視野が広いってこと。すぐに答えられなかった理由をゆっくり考えながら日記感覚で書いてみると、続けていくうちに考えがまとまっていくかと。実は私が執筆をしている理由もこれなんです

Bさん:驚きです! ちなみに気持ちを可愛くまとめられるアプリ『muute』、おすすめですよ。

Cさん:それ、私もやってます!

今はどうやって友達をつくってる?

Bさん:社会人になってから、新しい友達ができないのが悩みで。皆さんどんな感じですか?

Aさん:友達は会社の同期数人と、あとはマッチングアプリで知りあい、恋愛には発展しなかったけれど、友達として仲よくなった人も。

Cさん:私も会社の同期が多く、そこからつながっていく感じです。

Bさん:同期とは何度か会ったけど、頻繁に会う感じではなくて。推しのBTSのこと、話したいのに。

Aさん:え! 私もK‐POP大好きですよ。

Cさん:私もARMYで、昨年はライブを観に韓国まで行ってきました! ちなみに先輩から「合うと思う」と紹介された初対面の女性と現地合流し、行動をともにしました(笑)。よけいなしがらみがないから、ひたすら推しや韓国の話ができて楽しかったです。

ブレイディ:年齢や肩書にとらわれない、普段の交友関係以外の人との出会いは、新しい可能性や価値観が生まれるし、場合によっては人生に風穴があくことも!

Bさん:いいなぁ。私、お酒が飲めないから距離が詰めにくくて。

A&Cさん:私も飲めないですよ。

ブレイディ:あら、また偶然!

Cさん:韓国つながりのモヤモヤを話していいですか? その韓国旅、実は別の人と行こうとしていて、でもその人の職場はこの時期に海外なんてもってのほか。なのに事情をくまずに無神経なことを言い、友達が気分を害してしまって。連絡をしても返事はなく、仲直りができなくて。

編集W:学生時代ならイヤでも顔を合わせるけど、今や、約束しないと会えないですしね。

Cさん:私としては失いたくない存在だけど、向こうはそう思ってないのかな? と悲しくなったり。

ブレイディ:私ならある程度時間を置いてから、アクションを起こすかな。連絡してみたらこっちが拍子抜けするくらい普段どおりだった……なんてこともあるかも。人って、時間や距離、置かれた環境とは関係なく、縁がある人とは、つながるようにできているもの

Cさん:ゆっくり修復したいです。

ブレイディ:友達とはいろんなつきあい方があって、多いほうが人生は面白い。ということで、せっかく今日出会えたことだし、今度3人でオフ会してみたら?(笑)。

「勇気を出して、友達をつくろう。新たな価値観を知り、可能性も広がるから!」(ブレイディさん)

ブレイディさんからのメッセージ

そのモヤッとした気持ち、放っておかないことが大切!

今回参加した3人のモヤモヤの解消法(推し動画や、大好きなパンダの画像を観るとか)を聞き、将来の夢を教えてもらった。愚痴=ネガティブに受け取られがちだけど、必ずしも後ろ向きなことばかりでなく、いくらでもポジティブに変換できるのだと思った。モア読者世代のみなさんには、多くの人に出会い、考え、七転八倒するかもしれないけれど、どんどん挑戦をしてほしい。そこで味わった思いや経験が、未来の自分をつくるのだから。

ブレイディみかこプロフィール

ライター、コラムニスト
ブレイディみかこ

英国・ブライトン在住のライター、コラムニスト。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)など著書多数。本誌では読者との座談会をもとに、20代の現状を独自の視点で切り取ったエッセイ「心を溶かす、水曜日」を連載中

イラスト/Aki Ishibashi 取材・原文/広沢幸乃 ※MORE2023年5月号掲載