いげちゃんのコツコツSDGs MORE

日々、よく耳にする“SDGs”という言葉。なんのために取り組むの? 私にできることは何? SDGsに興味を持ち始めた井桁弘恵が、そんな疑問に向きあいます!

【Vol.34-1】寄付を通して、社会問題に目を向けよう

SDGsが掲げている貧困、飢餓、環境、教育、ジェンダー平等などの社会問題の解決のために、私たちができる身近な一歩が「寄付」です。そこで正しい寄付の仕方や注意点を、寄付アドバイザーの河合将生さんに教えていただきました。

井桁弘恵 MORE SDGs

キャミソール¥13970/ファーストハンド レイヤード ミヤシタ パーク ニット¥3990/ユニクロ パンツ¥25300/シンゾーン ルミネ新宿店(ザ シンゾーン) イヤカフ¥7590/ロードス(CANDY.) アームウォーマー¥2420/Tabio(タビオ)

What’s SDGs?

SDGs ゴール

国連で採択された、2030年までに達成すべき17のゴールのことで、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。私たちが地球に住み続けるために、貧困、飢餓、環境、教育、ジェンダー平等などの問題を世界が協力して解決することを目指す。

教えてくれたのは……

寄付アドバイザー
河合 将生さん

NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime (オフィス ムスビメ)代表。伴走支援を専門としながらNPOの基盤強化、マネジメント・ファンドレイジング支援、コンサルティング・ファシリテーション等に取り組む。まちづくり、子育て、子ども・若者支援、福祉、国際協力、NPO支援など、複数のNPOに役員やアドバイザーとして関わるほか、大学の非常勤講師や研修講師、チャリティや寄付に関する相談・助言等の活動も行っている。寄付アドバイザーとしてメディアへの出演多数。

日本の寄付の現状は?

いげちゃん
いげちゃん

今日はよろしくお願いします! まず、日本の寄付の現状を教えてください。

河合さん
河合さん

下記の表を見てください。日本で寄付が注目されたのは、2011年の東日本大震災の時です。日本人の約7割が何らかの寄付を行い、初めて個人寄付が1兆円を超え、後に「寄付元年」と呼ばれるようになりました。その後も寄付者率は震災前の割合を上回る45%前後、個人寄付総額は約7000億円を超える状況が続きましたが、コロナ禍に突入した2020年に再び1兆円(約1.2兆円)を超えました。この背景には、寄付募集の増加や多様化、インターネットのプラットフォームを介して不特定多数の人々から資金を募るクラウドファンディングやふるさと納税などの広がりがあります。また、メディアで寄付やSDGsについて取り上げられる機会が増え、さまざまな社会問題に関する情報や、それを支援する団体にアクセスする機会が増えたことも影響しています。

日本の寄付額は、アメリカの30分の1!?

寄付の現状

出所:日本ファンドレイジング協会『寄付白書2021』

いげちゃん
いげちゃん

たしかに、ある時点からクラウドファンディングという言葉をよく耳にするようになりましたが、それも影響しているんですね。海外と比べて、日本の寄付事情はどうなんでしょうか?

河合さん
河合さん

アメリカでは、個人の寄付が約34兆円と日本の約30倍です。

「日本には寄付文化がない」と言われることもありますが、実はそんなこともないのです。たとえば、10月になると募金活動が始まる「赤い羽根共同募金」は1947年から続く毎年恒例のものですし、地域の自治会やお祭りなどのイベント、宗教行事などでも習慣として寄付が根付いています。

アメリカと異なる点は、環境や人権といったテーマへの寄付が、地域で習慣となっている寄付に比べて日本ではまだ少ないことです。しかし、東日本大震災以降は、先ほどお話したクラウドファンディングや社会問題への関心の高まりを背景に、こうしたテーマへの寄付も増え、また、12月を「寄付月間」とするキャンペーンも2015年から始まり、寄付活動全体は盛り上がっています。

寄付の種類は?

井桁弘恵 MORE SDGs
いげちゃん
いげちゃん

寄付にはどんな種類があるのですか?

河合さん
河合さん

たくさん種類がありますが、代表的なのは金銭と物品の寄付です。

金銭の寄付は、現金だけでなく、クレジットカードや、最近ではQRコード決済も増えてきています。この金銭の寄付の代表例が、募金箱。コンビニのレジ横に置かれている募金箱を見たことはありませんか?

いげちゃん
いげちゃん

よく見かけます! 買物したあとに、おつりを入れる人が多いですよね。

河合さん
河合さん

はい、そうですね。最近では、キャッシュレス化が進んでいますが、募金箱への現金の寄付は依然として日本で最も一般的な方法です。

ほかにも、寄付の形はさまざまですが、なかでも「マンスリーサポーター」という継続寄付の仕組みがよく知られています。たとえば、毎月500円の寄付が、途上国の子どもたちの学校給食代に充てられるといったものです。少額から始められるため、寄付する側の負担が少ないのが特徴ですが、年間でみると受け取る側にとっては大きな財源になります。さらに、クレジットカード決済が主流であるため、手続きの負担も少なく継続されやすい点も特徴です。

いげちゃん
いげちゃん

私も数年前から、毎月チャイルドサポーターとして貧困地域の子どもたちに一定額を寄付しています。定期的に成長の記録や手紙が届くので、自分の支援がどのように役立っているのか実感しながら寄付できるのがよいと感じています。

河合さん
河合さん

井桁さんも、マンスリーサポーターをされているとは。素敵ですね!

寄付の種類はほかに、古本や古着、書き損じはがきといった物品を寄付する方法があります。また、チャリティーTシャツのようなグッズの購入や、チャリティーイベントに参加することで、そのグッズ代や参加費の一部が寄付される仕組みもあります。こうした方法ですと、寄付する側も楽しみながら社会貢献できるのがいいですよね。

いげちゃん
いげちゃん

最近、指定のキーワードを検索したら一定額寄付されるといった募金もありますよね。たとえば、「3.11」と検索すると10円寄付される仕組みとか。

河合さん
河合さん

よくご存知ですね。あれは、ヤフーLINE株式会社の社会貢献プログラムで、寄付総額5000万円を上限に、東日本大震災の被災地支援および防災・減災などの「よりよい未来づくり」に取り組んでいる団体に贈られているとのことです。毎年公式サイトに、寄付の仕組みや支援先の一覧が掲載されているのでチェックしてみてください。

いげちゃん
いげちゃん

チェックしてみます!

河合さん
河合さん

最後にもうひとつお伝えすると、近年は遺産を寄付する「遺贈寄付」への関心が高まっています。終活を進める中で、自分の遺産を未来の世代や地球環境のためなど、社会貢献活動に役立てられないかという方からの相談が増えてきているんですよ。

いげちゃん
いげちゃん

そうなんですね。そういった寄付の形もあるということ、覚えておきたいと思います。

撮影/遠藤優貴 モデル/井桁弘恵 ヘア&メイク/山口春菜 スタイリスト/小林優奈 取材・文/海渡理恵