韓国ドラマのいいところを“全部乗せ”した大優勝作品!

韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。今回は、特殊能力を持った親子たちが大切な人を守るために悪と闘う、SFアクションドラマ『ムービング』のあらすじと見どころを紹介します。

ムービング ボンソク(イ・ジョンハ)ソロカット

机にしがみつくキム・ボンソク(イ・ジョンハ)。

『ムービング』

全20話
出演:リュ・スンリョン、ハン・ヒョジュ、チョ・インソン、イ・ジョンハ、コ・ユンジョンほか
ディズニープラス スターで全話独占配信中
© 2024 Disney and its related entities

あらすじ

1990年代、韓国の国家安全企画部は、特殊能力者を集めた部隊を設立。極秘任務の遂行を命じられたメンバーは超能力を使って国を守っていた。しかし、突然、部隊は消滅し、メンバーたちも散り散りに。それから十数年後——。歩くよりも先に宙に浮くことができた少年キム・ボンソク(イ・ジョンハ)は、自分の能力を隠しつつ、平凡な学校生活を送っていた。ある日、ボンソクの学校に治癒能力を持つ女子学生チャン・ヒス(コ・ユンジョン)が転校してくる。互いに自らの秘密を打ち明けた2人はすぐに親しくなる。一方ソウルでは、特殊能力者が次々と殺される連続殺人が起こっていて……。

ここが見どころ

「次はどのドラマを観ようかな?」とお悩みの方、今すぐ本作チェックしてみてください。観たいエンタメの全部が詰まっていますよ~!
胸がキュンする恋愛モノで、ぽっちゃりボディがキュートな次世代イケメンも登場。そこにビッグスケールのアクションとスリリングなスパイもの、さらには泣けるホームドラマも混ぜ込んで、韓国ドラマのいいところを全部乗せした作品、それがこの『ムービング』なのです!

若手俳優の“かわいい”と“カッコいい”が大渋滞

本作は、のほほんとしたぽっちゃりなメンズのボンソク(イ・ジョンハ)が、キュートで勝ち気な転校生ヒス(コ・ユンジョン)に一目ぼれするところから始まります。その恋がなんともほほえましい! 体育大学を受験するヒスの実技練習用にと、ボンソクが“応援ミュージックリスト”を作ってくる甘酸っぱさ! 

しかもこのボンソク、体が浮くという特殊能力の持ち主。でも、コントロールができず、気持ちがたかぶると浮いちゃうんです。なので、ことあるごとに、重しがわりのリュックを抱きしめながら目をつぶって円周率を唱えるのですが、その姿が可愛すぎる! まさか円周率を唱える姿にきゅんとさせられる日が来るとは思いませんでした……。

また、ボンソクが初めてヒスの前で能力を見せてしまった時のエピソードも新機軸の甘々。学校の階段で話している時、突然、体が浮いちゃったボンソクヒスがジャンプして引き寄せて、ギュッ! ドキドキで浮いちゃう&抱き着かれてドキドキ状態のボンソクの恋心がまる見えで、やっぱりかわいい! 思春期の悩みを反映させた体質に、きゅん!

ムービング バスの中のヒスとボンソク

バスの中でのヒス(コ・ユンジョン)とボンソク。ヒスにデレデレなボンソクの恋心がだだもれてます(笑)。

ムービング ボンソクのソロカット

ひょっこりボンソク。30キロ増量したって、きゅるんとしたおめめはかわいい♡

この愛らしい男子を演じているのは、『わかっていても』や『それでも僕らは走り続ける』に出ていたイ・ジョンハ。「自分の知ってる彼じゃない!」って? それもそのはず彼は本作のために30キロも増量! ちなみに恋のライバルとして登場する神経質そうなイケメンメガネの学級委員長イ・ガンフン(キム・ドフン)も特殊能力(怪力)の持ち主で、この役のために10キロ減量しておりまして、本作の若手俳優たちのロバート・デニーロもびっくりの役者根性に脱帽です……。

ムービング ガンフン(キム・ドフン)ソロカット

神経質そうな見た目のガンフン(キム・ドフン)。でも実は怪力なんですよね……。

こうなると、ヒスの能力も気になりますよね? それは、イジメっ子17人をたったひとりでフルボッコにできるほど驚異的な人体再生能力! つまり、「絶対死なない女子」、それが本作のヒロイン。カッコいいです!

ムービング ヒスのソロカット

ボンソクが恋に落ちるこのルックスで“不死身キャラ”のヒス。設定が神!

高校生たちがお互いを意識しドキドキしたり、浮いたり、木をフルボッコにしているあいだ、世の中では特殊能力者たちが殺されるという不穏な事件が頻発するんですけど、能力者である子供たちがその標的にされないわけがないわけで。このあたりが本作のサスペンス要素になっておりまして、視聴者側もドキドキが止まりません!

トップ俳優の鬼気迫る演技にゾッとして、きゅん!

そして、次の見どころ大物俳優たちの演技です! 
本作は、親世代と子供世代の恋と青春をそれぞれ描いた作品でして、現代=子供世代の恋は7話まで。続く8話からは1990年代を舞台にした、過去=親世代の恋と青春の物語へとバトンタッチ。子どもの成長を見守る、落ち着いた演技を見せていたベテランのトップ俳優たちが、8話以降、フルスロットルで全面に出てきて大活躍! 

ムービング チャン・ジュウォン(リュ・スンリョン)、イ・ミヒョン(ハン・ヒョジュ)、キム・ドゥシク(チョ・インソン)

左から、チャン・ジュウォン(リュ・スンリョン)、イ・ミヒョン(ハン・ヒョジュ)、キム・ドゥシク(チョ・インソン)。シュッとしてます!

ぽっちゃりメンズの父親ドゥシク(チョ・インソン)と母ミヒョン(ハン・ヒョジュ)の因縁、出会いと別れ。絶対に死なない女子・ヒスの両親のワケアリ純愛ドリブンによる血で血を洗う肉弾戦など。親世代の特殊能力者たちがどのように任務を遂行し、どうパートナーと出会い、どんなふうにして子どもたちが誕生したのかが描かれていて、それが愛に満ちているんですね。夫婦や親子の愛の深さを思いっきり見せつけられる展開に驚き、ビビリながらも要所要所で目頭が熱くなりました……。

ムービング 

ドゥシクとミヒョンのデートシーン。座ってるからわからないと思いますが、187cmと170cmの高身長カップルなので映えます。

さっき、若手俳優の役者根性がすごいとを描きましたが、ベテランのトップ俳優たちの根性もハンパないです。ボンソク母を演じたハン・ヒョジュは工作員の過去を持つ母という役柄ということもあってノーメイク。髪だってボサボサなのに、それでも凛とした強さが滲むたたずまいに圧倒。

ムービング 幼少期のボンソクを背負うミヒョン

子供のボンソクを背負うミヒョン。ノーメイクで髪も適当でも美しい。

また、涼しい顔で空をビュンビュン飛びまくるチョ・インソンも。空を飛ぶシーンはワイヤーでつられた状態でアクションをするのでバランスを取るだけでも難しいはずなのに、「重力? なにそれ甘いの?」と言わんばかりのクールさで、空中を華麗に移動する彼の貴公子ぶりときたら! 

ムービング ドゥシクソロカット

空中から銃を撃つ、ドゥシクのカッコよさよ!

また、ノーガード戦法で人間や車をズタズタにする血まみれリュ・スンリョンは圧巻でした。演技派で知られる大物俳優が、刺されて、殴られて、撃たれて、跳ねられる人間サンドバッグになりつつも不死身の体で倒れては起き上がり、また倒れては起き上がって相手をぶちのめしていく姿は、まさに鬼神。その血濡れた姿にゾッとして、きゅんとしました!

ムービング ジュウォンソロカット

バッサバッサと相手をダウンさせていく血まみれジュウォンの凄みよ!

伏線の張り方、謎の散りばめ方が秀逸

本作にはたくさんの謎や伏線が散りばめられているのですが、それらが大きな陰謀へ回収されていくのも見どころです。実はこのドラマ、原作は韓国の人気ウェブトゥーン(タテ読みコミック)。しかもドラマ版の脚本を原作者が担当しているんです。現在と過去を繋ぐ伏線、そのシーンだけの伏線、ミスリードや匂わせなどを随所に盛り込んだ構成は、原作者だからこその素晴らしさ。実際、今年5月には「第60回百想(ペクサン)芸術大賞」のTV部門で『ムービング』が大賞、脚本賞、新人演技賞(男性)の最多3部門受賞したほど。

ターゲットにされた特殊能力者たちは何者? 殺し屋は何者? 誰がなんのために殺してるの? 子どもたちが通う学校に隠された秘密は何? といった物語の軸となる謎もあれば、なぜ、ミヒョンはなぜ息子ボンソクに大量のとんかつを食べさせるの? 怪力メガネ委員長・ガンフンの父ジェマン(キム・ソンギュン)はなぜ息子の帰りを待っているの? ヒスの父がチキン配達の時に道に迷うのはなぜ? ヒスのカチューシャにはどんな意味が? 学校のあやしい守衛&掃除人は何者なの? といった登場人物を深堀りするような謎など、「そういうことだったのね!」「もしかしてあれにも意味が?」「親子で同じことするんだ!」と、観るたびに発見と驚きのある伏線回収にリピート視聴必至です。

ムービング ジュウォンソロカット

チキン店を営んでいるジュウォンを演じたリュ・スンリョンは、主演映画『エクストリーム・ジョブ』でも、潜入捜査のためにチキン店の偽装営業を始めた麻薬捜査班を演じていたので、かなり堂に入っています。

ムービング ジェマンソロカット

ガンフン父のジェマン(キム・ソンギュン)は、いつも息子の帰りを店先で待っている。

サイキック的な大騒動&大爆発も⁉ 最終回までフルスロットル!

そして、15話以降、展開はよりダイナミックに。ボンソク父の因縁にからんだ勢力が登場し、特殊能力者vs特殊能力者の戦いが勃発。ドゴーン! ボカーン!といったサイキック的な大騒動&大爆発が深夜の学校で行われるという、「ええええ!」な展開に、ここまでハデにやれば近隣住民からの通報&苦情がくるのでは……と思わなくもないのですが、そんなことはどうでもよくなるくらいのラストが待っているので無問題です。

理不尽な状況に置かれてきた能力者たちが、大切な人を守るために必死に生き、時には大きな犠牲を払い、どのようにヒーロー、あるいは怪物になっていったのか……。その結末を見届けてほしいです。

ムービング 空中に浮くドゥシク

空飛ぶドゥシク。その手には二丁拳銃!

作品概要

ムービング
全20話
ディズニープラス スターで全話独占配信中
© 2024 Disney and its related entities

ムービングを視聴 | Disney+(ディズニープラス)
ライター
中川薫

Kカルチャー・旅・お酒・漫画・音楽・スポーツ観戦好きのライター。ドハマりしたK沼が旅沼に直結し、年間十数回は海外へ。マイブームは「海外の大衆食堂をめぐること」。2023年は釜山&ソウル(韓国)、バンコク&ブリーラム(タイ)、ホーチミン&ハノイ&ダラット(ベトナム)、コロンボ(スリランカ)、リヤド&ジェッダ(サウジアラビア)で爆食。2024年はソウル、ソウル、台湾、ソウルへ。