12星座全体の運勢
「引いた視点で俯瞰する」
テーマはずばり、「現時点での自分のレベルの把握」。2020年の年末にはいよいよ約200年単位の占星術上の時代の移り変わりがあり、モノの豊かさの「土」の時代から、情報や繋がりの多様性が価値基準となる「風」の時代へなどと言われていますが、今回の満月はそうした時代の変化にどこまで同調できているか、またできていないのかということが浮き彫りになるはず。
そこにはかなりの個人差が生じるものと思われますが、とくに痛みや違和感、プレッシャーの感じ方などは、これまでの生き様やその蓄積、ふだん触れている情報や立ち位置、周囲の人間関係、属するコミュニティなどによってまったく異なってくるでしょう。
ともに地球に生き、一見同じ位置にあるように見える人間同士でも、進化における種類と段階の違いは厳然と存在するのだということを、今期はよくよく念頭に置いていくべし。
天秤座(てんびん座)
今期のてんびん座のキーワードは、「夜が育む想像力」。

まだ夜間の飛行が命がけだった時代、郵便事業に命をかけた者たちを描いたサン=テグジュペリの『夜間飛行』を読んでいると、そんな思いに駆られます。
主人公は「嫌われ者の上司に睨まれることで初めて現場の規律は保たれる」という信念のもと、部下に1つのミスも許さない厳しい支配人であらんとするリヴィエール。彼は内心の葛藤や孤独に苦しみつつも、それを紛らわすために繰り出した散歩からの帰り道、ふと見上げた夜空の星に何かを感じ取ります。彼の独白を引用してみましょう。
「今夜は、二台も自分の飛行機が飛んでいるのだから、僕はあの空の全体に責任があるのだ、あの星は、この群衆の中に僕をたずねる信号だ、星が僕を見つけたのだ。だから僕はこんなに場違いな気持ちで、孤独のような気持ちがしたりする」
人間にとって夜とは、ある意味で死に近づいていくことであり、夜の底に埋もれた宝物を見つけていくことで、改めて生を更新していく時間でもあるのでしょう。そして、そんな夜という時間だけが育むことのできる想像力こそ、今のてんびん座の人たちに問われているものでもあるはず。
リヴィエールのように夜空に輝く星々のなかに自分を見つめてくれる星を探すもよし。あるいは、自分がこれまでくぐり抜けてきた幾多の夜のことを思い返すもよし。今期のてんびん座は、そんな風にあらためて夜の底からいま生きていることを感じ直していきたいところです。
出典:サン=テグジュペリ、堀口大學訳『夜間飛行』(新潮文庫)
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。