12星座全体の運勢

「新たな習慣、新たな取り組み」

10月8日を過ぎると二十四節気では「寒露」に入り、晩秋を迎えます。「晩秋」というと、どこか寂しさをそそりますが、旧暦の時代には10月のことをさまざまな言い方で表してきました。

例えば、稲を収穫することから「小田刈月(おだかりづき)」、また菊も咲き始めるので「菊月」、木の葉が染まり出し、梨や柿や金柑など、さまざまな果実も実りのときを迎えていくので「色取月(いろとりづき)」など。

まさに心豊かに過ごせる時期と言えますが、そんな中、10月17日にはてんびん座で新月を迎えていきます。今期のテーマは「蝶の第三の羽」。

蝶は古来より「霊的な復活のプロセスの結末」を表すシンボルであり、二枚の羽の代わりに三枚の羽を持っているなら、霊的生活の観点において特別な発達があったことを示していますし、また「3」という数字は「充足」の象徴でもあります。

すなわち、合理的知性では説明がつかない新たな可能性を秘めた習慣や試み、突然変異的な取り組みを生活の中に取り込んでいく機運が高まっていきやすいタイミングなのだと言えるでしょう。

充実した秋の夜長を過ごすべく、これまでは手が伸びなかったような新しい何かに打ち込んでいくのにもうってつけかも知れません。

牡牛座(おうし座)

今期のおうし座のキーワードは、「体に運ばれる必要」。

牡牛座のイラスト
パリを拠点にした英語の文芸誌『パリ・レビュー』のインタビューにおいて、村上春樹は長編小説を書いているとき、午前4時には起床し、5~6時間ぶっ通しで仕事をし、午後はランニングをするか水泳をするかして(両方ともすることもある)、雑用を片付け、本を読んで音楽をきき、夜9時には寝るという。

しかも「この日課を毎日、変えることなく繰り返す」のだと言う。いわく、「繰り返すこと自体が重要になってくるんです。一種の催眠状態というか、自分に催眠術をかけて、より深い精神状態にもっていく」。

というのも、長編小説を書き上げるには精神的な鍛練や気の持ちようだけではどうにもならず、「体力が、芸術的感性と同じくらい必要」となるからだと強調しています。

ここでは村上は「体力」と簡単に言っていますが、それはおそらくペンを握る指先や腕の力だけでなく、深い呼吸に入っていくための肺や横隔膜、地面を踏みしめる脚力、背中が固まることのない柔軟性など、体のすみずみに至るまで、自らの創作活動が“運ばれる”ことが大切なのだということでしょう。

もちろん、村上も最初からこうした習慣を実行していた訳ではなく、プロの作家になってから数年間は、東京で小さなジャズクラブを経営しながら、座ってばかりの生活をしていて、一日に60本ものタバコを吸い、急激に体重が増えていき、そこで生活習慣を根本的に変えることを余儀なくされたのだとか。

読者は僕がどんなライフスタイルを選ぼうが気にしない。僕の新しい作品が前の作品よりよくなっているかぎりは。だったらそれが、作家としての僕の義務であり、もっとも優先すべき課題だろう

今期のおうし座もまた、自身の生活習慣をもっとも優先すべき課題や関係性に応じて、よりふさわしいものに作り変えていくことが大きな課題となっていくはず。

まずは、自分の人生で欠かすことのできない課題や関係は何なのかということを、改めて明確にするべく自分自身に問いかけてみるといいでしょう。


参考:青山南訳『パリ・レヴュー・インタヴュー(2)』(岩波書店)
12星座占い<10/4~10/17>まとめはこちら
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ