12星座全体の運勢

「新たな習慣、新たな取り組み」

10月8日を過ぎると二十四節気では「寒露」に入り、晩秋を迎えます。「晩秋」というと、どこか寂しさをそそりますが、旧暦の時代には10月のことをさまざまな言い方で表してきました。

例えば、稲を収穫することから「小田刈月(おだかりづき)」、また菊も咲き始めるので「菊月」、木の葉が染まり出し、梨や柿や金柑など、さまざまな果実も実りのときを迎えていくので「色取月(いろとりづき)」など。

まさに心豊かに過ごせる時期と言えますが、そんな中、10月17日にはてんびん座で新月を迎えていきます。今期のテーマは「蝶の第三の羽」。

蝶は古来より「霊的な復活のプロセスの結末」を表すシンボルであり、二枚の羽の代わりに三枚の羽を持っているなら、霊的生活の観点において特別な発達があったことを示していますし、また「3」という数字は「充足」の象徴でもあります。

すなわち、合理的知性では説明がつかない新たな可能性を秘めた習慣や試み、突然変異的な取り組みを生活の中に取り込んでいく機運が高まっていきやすいタイミングなのだと言えるでしょう。

充実した秋の夜長を過ごすべく、これまでは手が伸びなかったような新しい何かに打ち込んでいくのにもうってつけかも知れません。

水瓶座(みずがめ座)

今期のみずがめ座のキーワードは、「平常心の試み」。

水瓶座のイラスト
最近、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSサービスは今や怒りや嫉妬、傲慢など負の感情の温床と化しているという話を目にしました。

確かに、歴史を振り返っても、おそろしいことに人間というのは善き人であらんと「誠」を貫くことによって、嘘を重ねることもできれば、人に手をかけることだってできてしまうという落とし穴があり、誠意の名において、前提や方向性を顧みない一方的な他者への働きかけが許されてきた側面があるように思います。

こうした主観的な「誠」に対して、12世紀南宋に生まれ中国の元や明の時代や日本の江戸時代に教学となった朱子学では、「敬」という徳目を重視するのだと言います。

この「敬」とは、普通の意味での尊敬のことではなく、心の覚醒状態を保って内面活動が恣意的になるのを防ぐべく、自己を客観化しようという朱子学の基調意識のことであり、平易な言い方をすれば、「畏敬の念」のことであり、その結果いたる「こだわりのない平常心」を指すのだとも考えられます。

朱子が弟子の問いに答えた言葉を集めた『朱子文集』いわく、「心がいつも敬の状態にあるならば、肢体はおのずと引きしまり、なにも意識しないでも、肢体はひとりでにのびのび」するようになり、その意味で「敬」とは「心の全体があまねく流動して、行き届かないものはなにもない」状態なのです。

SNSが営利企業の運営する“サービス”である限り、人間の欲動を刺激することが本質にある訳ですが、そうして刺激され高揚した心理は明らかにこうした「敬」と対極にある状態と言えるのではないでしょうか。

今期のみずがめ座もまた、こうした「敬」の精神をあらためて見直していくことで、誰かの手によって意図的に引き起こされた刺激や高揚から脱却し、少なからず自己を客観化していくことがテーマとなっていくでしょう。


参考:荒木見悟訳『世界の名著19 朱子/王陽明』(中央公論新社)
12星座占い<10/4~10/17>まとめはこちら
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ