12星座全体の運勢

「春一番を察知する」 

2月3日に「立春」を迎え、まだまだ寒さは厳しいものの梅のつぼみがほころび始め、少しずつ春の香りがひろがっていこうとしているなか、2月12日にはみずがめ座で新月が形成されていきます。 

今回のみずがめ座新月のテーマは「徹底的に空気を読み、それに応える」。 

古来より、季節というのはただ待っていれば自動的にやってくるものではなく、東からやってくる風が春を連れてくるものと考えられてきました。そして、立春から春分までに吹く最初の南風を「春一番」と言いますが、この場合、それは物理的な風というよりも、ぐっと気温をあげてこの世界を住みやすいものにしてくれる新たな希望の到来であり、その気配のこと。 

春一番が吹いても、またすぐに冷たい風が吹いて寒くなるのですが、それでも春二番、春三番と同じような風が吹くたびに、春は少しずつこの世界に招かれてくるはず。 

ますます混迷を極め、暗澹たる思いが立ち込めるように思える世相において、たとえかすかなものであれ希望の光となるような流れがどこから射し込んでくるのか。新月に向かっていく今期においては、自分個人の幸せや願望の成就というより、そうした「どんな世界になってほしいのか?」という社会的な願いに焦点をあてて、その兆しや可能性を追求していきたいところです。 

乙女座(おとめ座)

今期のおとめ座のキーワードは、「限界状況における人間」。

乙女座のイラスト
中国で日本の滅亡を見つめた作家・武田泰淳の初期作品に『「愛」のかたち』という小説があります。愛ではなくてなぜ「愛」とカッコつきなのか言うと、それが不感症の女性と不能の男性の恋愛に関する物語だから。 
 
不感であり不能であると言っても、やはり抱きあって愛を確かめたいという欲望は持っている。しかし、不自由な「愛」を確かめるために相手がひとりでは比較もできず、結果的に、多くの他の男や女に接触しなければならぬという展開に。そして、二人は互いに求めれば求めるほど「愛のかたち」がとらえにくくなっていき、しまいに男は自分自身のことを「利口な野獣」「危険な物質」と思い込むようになってしまう。 
 
後に武田は「限界状況における人間」という評論のなかで、この小説に触れて次のように書いています。 
 
健康な男女も、失恋し、離婚し、心中することがある。そこまで行きつかない場合でも、恋愛の限界にぶちあたって、とまどうことが多い。愛をうみだす情熱は、同時に憎悪をうみだす。恋愛のせつなさや美しさの裏側には、つねに執着の醜さとねばっこさが控えている。人間の醜態ばかりに興味を抱くのは異常な傾向であるが、しかし、人間の弱さと醜さに、まったく無神経だったり無反省だったりするのも、精神的な不具者だといわなければならない」 
 
形は違えど、この小説の訴える不安や不満のようなものは、どんな夫婦やカップルでもどこかに持っているのではないでしょうか。片目をつぶってそれに気づかないふりをしているうちはよし。けれど、どうしたって無神経ではいられなくなっていくのも、人間の自然な本性なのでしょう。 
 
今期の乙女座もまた、やはりもう無神経でも無反省でもいられなくなってきているはず。身体的にはどうであれ、今の社会の不具な現実に何も感じられない「精神的な不具者」で居続けられるほど堕ちてはいないのだと、力強く言いきってみてください。 


参考:武田泰淳『滅亡について』(岩波文庫)
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ