12星座全体の運勢

「快活さの追求」 

暑くも寒くもない、過ごしやすい時期ではあるものの、暦の上ではもう晩秋に入っていく10月6日にてんびん座13度(数えで14度)で新月を迎えていきます。 

今回の新月のテーマは、「力の抜き方を知ること」。人間は、というより、生物は、休息なしに健全な生活サイクルを維持できませんが、コロナ禍が長期化してきた今だからこそ改めて、質の良い休息の仕方だったり、休息にどれだけ創意工夫を凝らしていけるかということに取り組んでいきたいところ。 

例えば、一日のなかで感情的に落ち着かせるためにゆるむ時間をきちんと作るということだったり、そもそも身体のリズムを尊重することだったり。いずれにせよ、ただでさえしんどい現実のなかで喜ばしくない側面を追い払い、生命としての健全なリズムに入っていくための自分なりの切り口をひとつでも明確にしていくことが大切になってくるはず。 

スポーツの秋というように、今では秋の季語になっているものに「運動会」がありますが、官僚としての最高職まで昇りつめた富安風生が引退後に詠んだ「秋晴の運動会をしてゐるよ」という、まるで子どもみたいな一句などは、力の抜け加減としては大いに参考にしていきたいところ。 

そうして、今期はすこしでも朝起きたときにざらりとした不快な目覚めを迎える瞬間を減らし、自分のために快活な人生を組み立てていくことを大事にしていきましょう。 
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牡羊座(おひつじ座)

今期のおひつじ座のキーワードは、「絶景感覚」。

牡羊座のイラスト
かつて俳人の永田耕衣は昭和三十年頃に出した句集『吸毛集』のあとがきで、「出会いは絶景である」と書きました。自然が絶景であるけれども、人間の方が、そして何よりも人間同士こそが絶景であると。それについて、永田は『独特老人』というインタビュー集の中で次のように語っています。 
 
誰と会っても絶景だとは言えない。だけど、今日あんたと会うたのは絶景かも知れん。そういう出会いによって人間は個別に、自己の環境を広げていって、その環境を広げるだけじゃなくって深めていって、その人の影響というかな、仏教で言う「善縁」というものを得る。つまり、そういう感覚が絶景感覚よね。出会いの絶景。」 
 
永田はそれを宮崎奕保(えきほ)という後に曹洞宗の管長や永平寺の貫首をつとめた禅僧との出会いを通じて感じ取ったのだと言います。「善縁」というのも仏教の言葉ですが、とはいえ物を欲しがるな、無欲無心というのが仏教の基礎的な目的です。ただ、永田からすればやはり欲しいものがあったら買いたい訳で、ある時に欲しいものを欲しいだけ買っていけば、そのうち欲しいものもなくなるんじゃないかということを、あるとき奕保和尚に言ったのだそうです。そうしたら「いいことを言うじゃないか」って。てっきり「ばかやろう」と言われると思っていたら、そんなふうなこと言われたんで、これはなかなか懐の広い人だと思って親しみを感じたのだと。 
 
存在の有難さと言ってもいいんだろうね。自分の力だけでは生きていくことはできないという、そういう環境に恵まれながら自分が生きていて、生きておる価値というか、生きがいというようなものを、だんだん深めていくことができると。出会いの絶景によって人間は個々に成長していくんだ。(…)求める。それは喜びを求めること。ただ生きておるだけじゃなくて、何かそこに手応えのある、これこそ人生だというような、立体的なものに突き当たっていく。あるいはそういうものに埋もれていくというか、掘り出していくというか、どう言ったっていいんだけど、そういう世界を求めている。」 
 
今期のおひつじ座もまた、やはり自分の力だけではどうこうできないというところに、むしろ価値を見出して、「出会いの絶景」ということに自分が生かされているんだ、という感覚をあらためて磨いていくといいかも知れません。 
 
 
参考:後藤繁雄編『独特老人』(ちくま文庫) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ