【歌舞伎のススメ*其の6】倉庫で歌舞伎⁈中村獅童が魅せる息を飲む90分《女殺油地獄》@天王洲
こんにちは!しんしんです! 最近の悩みは、腰痛。 勉強や仕事で長い時間座っているのが原因で、負担がかかっているみたいです。 何かいい解消法、ないかなぁ… さて、今回はひさびさの【歌舞伎のススメ】! 歌舞伎座を飛び出して、天王洲へ行って参りました!
倉庫で歌舞伎⁈ NYにインスパイアされたオフシアター歌舞伎がついに開幕!
舞台は寺田倉庫@天王洲
というのも、今回歌舞伎が上演される舞台となるのは、なんと「倉庫」! 駅を降りて、再開発の雰囲気を感じながら10分ほど歩くと、天王洲に拠点を構える《寺田倉庫》の一群が見えてきます。
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《建築ミュージアム》と隣接していて、外観もとてもおしゃれ! エンターテイメントの本場・NYでは、王道のブロードウエイが人気を博す一方で、海沿いの倉庫街の一角を使って、より自由で大胆な発想のパフォーマンスを行う実験的な試みが活発に行われています。 そんな雰囲気にインスパイアされたという《オフシアター歌舞伎》。 まさにぴったりの会場です!
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わたしも以前、NYで観た《Sleep No More》の衝撃が忘れられず、子どもながらに鮮烈な演劇体験だったのを思い出しながら、わくわくした気持ちで会場に向かいました。
古典の中に現代を鮮明に感じる生々しさー《女殺油地獄》
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まずは舞台の空間構成について。 倉庫空間の中に突如として現れる、まるで島のような舞台を中心に、360°客席がぐるっと囲みます。
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倉庫ならではの、低い天井、太い柱を生かしてフレームとして、極限までシンプルにした舞台装置。 そこに白塗りの登場人物たちが往来することで、物語世界が確かに立ち上がっていく様は圧巻です。
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まるで覗き見しているような背徳感と没入感
客席と舞台の境がないので、客席も含めて倉庫空間全体がまるっと物語世界の一部に取り込まれる感覚に。 手を伸ばせば掴めてしまいそうな距離感だからこそ、目の前で巻き起こる事件に、他人事ではない、現場をまさに目撃してしまっているような、ぞくぞく感、不安感、嫌悪感、怖さ、おかしさ、艶やかさ…そんな生々しい感覚に、いつのまにか膝上までじっとり浸ってしまっていることに、はたと気づいた時に流れる冷や汗。
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江戸時代の夜の闇が立ち上がる見せ場下段・豊島屋
柱の陰にぬらりと姿を現わす主人公・河内屋与平。 借金を返すための金を無心するために訪れた油屋の女房を殺すシーンが本作の見せ場です。 あまりに酷い理不尽な場面は、歌舞伎然として派手に描かれることも多いのですが、今回は客席との距離の近さと空間の無機質さを生かして、敢えて暗闇の中で視覚的な手がかりを少なくすることで、代わりに暗中模索する息遣いや汗の匂い、お互いの動きを探り合う恐怖がダイレクトに伝わる演出になっていました。
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最前列センターだったので、こんなに近く! 獅童さん演じる与平の甘えた声と、壱太郎さん演じるお吉の恐怖に引きつった息遣いが、今でも目を閉じると脳裏に蘇るほど、鮮烈に刻まれています。
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場内には売店も!歌舞伎座スパークリングワインを楽しむのも一興♡
ちなみにロビー空間には売店も完備! 開演前にスパークリングワインを購入して、ロビーで楽しむもよし、席に持ち込んで飲みながら鑑賞するもよし。
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ただし、開演してからは徐々に物語世界に引き込まれてしまって嗜む余裕はなくなると思うので、早めに飲み切っておくことをオススメします(笑)
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*舞台情報*
オフシアター歌舞伎『女殺油地獄』 【作】近松門左衛門 【脚本・演出】赤堀雅秋 【出演】 中村獅童 中村壱太郎 上村吉弥 嵐 橘三郎 赤堀雅秋 荒川良々 2019年5月11日(土)~17日(金)/東京・寺田倉庫G1-5F 2019年5月22日(水)~29日(水)/東京・歌舞伎町・新宿FACE
最後までお読みくださりありがとうございます♡ *しんしん*