総フォロワー11万人超え。カップルインフルエンサーの実態は?「生活のベースは会社員の給料だから気持ちに余裕」【モア・ボイス22・夫編】
1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。
そして多様性社会を生きる今、「モア・リポート」と並行して性別を問わずジェンダーレスに20・30代の体験談を取材し、彼らの恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」の連載をお届けします!
夫婦合わせてフォロワー11万人超え。カップルインフルエンサーの本音って?
ヨシヒコさんは妻のナルミさんとふたりあわせて11万人超のフォロワーを持つ夫婦インフルエンサー。趣味の延長ではじめたカメラだが、現在では仕事になっている。夫婦インフルエンサーとして活動するがゆえのメリットやデメリットを聞いた。
本記事では当事者である男性の思いが語られ、モア・リポートの記事では当事者の女性の思いが赤裸々に語られています。ぜひこちらもチェックを!(記事の最後に関連リンクあり)
写真はインスタで学んだ。旅先で恋人を撮影して、人気インフルエンサーに
――ヨシヒコさんは夫婦で11万人超えのフォロワーを持つインフルエンサーですね。投稿には、妻であるナルミさんの写真がならんでいます。
夫婦で旅をするインフルエンサーという位置づけで活動しています。完全なカップルアカウントというよりは、旅アカウントの位置づけです。(以下同、ヨシヒコさん)
――現在、インフルエンサーとしての収入はどのくらいですか?
月や案件によって総収入は変動しますが、PRは一投稿につき、数万円程度が多いですね。現在は、インスタ経由でお願いされるホテルやカップルのカメラマンや、イベントのディレクションなど、僕個人の仕事の収入の方が多いです。
――投稿をはじめたきっかけを教えてください。
僕はもともと知人からインスタの存在を聞き、地元の友人とだけつながっているプライベートアカウントを作成したんです。この時は趣味程度に写真を投稿するくらいで、フォロワーは数十人程度でした。
その後、ナルミさんとつきあうようになって、ナルミさんの写真を頻繁に載せるようになりました。結婚後、子どもが生まれ、現在は家族写真を撮ることもあります。
――プライベートの延長で、撮影した写真の投稿をはじめたのですね。
そうですね。ナルミさんとも共通の趣味であるカメラつながりで出会ったんです。最初は普通のカップルのようにデートの様子をカメラで撮影する感じでしたが、投稿しているうちにどんどんフォロワーが増えていきました。
――インスタに投稿されている写真はフォトジェニックなものばかりです。カメラの専門的な勉強をしたのですか?
いいえ。カメラはほぼ独学です。
カメラ仲間から「写真が好きだったらインスタを見てみたらいいよ」と言われて、カメラ関係のアカウントを見てみました。人気のアカウントには、絵のような写真が並んでいて「こんな綺麗な写真が撮れるんだ!」と感動しましたね。
――インスタで撮影技術などを学んだということですか?
そうですね。インスタにアップされている写真を参考にしながら撮影するところからはじめました。ナルミさんと出会ったのは2016年あたりで、ちょうど“インスタ映え”という言葉が流行りはじめたころです。
“インスタ映え”に心無い声をかけられたことも
――夫婦やカップルで仕事をするインフルエンサーのメリット・デメリットを教えてください。
僕のアカウントはもともと完全プライベートで、地元の知り合いのみつながっているものだったので、突然つきあっている恋人の投稿をはじめ、どんどんフォロワーが増えていく僕のアカウントを見ていた知り合いから「見るのがしんどい」と言われた経験があります。
――「見るのがしんどい」とはいわゆる“インスタ疲れ”のようなものでしょうか?
そうですね。インスタにはキラキラした“一瞬”を切り取って載せますよね。でも、それが僕の日常だと思った友人たちから「ヨシヒコはかわいい彼女と幸せそうでいいな俺(私)なんて……」「彼女(妻)を載せて自慢したいの?」と言われたこともありました。
インスタ上での自分とリアルな自分との間に、溝ができてしまい、なんとなく地元の友達から遊びに誘われなくなったり、距離をとられたこともありました。
――嫉妬ややっかみがあったということですね。
僕も妻も顔出しをしているので、そういうところは大きなデメリットだと思います。投稿を始めた当初は、仕事にする気はなかったので、なおさら「リア充アピール」と思われたのかもしれません。今は地元の友達とも和解していて、仕事をしている僕を見てむしろ「どうやって仕事になるの?」と相談を受けるようになりました(笑)。
長く続けるコツは、“趣味の延長”という気持ちを持つこと
――夫婦やカップルで活動していると、公私混同する部分はどうしてもありますよね。実際はどのような感じで行っているのでしょうか?
そうですね。たとえば撮影する前に夫婦喧嘩しているケースもあります(笑)。それでも写真は一瞬を切り取ったものだから、美しく見せることができる。だけど、写真が現実世界のすべてだと思う人もいます。
実際は、夫婦で一緒にやっているので、思ったような写真が撮れなかった時になんとなく雰囲気が悪くなることだってあるし、写真の良し悪しでデートを純粋に楽しめないことだってあります。
――プライベートと仕事が地続きであるがゆえの大変な部分ですね。逆にメリットはありますか?
僕たちは共通のカメラという趣味で出会って結婚したので、そもそも“写真”が好きです。だからこそ、同じ熱量で長く写真を楽しむことができるし、夫婦だからこそ、自然体な写真が撮れると思っています。それに、インスタ経由で請け負った仕事で、収入が増えるだけでなく、旅ができたり、いろんな体験ができたりして、生活や体験の幅が広がるのがうれしいですね。
――今後はどうしていきたいですか?
あくまで“写真好きのふたりがやっている趣味の延長”のスタンスを崩さないようにしたいと思います。
僕も妻のナルミさんも、どれだけインフルエンサーとして収入が上がっても、生活のベースは会社員の給料で、と話しています。ベースがあるからこそ、気持ちに余裕を持って、写真を楽しめると思うんです。
“自分は写真が好き”という初心を忘れずに、今後も家族を撮り続けていけたらいいですね。
夫婦インフルエンサー、女性側の気持ちは? ナルミさんのインタビューをチェック!
取材・文/毒島サチコ