1980年──、いまから40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。MORE世代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

「出会いを求めて裏アカをやっているわけではない」

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ーDATAー
上原さん(仮名)33歳 /既婚 /職業:事務
初体験:17歳 /経験人数:100人くらい

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本音や欲求をさらけ出す“裏アカ”

「裏アカでセックスしたいわけじゃない」既の画像_1
――Twitterで裏アカを持っている?

はい。6年前から、女性の本音やちょっとエッチなことをつぶやくTwitterの裏アカ(※裏アカウントの略)を始めました。現在は、結婚して7年目になる旦那と2人で暮らしています。(以下、上原さん)

――はじめたきっかけは?

最初は、裏アカの存在すら知らなかったのですが、結婚して1年くらいたった時に、Twitterの”おすすめ“から、いろいろな女性の裏アカを見ていました。

みんなエッチなつぶやきや少し露出した自身の画像を載せていて。

私はぽっちゃり体型なのですが、私と同じような体型の方の裏アカがTwitter上で人気があることも知りました。「へーこういう需要があるんだ!」と興味を持ったのがきっかけです。

――結婚後に、裏アカをはじめられたのですね。

はい。裏アカを知ったのは、なかなか子どもを授からず、不妊治療をはじめた時期でした。

私個人としては「絶対子どもがほしい!」とは思っていなかったのですが、旦那がすごく子どもを欲しがっていて。

まずタイミング法を試したのですがこの日にセックスをしなくちゃいけない!」みたいな気持ちに占領されて、自由にセックスが楽しめなくなった。

それに、元から旦那はセックスがとても淡泊な人で。私はクンニをしてもらうのが好きなのですが、旦那は全然してくれなかったこともあり……。

不妊治療は、最終的に体外授精まで試したのですが、それでも授かることができず、旦那から「畑が悪い」と言われることもありました。本人は軽い気持ちで言ったのかもしれませんが……。

心が折れてしまって。

そんな普段の生活で抱えている気持ちを裏アカでさらけだすことで、ストレスを発散している部分もありましたね。

裏アカは承認欲求が満たされる

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――上原さんの裏アカには、数千人のフォロワーがいますよね。

はい。気づいたら増えていました。比率としては、男性が多い……のかな?

でも、裏アカで男性と会ってセックスしたいとかそういう感情はなくて。裏アカを始める女性の中には、性的な出会いを求めている人も多いと思うんですが、私はTwitterを通じて男の人と会ったことはないですし、これからも会うつもりはありません。

Twitterにちょっとエッチな画像を上げた時に「ぽっちゃりの人好きです~!」とか「かわいい!」とかかまってもらえるだけで、気持ちが満たされる部分があって。

――裏アカをはじめて変わったことはありますか?

一番大きかったのは、裏アカでつながった女友達ができたことです。たまに会って、お互いの近況を報告し合います。

大人になると、友達って作りづらいじゃないですか。でも出会いが裏アカだと、お互いの素の部分を知っている前提で話せるのですぐに打ち解けられるんです。

昔から表と裏“2つの顔”を使い分けていた

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――裏アカの存在は、リアルな知り合いは誰も知らない?

もちろん、旦那もリアルな友人も知りません。でも、だからこそ、呟けることがある。

普段私は旦那が経営する会社を手伝っていて、事務作業を一人で担っています。

仕事をしながらいろいろなことを考えます。現在、不妊治療は一旦お休みしているのですが、再開してもし子どもを授かったら、事務作業は誰がやるのかな……とか。

それに、旦那は家事もほとんどしないので、そこも不安。そういう不安をさらけ出す場所として今の私に裏アカは必要です。

――現実の自分と裏アカの自分。"2つの自分”で調和を保っている部分もあるんですね。

はい。私は10代の頃、2つの顔がありました。お昼は真面目な高校生。夜になると、出会い系サイトで男の人と会い、セックスをする奔放な高校生……実は22歳までに経験人数が100人を超えているんです。

……って、さっき「裏アカでセックスしたいわけじゃない」って言ったのに、驚きますよね(笑)。

でも、人は誰でも現実に不安や不満を持っていると思います。今の私にとって、それを解き放つ場が、裏アカ=2つ目の顔、なのかもしれません。
取材・文/毒島サチコ