映像を中心に非常事態が常態化した現代を鋭く切り取る特別展

映像を中心に非常事態が常態化した現代を鋭く切り取る特別展

2025年6月28日(土)から10月5日(日)まで、大阪・中之島の国立国際美術館で特別展「非常の常」が開催されます。世界的に活躍する8人の作家による作品を通じて、常態化する非常事態の日々を見つめ、明日を生きる希望を探るこの展覧会は、現代社会が抱える課題や不安をアートを通じて深く考える機会となることでしょう。

多様な映像作品で表現される現代社会の危機と希望

高橋喜代史《POSTER》2018 年 タグチアートコレクション/タグチ現代芸術基金蔵 シングルチャンネル・ヴィデオ(カラー、サウンド)、ポスター ©Kiyoshi Takahashi Courtesy the artist

高橋喜代史《POSTER》2018 年 タグチアートコレクション/タグチ現代芸術基金蔵 シングルチャンネル・ヴィデオ(カラー、サウンド)、ポスター ©Kiyoshi Takahashi Courtesy the artist

「非常の常」展では、地震や戦争、パンデミック、政治的混乱など、現代社会が直面する危機をテーマにした作品が展示されます。出品作家は、シプリアン・ガイヤール、潘逸舟(ハン・イシュ)、クゥワイ・サムナン、キム・アヨン、リー・キット、高橋喜代史、米田知子、袁廣鳴(ユェン・グァンミン)の8名。彼らの作品は、映像、写真、インスタレーションなど多様なメディアを通じて、非常事態が常態化した現代を鋭く描き出します。

シプリアン・ガイヤール《Artefacts》2011 年 フィルム(HD から35 ミリフィルムに変換)、サウンド、ループ  国立国際美術館蔵 ©Cyprien Gaillard Courtesy the artist and Sprüth Magers

シプリアン・ガイヤール《Artefacts》2011 年 フィルム(HD から35 ミリフィルムに変換)、サウンド、ループ  国立国際美術館蔵 ©Cyprien Gaillard Courtesy the artist and Sprüth Magers

特に注目すべきは、8人中7人が映像によるインスタレーション作品を発表している点です。キム・アヨンの3Dアニメーションと実写を組み合わせた短編映画のような映像、潘逸舟のモノクロ映像による体当たりの表現、高橋喜代史の社会が抱える難題にアプローチする映像作品など、バラエティに富んだ映像表現を一堂に見ることができます。

袁廣鳴(ユェン・グァンミン)《日常戦争》2024 年 シングルチャンネル・ヴィデオ(カラー、サウンド) 国立国際美術館蔵 ©Yuan Goang-Ming Courtesy the artist and TKG+

袁廣鳴(ユェン・グァンミン)《日常戦争》2024 年 シングルチャンネル・ヴィデオ(カラー、サウンド) 国立国際美術館蔵 ©Yuan Goang-Ming Courtesy the artist and TKG+

キム・アヨン《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》2022 年 シングルチャンネル・ヴィデオ(フルHD、カラー、サウンド) 国立国際美術館蔵 ©Ayoung Kim Courtesy the artist

キム・アヨン《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》2022 年 シングルチャンネル・ヴィデオ(フルHD、カラー、サウンド) 国立国際美術館蔵 ©Ayoung Kim Courtesy the artist

また、袁廣鳴の《日常戦争》やキム・アヨンの《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》など、世界的に高く評価されている作品が日本初公開されることも見どころの一つです。

現代社会の複雑な課題に向き合いながら、アートを通じて明日を生きる希望を探る「非常の常」展。ぜひこの機会に、映像表現の新たな可能性を体感してみてはいかがでしょうか。

「非常の常」概要

会期:2025年6月28日(土)~10月5日(日)
会場:国立国際美術館 地下3階展示室 大阪市北区中之島4-2-55
開館時間:10:00~17:00(金・土は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日、8月12日、9月16日
観覧料:一般1500円

「非常の常」展の詳細はこちら!