最近の発売された話題の本や永遠に愛される名作などから、キーワードに沿った2冊のイチ押しBOOKをご紹介します。

【今月のキーワード】「幸せの探し方と感じ方を知る」

幸せになりたい! と願う瞬間はそこここに潜んでいる。身に降りかかる理不尽や不運をきっかけに不幸を感じることもあれば、ただただボーッとしているうちに心がネガティブの海へ泳ぎだしてしまうこともある。現実を生きている限り、「お悩み」はどうしてもついて回るもの。しかもこの「お悩み」とは極めて個人的なことでありながら、皆が共有している思いでもあったりするから不思議だ。愛が欲しいのか、お金が欲しいのか、インスタ映えしたいのか、不倫の愛に懊おうのう悩しているのか。じゃあ、それもこれも、まとめて全部“縄文人”に相談しちゃおう! というのがこの本のコンセプト。何しろ相手は縄文人。数千年の時を飛び越えて、現代人の現代的な悩みにそっと優しく寄り添って……くれるわけではない。だけどそのお答えは「お金ってなんですか?」、「インスタ映えする写真が撮りたいなら、ぜひ縄文時代に」、「バレない不倫はありません」などと爽快にして明快。視点を変えること、悩んでもしかたないなら投げ捨てること――縄文イズムに彩られた軽やかなスタンス、伝染します。

【イチ押しBOOK1】望月昭秀さんの『縄文人に相談だ』

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話題のフリーペーパー『縄文ZINE』から生まれた人生相談本。現代人から寄せられた80あまりのお悩みに、縄文人(のフリをした現代人)が縄文的に回答する。つい縛られてしまいがちな常識の縄を解いてくれる、軽やかな言葉の数々。気づけば笑っているはず。(国書刊行会 ¥1500)

投げ捨て上等。でもときにはじっと立ち止まって、自分にとっての幸福が何であるかを見極めたい。そんな時はこの黄色い『幸福論』が役に立つ。精神科医・春日武彦先生がすすめるのは、幸福の断片を探すこと。雲形定規に万国旗、公園で作った砂山のトンネル……。個人的で脈絡もなく、世の中で提唱されている幸福から大きくはずれていても問題なし。お仕着せではない、現実の手ざわりを持った幸福を見つけることの楽しさを教えてくれる一冊だ。

【イチ押しBOOK2】春日武彦さんの『幸福論』

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人類の歴史の中でいく度となく問われてきた、幸福とは何かを考える。幻想や理想としてのそれではなく、“自分で見つけ出した幸福”こそが人生を豊かにする。2004年から版を重ねる、優しくやわらかな人生の教科書。(講談社 ¥700)

--------------------- MORE2018年5月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 文/鳥澤 光 ---------------------