It girlの「私の履歴書」

選んだ生き方にこそ、センスが表れる

主体的にキャリアを選択し、自分らしく働いている女性たちを取材するこの連載。今回は、会社内でファッションブランドの立ち上げを経験したあと、2022年に独立。新たに『Gajess(ガジェス)』をローンチさせた三條場さんにお話をうかがいました。

三條場夏海(さんじょうば なつみ)さん

販売員、プレス、社内ブランド立ち上げを経験し、独立。この春、ファッションブランド『Gajess』をローンチ

『Gajess』ブランドディレクター 三條場夏海さん

Job :
『Gajess』ブランドディレクター

Profile :
1994年生まれ、東京都出身。新卒でアパレル企業『ビームス』に入社し、販売員、プレスを経験。社内で新ブランド『JOIÉVE(ジョエブ)』を立ち上げ、プレスとディレクターを兼任。2022年に独立しファッションブランド『Gajess(ガジェス)』を立ち上げる

History

2016
大学を卒業し、『ビームス』入社。「デミルクス ビームス 新宿」に配属され販売員を経験

2017
『ビームス』プレス職へ異動。本社勤務となる

2019
社内の新規事業コンテストに応募し優勝。翌年、結婚式参列がテーマのサービス『BEAMS SALON』と、その旗艦ブランド『JOIÉVE』のディレクターに

2022
11月に『ビームス』を退社し、独立。2023年に自身がディレクターを務めるブランド『Gajess』を立ち上げる

三條場夏海さんの選択

“楽しいからがむしゃらになれるし、楽しいから次の夢を見つけられる”

 『Gajess』ブランドディレクター 三條場夏海さんのデスクワークシーン

三條場夏海「学生時代からブログなどでコーディネートを発信するのが好きだった私は、周りの大人に相談し“プレス”という職業があることを知りました。とはいえ、アパレル業界では最初からプレスになれるわけではなく、入社後は店舗で販売員を経験するのが基本。いち早くプレス職になるために、風通しのよい雰囲気で実際に若手が活躍している実績があった『ビームス』に入社を決めました」

三條場さんの予想は的中し、初めて配属された店舗のスタッフとはとても仲がよく、毎日仕事が楽しかったという。

三條場夏海「私がプレスになりたいという夢を伝えたら周りが全力でサポートしてくれ、実際に店舗のインスタ運用なども任せてもらえました。まだ今ほどはやっていなかったInstagramのフォロワーをぐっと伸ばせたことも手伝って、予想よりも早い1年半でプレスに配属。プレスになってからは毎日必死でしたが、社内初の新規事業コンテストに応募し優勝したことで、提案した結婚式参列がテーマのプロジェクト『BEAMS SALON』の立ち上げを実現できました。コンテストのプレゼンで意識したのは、自分の“好き”をただアピールする場にしないこと。会社がまだ参入していない分野と、お客様の需要、自分の興味が重なる事業だと実現の可能性が高いと考え、SNSを使って何度もアンケートを取りました。客観的な視点で提案ができたことで、立ち上げが叶ったのだと思います」

初めてディレクションしたブランドは想像以上の大反響。その秘訣は、チームメンバーとコミュニケーションをとりながらモノづくりを楽しむことができたからだという。

三條場夏海「忖度せずに『可愛い』の感覚を共有しあえる同世代の社員をチームに入れていいと、メンバーの選定を上司が一任してくれました。そのおかげで、自分たちのセンスと感覚を信じてみんなで楽しみながら洋服を作れたんです。昨年、私は居心地のよい会社を退職しましたが、『ビームス』で感性を認めてもらったからこそ、会社の力を借りずにステップアップしたいと新たな夢への一歩を踏み出すことができました。今は新ブランド『Gajess』の立ち上げに奮闘中。——楽しいこと。それを必ずしも仕事にする必要はないですが、私は『楽しい』があるから、目標を更新し続けられるのだと思います」

“実現させたい理想を叶えるためにクリアすべき目標をリストアップ”

『Gajess』ブランドディレクター 三條場夏海さんの洋服選び

「独立後は、主に自宅で『Gajess』の立ち上げ準備の作業に追われる日々。『ビームス』時代もブランドのディレクションを経験しましたが、当時と違って会社のサポートがない分、細かい事務処理などの業務が増えました。会社勤めのありがたみも感じつつ、“自分が表現したいものをつくれる”幸せを実感しているところです。私は好きなことにはがむしゃらになれる性格なので、クリエイティブ面はとことんこだわり、苦手な作業は一緒に働いているスタッフに甘えるようにしています」(三條場さん、以下同)

『Gajess』ブランドディレクター 三條場夏海さんのお仕事シーン

「私は、すぐには叶わないだろう大きな理想と、努力で達成したい目標の両方を心に抱いています。一見つながりのなさそうな理想と目標だったとしても、目標をひとつずつクリアしていくことで、いつの間にか理想が現実的になっていることがあります。今の目標は『Gajess』の実店舗をつくること。そのためにファーストコレクションをひとりでも多くのお客様に届けたい。そして最終的には『JOIÉVE』の製作で私が感じたように『全員が楽しく働く』組織づくりをすることが理想です。まだまだスタッフも少ないけれど、“楽しいの輪”が広がったらうれしいです」

Natsumi's OSHIGOTO STYLE

FASHION

三條場夏海さんのファッション。gajessのセットアップ

「『Gajess』のディレクターとして取引先の方に会う時は、自分らしさやブランドらしさを意識しつつも、信頼してもらえるようにラフすぎないコーディネートをするように。写真は、展開中の刺しゅう入りブラウス&スカート。暖かくなってきたので、『Gajess』を着て外出することも増えそうです」

MAKE-UP

三條場夏海さんのメイク

「今まではツヤ肌ひとすじでしたが、最近はマット肌に夢中。きっかけは、『NARS』の新作発表会でタッチアップしたマットファンデーションでトレンド肌に様変わりしたこと! 早速GETしました」

BAG

三條場夏海さんのバッグの中身

「独立するにあたり“はじめまして”のシーンが増加。今までミニバッグが好きでしたが、ほどよくきちんと感のある『MIU MIU』の大きめバッグを購入。いつでもサイズが測れるようメジャーをIN」

Private

三條場夏海さんのプライベート

「フリーランスになり家で仕事をすることが増えたので、オンオフの切替えに試行錯誤中。今は香りのチカラに頼っています」

●これまで配信した「It Girlの『私の履歴書』」はこちらから

撮影/山根悠太郎(TRON) ヘア&メイク/鈴木海希子 取材・原文/宮田彩加 ※MORE2023年6月号掲載