100年以上前の原作を最新技術で実写化! 映画『ジャングル・ブック』
アメリカでは広く知られている「ジャングル・ブック」ですが、日本ではそれほど馴染みがないかもしれません。それもそのはず。原作はインド生まれのイギリス人作家、ラドヤード・キプリングが100年以上前に発表した短編小説で、ウォルト・ディズニーの遺作となったアニメ版も約50年前に公開されたもの! ジャングルで黒ヒョウのバギーラに救われ、オオカミ・ラクシャの子どもとして育てられた人間のモーグリが、多くの冒険を通して成長していく様子を描いた物語の実写映画化です。
人間の主人公以外、背景も登場人物もすべてCGで描いた美しくリアルな映像が話題ですが、さらに注目なのがイマジネーション豊かな設定。あくまでもおとぎ話を映像化したフィクションなので、動物たちが人間の言葉を話す描写はもちろん、自然界では共存しえない種族が共に暮らしていたり、カラダのサイズがリアルとはかけ離れていたりと、自由な発想のもと描かれています。そして動物たちのキャラクターが、人間以上に人間らしいのがチャーミング。
成長すればジャングルにとって脅威になると考える残忍なトラ、シア・カーンによって森を追われ、人間の村に帰ることを決意する主人公のモーグリですが、ちょっと口うるさいけど絶対に味方でいてくれる黒ヒョウ・バギーラとの師弟愛や、しきたりにとらわれず自分の能力を発揮する喜びを教えてくれるクマのバルーとの友情など、まるで人間同士のドラマを見ているような共感ポイントがいっぱい。特にモーグリを自分の子のように育てたオオカミのラクシャが、「どこへ行き、どんな名前で呼ばれようと永遠に私の息子」と、深い母の愛を持って送り出すシーンは涙なくしては観られません。「さすがディズニー!」と唸らされる、圧倒的な映像美と親しみやすいドラマの融合を堪能して。
(文/松山梢)
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