公開中&近日公開予定の話題作から、キーワードに沿った2本のイチ押し映画をご紹介します。

【今月のキーワード】恋とは"違い"を超えておちるもの。

恋におちてはいけない者同士の許されざる愛は、いつの時代もせつなさと共に深い感動を与えてくれるもの。『美女と野獣』や『シザーハンズ』、『トワイライト〜初恋〜』のような違う種族との愛を描いたものならなおさら、立ちはだかる壁の大きさに涙をしぼり取られる。アカデミー賞で13部門にノミネートされるなど、本年度の賞レースを席巻した『シェイプ・オブ・ウォーター』は、このジャンルに新たに名を刻む名作。慎ましく暮らしていた平凡な女性イライザ(サリー・ホーキンス)と、アマゾンの奥地から連れてこられた不思議な生き物との愛をスリリングに描いたファンタジーだ。幼い頃のトラウマから言葉を話すことができないイライザと言語を持たない彼とのコミュニケーションは、アイコンタクトや手話、音楽やダンスなど。特にうっとり熱い視線を交わす彼らの愛を雄弁に表現したミュージカルシーンは、最高にロマンティック! 非力だったヒロインが、彼の命を救うために権力に屈しない勇敢な女性に変貌していく姿も、愛の持つパワーの大きさを痛感させられる。

【イチ押しシネマ 1】『シェイプ・オブ・ウォーター』

キーワードは「恋とは
©2017 Twentieth Century Fox

1962年。アメリカ政府の極秘研究所で清掃員として働くイライザはひそかに運び込まれた不思議な生き物に心を奪われ、しだいに心を通わせるように。だが彼が間もなく実験の犠牲になることを知り、なんとか助け出そうと大胆な行動に出る。● TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中

そしてこの“種族の違い”は“人種や文化の違い”のメタファーでもある。『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』は、パキスタン出身の男性とアメリカ人女性の異文化カップルが直面するトラブルを描いた実話の映画化。パキスタン人との結婚しか認めない伝統を重んじる家族と、自分との将来を夢見る彼女との板ばさみになる主人公のもがきっぷりは、笑えるけれど切実。現実は愛のパワーだけでは簡単に乗り越えられないのかも!?

【イチ押しシネマ 2】『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』

キーワードは「恋とは
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パキスタン出身でコメディアンを目指すクメイルは、厳格な家族から強引に同郷女性とお見合いをさせられる。そのことがアメリカ人の彼女にバレてしまい……。●公開中 

--------------------- MORE2018年4月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 文/松山 梢 ---------------------