話題のステージの中から、キーワードに沿ったイチ押し舞台、そして2本のおすすめをご紹介します。

【今月のキーワード】至高のキャスト×古典の名作

『ハムレット』と言えば、シェイクスピアによる四大悲劇の中でも、最高傑作と評される戯曲。国王である父を亡くし、父の亡霊に会い、その座を奪った叔父に復讐をするため狂気に満ちていくハムレット王子。復讐により、恋人オフィーリアは狂乱し、死んでしまう。憎悪の連鎖により悲劇が生まれていくストーリーはあまりにも有名だ。古今東西、いく多の演出家や俳優たちが、この作品に挑み続けてきた。そんななか、今回悩める美青年のハムレット王子を演じるのは、岡田将生。初舞台で、蜷川幸雄から「いつかキミとシェイクスピアをやりたい」と言わしめた彼が、舞台出演5作目にしてついにシェイクスピア作品に登場。その恋人役には黒木華。大学在学中に野田秀樹のワークショップに参加してオーディションに合格して以来、多くの舞台を踏んできた。舞台経験豊富なふたりを演出するのは、シェイクスピアを生んだイギリスで第一線を走り、世界的に注目を集める演出家サイモン・ゴドウィン。世界で最も有名な作品からどんな魅力を掘り起こし、新しい息吹を吹き込むのか期待が高まる。

岡田将生でシェイクスピアを。そう願った蜷川幸雄にとって『ハムレット』は、その演出家人生で何度となく向きあってきた特別な作品だった。2015年の“80周年記念作品”という節目の場面でも、藤原竜也を主演に迎え上演。初演時には主な演劇賞を総なめにした藤原が、12年ぶりにハムレットを演じたことでも大きな話題となった。DVDを観れば、同じ戯曲でも演出家や演者によってどれだけ変わるのかきっと驚かされるに違いない。
岡田将生さんが、シェイクスピア作品『ハムの画像_1
【今月のイチ押し☆ステージ】『ハムレット』
出演は岡田、黒木に加えて王妃役の松雪泰子、父と妹の復讐に燃えるレアーティーズ役の青柳翔、ノルウェー王子役の村上虹郎ほか。演出のサイモン・ゴドウィンが「ダークなおとぎ話」ととらえ真実とファンタジーが入り混じる『ハムレット』はどんなものになるのか。◆5/9〜6/2 Bunkamuraシアターコクーン(大阪公演あり) ●Bunkamura ☎03・3477・9912
岡田将生さんが、シェイクスピア作品『ハムの画像_2
【今月のイチ押し☆ステージ2】蜷川幸雄80周年記念 彩の国シェイクスピア・シリーズ番外編 NINAGAWA ×SHAKESPEARE LEGEND  第2弾『ハムレット』
シェイクスピア全37作を上演した企画の番外編『NINAGAWA×SHAKESPEARE LEGEND』の第2弾。蜷川幸雄のインタビューなど特典映像も。(発売元/ホリプロ 販売元/ポニーキャニオン ¥5880)
©2015-2016 HORIPRO INC.

オススメステージは、『獣の柱』と『海辺のカフカ』。

岡田将生さんが、シェイクスピア作品『ハムの画像_3
『獣の柱』
前川知大が主宰する劇団「イキウメ」。映画化された『散歩する侵略者』のように日常に潜む怪異を描いた作品にファンが多く、本作も2013年に初演されたSF作品。ある日都市に降り注いだ巨大な柱。それは人々にあきれるくらいの幸福感を与えていく……。◆5/14〜6/9 シアタートラム(地方公演あり) ●世田谷パブリックシアター ☎03・5432・1515
岡田将生さんが、シェイクスピア作品『ハムの画像_4
『海辺のカフカ』
村上春樹の同名原作を蜷川幸雄が演出。世界5都市をめぐり、今年フランスでも上演された名作で、視覚的な仕掛けが話題に。そして、初演から約5年ぶりとなる東京で凱旋公演が行われる。出演は寺島しのぶと岡本健一、謎の少年“カラス役”は注目の若手俳優柿澤勇人が演じる。◆5/21〜6/9 TBS赤坂ACTシアター ●ホリプロチケットセンター ☎03・3490・4949

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MORE2019年6月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 原文/小泉咲子
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