『コンテイジョン』にハマった人必見! 社会派ドラマ&ドキュメンタリー【映画ライター松山梢さんのNetflixガイド・2】
感染症の脅威とパニックを描き、デマの拡散や医療従事者の感染、買い占めや都市封鎖などの内容が「今の世界情勢と似過ぎている!」と近頃話題になった2011年公開の映画『コンテイジョン』。映画やドラマは世界で起きていること、もしくは起こるかもしれないことを映す鏡であることをまざまざと突きつけられた人も多いのでは? そこで今回は、家にいるだけでは見えてこない、広い世界を知ることができる作品を紹介します。
サクっと15分で教養が身につく。『世界の“今”をダイジェスト』
Netflixにはニュースだけでは知ることのできない、世界のリアルを紹介する番組が多いのも魅力。そのひとつがアメリカのニュースメディアVoxが監修しているドキュメンタリー。取り上げるテーマは男女間の賃金格差や政治的公平さなどの真面目なものだけでなく、女性のオーガズムや星占い、地球外生命体やK-POPのヒットの秘密まで多岐にわたっているのも興味をそそられます。世の中の見る目がちょっとだけ変わるのに、1話15〜25分程度でサクッと観られる“ダイジェスト”なのもお手軽。見れば誰かに話したくなるネタの宝庫です。
『世界の“今”をダイジェスト』Netflixにて独占配信中
食から危険な世界をのぞき見。『ハイパーハードボイルドグルメリポート』
©テレビ東京
2017年にテレビ東京で放送され反響を呼んだ異色のグルメ番組が、Netflixでも見られるように。タイトルの通り、アフリカの元少女兵やロサンゼルスの極悪ギャング、シベリアの山奥にあるカルト教団の村など、普通なら避けたくなる危なすぎる人たちの驚きの食事に迫る内容。そのあまりに日本と違う生活ぶりに大きな衝撃を受けるけれど、彼らの食事がゲテモノかと思いきや、実はそうでもない。見たこともない食材を使った知らない料理でも、実は日本の料理に似ていたり、味が意外においしかったり。食事は生きることと直結し、生きる喜びとも直結しているのです。どんな環境に生きる人でも、根源的には私たちと何も変わりがないと実感できます。
『ハイパーハードボイルドグルメリポート』Netflixにて配信中
タブー視されていた世界に切り込む。『アンオーソドックス』
超正統派ユダヤ人社会で暮らす19歳のエスティが、ニューヨークを脱出してベルリンへ逃れ、見たこともない新しい世界に踏み出す物語。と同時に、超正統派ユダヤ人社会の実態が明らかになっていく展開がかなり興味深いんです! 既婚女性は髪を晒すことを許されず、全て剃ってカツラを被るのがルール。避妊が禁止されており子供が多いのも特徴で、男性はほぼ一生働かずに経典の研究に費やし、女性が外に働きに出る。インターネットも許されないため一般社会から隔離された生活を余儀なくされています。そんな閉鎖的な社会から着の身着のまま脱出し、カツラを脱ぎ捨てて自分の人生を歩む決意をしたエスティの力強い眼差しに、同じ女性として思わず「頑張れ!」と心の中で応援してしまいます。スタッフやキャストが製作秘話や作品にかける想いを語る『アンオーソドックス 制作の舞台裏』も併せてチェックするとおもしろさ倍増です。
『アンオーソドックス』Netflixにて独占配信中
見るだけで部屋がきれいになる!? 『KonMari 〜人生がときめく片付けの魔法〜』
昨年公開されやいなやアメリカで大反響を呼んだ“こんまり”こと近藤麻理恵の片付けメソッドを提唱したリアリティーショー。彼女が片付けていくのは、小さい子供の子育てで家が片付かない夫婦や、亡くなった夫の遺品を手放せない妻など、様々な悩みを抱えた人たちが暮らす家。そこで彼女は、まるで小さな妖精のようにニコニコと大きな家中を飛び回り、次々と魔法でお片づけ……してくれるはずもなく、あくまでもやることは方法論を教えるだけ。依頼人たちが自分で荷物を片付けながら、その意外にもスパルタなこんまりの一面に青ざめるのも見どころです。そして、片付けをしながら依頼人の心の中も整理されていく過程は見ている側も思わず涙。長く続く外出自粛中に、あなたの家にもときめきの魔法をかけてみては?
『KonMari 〜人生がときめく片付けの魔法〜』Netflixにて独占配信中
まつやまこずえ●映画誌『ROADSHOW』の編集を経て、フリーライターに。現在は映画や演劇に関する記事を中心に、スポーツや美容、ライフスタイルに関する記事まで幅広く執筆。