まるで『ローマの休日』!? 映画『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』は若かりしエリザベス女王の物語
王女がこっそり街に飛び出し、人生を変える1日を過ごす……。まるで『ローマの休日』みたいなストーリーですが、なんとれっきとした実話。今年90歳を迎えたイギリス史上最高齢・最長在位の君主であるエリザベス女王が、生涯で一度だけロンドンの街中で妹のマーガレットと共にお忍びの一夜を過ごしたエピソードを映画化しました。ただし、その夜に正確に何があったかは知られていないので、膨大な資料や伝記をリサーチした上で、実話に着想を得て描かれたファンタジーです。
舞台は1945年5月8日。午前0時を過ぎれば6年続いた戦争が正式に終わる“ヨーロッパ戦勝記念日”の夜。当時まだ19歳だったエリザベス王女と4歳年下の妹マーガレットは、「外の世界を見てみたい」と国王を説得し、生まれて初めてバッキンガム宮殿を後にします。行き先はリッツ・ホテル。門限は1時。付き添いの近衛兵は2人。ところがマーガレットは監視の目が離れた隙にホテルを飛び出し、エリザベスが慌てて追いかけるものの離ればなれに。途方に暮れたエリザベスは、バスで出会った兵士のジャックに妹探しを手伝ってほしいと頼み込み、これまで経験したことのない刺激的な一夜を過ごします。
エリザベスを演じたのはカナダ出身のサラ・ガドン。完璧なイギリス英語を身につけて、次期女王の自覚と覚悟に目覚めていくヒロインを魅力的に演じています。4年連続で「世界でもっとも美しい顔100」に選ばれた経験もある、彼女の美しさに終始うっとり♡ さらに注目なのが、マーガレット王女の描き方。ここまではっちゃけちゃって大丈夫? と見ているこちらが心配になるほど、自由奔放で恐れを知らないエネルギッシュな女性像がとってもチャーミングです。恋多き女性として知られていた実際の王女のその後を知れば、感慨もひとしお。1940年代のロンドンを再現した壮麗な街並と、控えめだけど美しい、王女たちの上品なファッションにも注目を。ちなみに『英国王のスピーチ』で知られる父、ジョージ6世のスピーチシーンも描かれています!
(文/松山梢)
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