嘘をついているのは誰だ!? 映画『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』
お目当ての俳優や監督の作品は「よしっ、コレ観に行くぞ!」って気になりますが、何となく映画を観たい気分だけど選択肢が多すぎて何を観ていいのか分からない……ってこと、よくあると思います。そんな週末にオススメしたいのが、ベストセラー作家・宮部みゆきのミステリー巨編を映画化した『ソロモンの偽証』です。
物語を簡単に説明すると、中学校で男子生徒が転落死した事故をきっかけに次々と不可解な事件が起きていきます。誰が本当のことを言っているのか、誰が嘘を言っているのか、学校も警察もマスコミも信じられなくなくなってしまった生徒たちが、自分たちで事件の真相を明らかにしようと、転落死事故の犯人として疑われている生徒を学校内裁判にかけるというお話です。
映画を観る前は、前篇は約2時間、後篇は約2時間半、合わせて約4時間半! 正直「長いなぁ…」と思いました。ですが! 前篇を観てグッと引き込まれ、後篇は謎解きの面白さはもちろん、人間の複雑な心理描写ともつれた愛情がグサグサと胸に刺さってくる。突き刺さるだけでなく、考えさせられるんです。嘘の裏には嘘をつかなければならなかった何かがあるかもしれないし、真実を明らかにすることで苦しむ人がいるかもしれないのだと……。そして、自分たちで裁判すると決めた生徒たちが一生懸命に裁判をやり遂げる姿に感動。
ちなみに、大人役は佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、尾野真千子など名優が顔を揃えているのに対して、生徒役はほとんど無名の俳優たち。ですが、ですが! 心配ご無用、彼らは10000人のオーディションを勝ち抜き、数ヵ月にわたり演技レッスンをした精鋭。想像以上の演技の素晴らしさにも驚くはずです。
一人で観て考えるもよし、誰かと観て語り合うもよし。一緒に観る人を選ばないので、たとえばデートムービーしては前篇&後篇ありますから確実に2回誘えますし(笑)、観た後も「面白かったね」と語り合える、しかもハズさない映画です。
(文/新谷里映)
『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』
●『前編・事件』上映中、『後篇・裁判』4/11〜全国ロードショー
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