【二宮和也】20代から変わらない仕事論「常に“終わり”を意識してきた」
二宮和也のあの頃と、20代の人たちに思うこと
2009年、当時25歳だった二宮和也さんの連載「二宮和也のIt[一途]」が『MORE』でスタートした。あれから16年。41歳になった今の二宮さんは、あの頃をどう振り返るのか。「年齢で何かを区切ったことはない」という二宮さんが、あらためて振り返る多忙だった20代の日々。そして今を生きる20代へのメッセージとは。

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にのみや・かずなり●1983年6月17日生まれ、東京都出身。1999年にアイドルグループ「嵐」のメンバーとしてデビュー。近年はドラマ『ブラックペアン』シリーズや映画『【推しの子】-The Final Act-』など話題作に多数出演。テレビ『ニノさん』、ラジオ『BAY STORM』、YouTube『よにのちゃんねる』など幅広いジャンルで活躍。約10年間の『MORE』での連載をまとめた書籍『二宮和也のIt [一途]』(集英社)が好評発売中
嵐として貴重な経験ができたことはありがたかった。日本でもなかなかいない、稀な20代だったと思う。
──二宮さんにとって20代はどんな時だったと思いますか?
「稀な経験をした20代だったと思います。それは嵐というグループを客観的に見ても思うこと。貴重な体験がたくさんできたことはよかったと思うし、ありがたいですよね。たぶん、20代はほとんど仕事をしていたんじゃないかな」
──ドームツアーやアジアツアーを成功させ、レギュラー番組も続々とスタートするなど、嵐の勢いが急激に加速していった時期です。仕事に対する向きあい方も変化していきましたか?
「オレの場合は13歳からこの仕事をしてきたから、20代になったからといって特に仕事のスタンスは変わらなかったかな。基本的にはグループで動いていたので、個人的な夢や目標は必要なかったし、悩みも特になかった。人に恵まれたし、助けられてきた20代だったと思います」
今の20代はすごく働き者。そのままで素晴らしいと思う
──先輩から助言をもらったりは?
「自分から求めることはなかったけど、面倒見がいい先輩が多かったからいろいろ聞きましたよ。ただ、30歳年上の方とかもいたから、自分の世代にフィットする助言ばかりじゃなかったけど(笑)。今ではオレも後輩から相談を受けることがあるけど、基本は話を聞くだけ。明確な答えは出さないようにしています。彼らには彼らなりのやり方や考えがあるから」
──今の20代に感じることは?
「しっかりしてるし働き者だよね。早い時代の流れに対応しているだけで素晴らしいよ。いつの時代も、20代は人に左右されずに自由にしていていいと思う。結局は自分の選択がいちばん正しいんだから」
20代から変わらない“一途”な思考
事前にあらゆるリスクを想定して丁寧に仕事をしてきたタイプだと思う
これまでのキャリアを振り返っても失敗した記憶はないかな。そもそもオレは失敗しないタイプの人間。なぜなら、新しく仕事をする時は思いつく限りのリスクを想定して動いてきたから。リスクが少ないと思えばやるし、リスクが生まれそうならやらない。もちろん「リスクは高いけどギャンブル的に挑戦しておいたほうがいい」と判断すればやることだってある。もしうまくいかなくても、その原因を徹底的に洗い出せば自分の苦手なことやクセもわかってくるしね。そういう意味で、オレはわりとひとつひとつの仕事に丁寧に向きあってきたタイプだと思う。
20代から客観的な視点で戦略的に自分を演出してきた
自分が商品としてどうあるべきか、周囲との位置関係を測ってどこにいるべきかという客観的な視点は、20代からずっと変わらずに持ち続けてきたつもり。たとえばマジックの世界では、次の技を盛り上げるためにわざと一度間違えるテクニックがあるけど、オレの場合も「ここで一回負けておいたほうがいいかも」みたいな戦略は立ててきたと思う。おかげでわりと自由に、気楽に仕事をしているように見えているんじゃないかな。
いつも「終わり」を意識する。だから「今」をがんばれる
目の前にある仕事は当たり前にがんばるけど、「その先につなげよう」と思ったことはないかな。基本的にどの仕事も瞬間的なものとして捉えてきたと思う。というのも、常にオレは終わりを意識してきたから。次につなげたいと思っても、仕事は自分だけで決められるわけじゃないしね。映画やドラマに出演させてもらう時も「これが最後の作品になるかもしれない」という心意気で取り組んできたし、それはこれからも変わらない。
終わったことには興味がない。だから悲観的になることもない
前の事務所をやめることになった時に、いつも使っていたひげ剃りと座ぶとんだけを渡されてひとりで家に帰ったの。そのエピソードを話すと、みんなから「え、寂しくなかった?」って言われるんだよね。周りから見たらすごくかわいそうな出来事に映るかもしれないけれど、オレ的には全然(笑)。終わりはいつも意識しているけど、終わったことにはあまり興味がないから。ものごとを悲観的に捉える感情が、人よりも著しく欠けているのかもしれないなと思うことはあるかも。
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Photo : Masaki Sone(PEACE MONKEY) Hair&Make-up : Yoshinori Takeuchi Stylist : Masaaki Ida Text : Kozue Matsuyama ※MORE2025年春号掲載