12星座全体の運勢

「引いた視点で俯瞰する」

暦の上で秋となる「立秋」の直前、まさに夏真っ盛りの8月4日に水瓶座で満月を迎えていきます。この時期にはお盆をひっくり返したような激しい雨(覆盆の雨)が降るとされてきましたが、今回の満月は変革と普及をつかさどる「天王星」と激しい角度をとっており、まさに意識の覚醒を促されるタイミングとなりそうです。

テーマはずばり、「現時点での自分のレベルの把握」。2020年の年末にはいよいよ約200年単位の占星術上の時代の移り変わりがあり、モノの豊かさの「土」の時代から、情報や繋がりの多様性が価値基準となる「風」の時代へなどと言われていますが、今回の満月はそうした時代の変化にどこまで同調できているか、またできていないのかということが浮き彫りになるはず。

そこにはかなりの個人差が生じるものと思われますが、とくに痛みや違和感、プレッシャーの感じ方などは、これまでの生き様やその蓄積、ふだん触れている情報や立ち位置、周囲の人間関係、属するコミュニティなどによってまったく異なってくるでしょう。

ともに地球に生き、一見同じ位置にあるように見える人間同士でも、進化における種類と段階の違いは厳然と存在するのだということを、今期はよくよく念頭に置いていくべし。

双子座(ふたご座)

今期のふたご座のキーワードは、「仲間と希望」。

双子座のイラスト
小柄で頭の切れるジョージと知的障害を持つ怪力の大男レニー。二人は農場を渡り歩く季節労働者であり、新しい農場に着いてひと稼ぎすると、町へ出てそれを使い果たしてしまう。そんな生活を繰り返していました。

家族もなく、家もなく、人生でこれ以上何かを期待することもできない。二人は自分たちを「この世でいちばんさびしい人間」だと思っているのですが、一方で、ジョージはレニーに「おれたちはふつうの宿無しとはちがう」と言い聞かせ続けます。

レニーはふわふわのものをなでるのが好きで、自分の怪力を自覚していないがゆえに、行く先々で問題を起こしてきたのですが、そんな中ジョージは、いつかは小さな家と土地を買って自給自足し、ウサギをたくさん飼ってレニーになでさせてやるんだ、という夢を持っていました。

ただしこの『ハツカネズミと人間』という小説では、物語は貧しさに引きずられ、どんどん暗い方へ転がり落ちていき、ジョージがこの夢を自分でも信じられなくなったとき、すべてが雲散霧消してしまいます。なぜなら、ジョージはレニーと共有していた希望があったからこそ、どんな状況であれ前に進むことができたから。夢の話は、レニーを慰めるためであると同時に、自分自身を励ますためでもあったのです。

そして、今のふたご座の人であれば、誰の心の中にもレニーがいて、“ウサギをたくさん飼う話”をしてもらう必要があるのだということがよく分かるのではないでしょうか。

あるいは、誰しもが時にジョージとなって、仲間にウサギの話をして元気づけてやることで自分もまた歩みを止めずにいられるのだと。

人間には仲間が必要だ―そばにいる仲間が

今期のふたご座は、いま自分がどちらの側に立っているのか、あるいは、どんな希望に生かされているのかを、改めて確認していくことになるかもしれません。


出典:ジョン・スタインベック、高村博正訳『スタインベック全集4 はつかねずみと人間<小説・戯曲>』(大阪教育図書)
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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ