12星座全体の運勢

「雪が花に変わるとき」

11月22日の「小雪」を過ぎれば、もう雪の季節。「一片飛び来れば一片の寒」と言うように舞いくる寒さに本格的に備え始めるこの頃には、こたつを導入したり暖房を入れ始める人も増えてくるはず。 

そして11月30日には、静かに深まってゆく冬の夜に双子座の満月を迎えていきます。今回のテーマは「緊張の中にあるゆるみ」。精神を鋭敏に研ぎ澄ましていくなかで訪れる一瞬の静けさ、そして平穏。それは瞑想の境地が深まったときの感覚にも似ています。初めは雑念ばかりが浮かんで、かえって心が騒がしく感じたり、眠くなってしまったりしていたのが、自然と頭が消えて胴体だけになったように感じてきて、意識は活動しているのに、何かを「志向する」ことなしにいられる「非思考」状態に入っていく。 

禅ではこれを「自分自身の『私』を忘れる」とか「非思量」などと言うそうですが、それはどこか「風花」というこの時期の季語を思わせます。風花とは風に運ばれてちらちらと舞う雪のかけらのことですが、あっけないほどのはかなさで消えていく雪片に、ひとつの花を見出していくのです。それはすべてのものに命があると考えていた日本人が、厳しい冬の訪れにも愛おしむような気持ちを向けていたことの何よりの証しでしょう。 

今回の満月でも、集中力を高めて厳しい現実や人生の課題(雪片)と向かい合っていくことで、そのなかに隠された恵みや喜び(花)を見出していくことができるかどうかが問われていくはず。 

双子座(ふたご座)

今期のふたご座のキーワードは、「スナフキン」。

ふたご座のイラスト
言われてみれば当然のことですが、人生は仕事がすべてではない。今すぐ仕事場の外へ出て、あたりをぐるりと見回したら、あくせく働いたりする生き方とは対極にある人物―『ムーミン』シリーズの影のヒーローであるスナフキン―のことを思い出してみてください。 
 
スナフキンは謎めいた旅人で、詩人で、音楽家でもあり、毎年春になると帽子をかぶりハーモニカをもってムーミン谷に姿を現します。ムーミンたちはいつもスナフキンのことを待ちわびていて、スナフキンが来てはじめて本当に春が来たように感じるほど。 
 
ただし、だからといって彼をあてにしてはいけない。スナフキンは「都合がついたら来るよ」と言う一方で、「もしかしたらぜんぜん来ないかもしれない。まったくちがう方向へ行ってしまうかもしれないからね」とも言っているから。 
 
風変わりな自由人スナフキンは、何より身軽に旅をすることを大切にしています。トランクはいつもほとんど空っぽ。興味がわいたものを徹底的に知り尽くしたら、後に置いていって、持ち歩いたりしない。 
そして、気が向いた場所にテントを張って、どこまでも続く道を家とする。 
 
もちろん、すべてをスナフキンのようにするのは難しいでしょう。けれど、ふたご座の人が世界をすばらしく輝かしい場所と感じていくためには、机にかじりついていたり、人間関係や財産をあまりにガチガチに固定したり、詰め込み過ぎてしまうのはご法度なのだということも痛感しているはず。 
 
今期のふたご座は、そんな本来の自分らしさを取り戻す意味でも、スナフキンのように帽子に羽根をつけて軽やかに道をいくイメージを大切にしていきたいところ。 
 

参考:トーベ・ヤンソン、山室静訳『たのしいムーミン一家』(講談社文庫) 
12星座占い<11/15~11/28>まとめはこちら
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ