12星座全体の運勢

「雪が花に変わるとき」

11月22日の「小雪」を過ぎれば、もう雪の季節。「一片飛び来れば一片の寒」と言うように舞いくる寒さに本格的に備え始めるこの頃には、こたつを導入したり暖房を入れ始める人も増えてくるはず。 

そして11月30日には、静かに深まってゆく冬の夜に双子座の満月を迎えていきます。今回のテーマは「緊張の中にあるゆるみ」。精神を鋭敏に研ぎ澄ましていくなかで訪れる一瞬の静けさ、そして平穏。それは瞑想の境地が深まったときの感覚にも似ています。初めは雑念ばかりが浮かんで、かえって心が騒がしく感じたり、眠くなってしまったりしていたのが、自然と頭が消えて胴体だけになったように感じてきて、意識は活動しているのに、何かを「志向する」ことなしにいられる「非思考」状態に入っていく。 

禅ではこれを「自分自身の『私』を忘れる」とか「非思量」などと言うそうですが、それはどこか「風花」というこの時期の季語を思わせます。風花とは風に運ばれてちらちらと舞う雪のかけらのことですが、あっけないほどのはかなさで消えていく雪片に、ひとつの花を見出していくのです。それはすべてのものに命があると考えていた日本人が、厳しい冬の訪れにも愛おしむような気持ちを向けていたことの何よりの証しでしょう。 

今回の満月でも、集中力を高めて厳しい現実や人生の課題(雪片)と向かい合っていくことで、そのなかに隠された恵みや喜び(花)を見出していくことができるかどうかが問われていくはず。 

射手座(いて座)

今期のいて座のキーワードは、「複相的な地層の堪能」。

射手座のイラスト
どこか遠く離れた異国の地に、見た目も性格も何もかもが違うのに、もう一人の自分と言えるような人物が今も息をして、彼彼女なりの生活を営んでいるのではないか―。 
 
そんな思いに駆られた時は、直接行って確かめる代わりに、ロレンス・ダレルの『アレクサンドリア四重奏』のような作品を読むといいかも知れません。 
 
物語は4つの作品に分かれており、『ジュスティーヌ』『バルタザール』『マウントオリーヴ』『クレア』という登場人物の名を冠し、ほとんど出来事の説明がないままに複相的に連続する連続作として展開していきます。 
 
舞台となるのは、カイロに次ぐエジプト第二の都市で、かのアレクサンドロス大王が作ったとされるアレクサンドリア。 
 
まず最初に案内してくれるのは、虚栄心の強い女神のようなジュスティーヌ。浅黒い肌に白いドレスが映えるアレクサンドリア社交界の申し子。また、そんな人妻ジュスティーヌとは真逆の存在とさえ言える、おだやかで孤独な芸術家のクレア。それから、「とても美しい低温のしわがれ声」と黄色いヤギのような目とひどく不格好な手の持ち主バルタザール。そして、学校の教師を務めながら、彼女たちと次々に恋に落ちる語り手のダーリー。 
 
あるいは、彼らからすこし時代を遡って、エジプトへと派遣された将来を嘱望される若き外交官マウントオリーヴという人物も見過ごせない。彼らのうち一人が欠けても、四重奏としての物語は成立しないのです。 
 
著者ダレルの考えでは、人の性格は生まれた土地によって形づくられますが、それ以上に人がその場所に性格を与えるのだとも言います。その意味で、この作品を読むことは、彼ら登場人物と町とが相互に折り重なってこそ作りあげられるアレクサンドリアの複雑な層を堪能するに等しく、そうでなければ、例えば誰が自分に近しい存在かなどは分かりっこないのです。 
 
今期のいて座もまた、相互に複雑な影響を与えあう、人と町、町と町、そして人と人との複雑な連関についてよくよく思いを馳せていくことになっていくことでしょう。 
 

参考:ロレンス・ダレル、高松雄一訳『アレキサンドリア四重奏』(河出書房新社) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ