12星座全体の運勢

「いのちの感触」

 一年で最も太陽の力が弱まる時期である冬至を過ぎた最初の満月は12月30日に、しかも月の力が最も強まるかに座で迎えていきます。 

この満月のキーワードは、「ふれる」。あるいは、“知ること”をめぐる繊細な探求と、いのちあるものを理解することにおける半永久的なつかみどころのなさ。 

「琴線にふれる」という言葉が、心の奥に秘められた感じやすい心情を刺激し感動や共鳴を与えることを言うように、「ふれる」という体験はただちに相互的な関わりのきっかけとなり、個人という枠を超えて溢れだし、包み込むいのちの感覚につながっていくところがあります。 

しかし、これが「さわる」という言葉になった途端、人間的なあたたかみは消え失せて、ただモノとして確かめたり、操作したりといった一方的な関わりが思い起こされるはず。 

かつては日本では元日の朝に、一番に汲み取った「若返る水」を供えて神棚に供える風習があり、これは月に関連する最も古い伝承に基づくものでした。 

月というのは、本来私たちの中のもっともデリケートな部分であり、いつだって懐かしく心そそられる、生命の根源としてそこにあります。おおみそかの前日、年内最後の満月にはぜひとも自分自身や身近な人のやわらかな部分とふれあうような感覚を思い出し、新しい年に備えてみるといいでしょう。 

水瓶座(みずがめ座)

今期のみずがめ座のキーワードは、「高頻度睡眠」。

水瓶座のイラスト
自ら「先見的デザインサイエンティスト」と自称した発明家のバックミンスター・フラーは、ジオデシック・ドームと呼ばれるドーム建築を普及させたり、飛行船のような形の三輪自動車ダイマクション・カーの原型を作ったり、「宇宙船地球号」というコンセプトを提唱したことなどで知られますが、その一方で、伝統的なライフスタイルについても異を唱え、自らを実験台にして研究していました。 
 
1920年代に空前の大繁栄をとげたアメリカでは、電気や水道、下水道が通り、ラジオ放送やレコードが普及するなど生活が一変していき、そうした社会の潮流を踏まえてフラーは1930年代初頭の時点で、それまでの睡眠時間は現代的なライフスイタイルには長すぎるので、訓練によって減らすことができないか模索し始めたのです。 
 
フラーは、1932年から翌年にかけて行った実験を通じて、疲れを感じたり眠くなったりするのは、体や頭脳を酷使しすぎた証拠であり、その時点で休憩をとって、疲労から回復しなければならないという確信にいたります。 
 
そこで、フラーは6時間仕事をするたびに、約30分仮眠する。あるいは、「集中力の崩壊」が起きたら6時間もたっていなくても寝る。それで彼はうまくいき、講義を10時間以上続けたり、つねにメモをとったり、模型を作ったり、本を読んだりと、七十代まで働き続けました。 
 
ただし、彼以外の同僚や学生の多くはうまくいかず、それこれも彼が三十秒もあれば眠りに落ちてしまう極めて寝つきの良い体質だったことが大きかったようです。 
 
今期のみずがめ座もまた、マジョリティに属する“ごく普通”のライフスタイルを当たり前のものとせずに、フラーのように自分の体質にあった睡眠ライフを模索してみるといいかも知れません。 


参考:ジェイ・ボールドウィン、梶川泰司訳『バックミンスター・フラーの世界―21世紀エコロジー・デザインへの先駆』(美術出版社) 
12星座占い<12/13~12/26>まとめはこちら
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ