12星座全体の運勢

「先見の営み」 

暦の上では春となり、旧暦では一年の始まりとされた「立春」直前の2月1日には、新たなスタートを先がけるようにみずがめ座12度(数えで13度)で新月を迎えていきます。 

秩序と権威を司る土星と重なり、変革と逸脱を司る天王星と鋭い角度でぶつかりあう今回の新月のテーマは、「先見」。すなわち、近い将来へのプランニングです。 

動物は秋口になると、冬の厳しさに応じて毛皮が厚くなるものですが、そうした近い将来へ向けた準備と計画が可能なのは、未来の可能性がすでに現在において作動しているからに他なりません。それと同様、今回の新月においてもいかに時代の流れがどこへ向かって変化しつつあるのか、そして、今の自分は新しい流れと古い流れのどちらに属しているのかといったことをきちんと見極め、ごまかさずに認識していけるかどうかが問われていくはず。 

例えば、この時期の季語に「明告鳥(あけつげどり)」というものがあり、これは早朝に夜明けを知らせるように大きな声で鳴くニワトリの異名ですが、これは毎日必ず東から朝日が昇るという周期的プロセスを認識すること、誰よりも早く夜明けの兆しに気付くこと、それから気付いたことを周囲に分かるように伝える手段を持っていることという、三つの条件がそろって初めて成立している先見の営みの好例と言えます。 

今期の私たちもまた、夜明けの到来だけでなく、どんなにかすかでも未来へ通じる兆しをいち早く感じ取り、その見通しを知らせるニワトリとなって、希望を広げる一助となっていきたいところ。 
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水瓶座(みずがめ座)

今期のみずがめ座のキーワードは、「おのれを「誠にする」」。

水瓶座のイラスト
以前、人生の先輩にあたる人から「土壇場でも誠意を持ち続けられる人、誠実であれる人の貴重さが最近改めてわかった」という話を聞きました。それを聞いて、なにをいまさらと思った一方で、「integrity」という言葉を思い出しました。 
 
これは「投資の神様」とも呼ばれるウォーレン・バフェットが挙げた「成功する人間の三条件」のなかで、intelligenceとenergyという他の二条件と並べても最重要条件として挙げた資質だったのですが、これは日本語にはなかなか適切な訳が見つからない言葉で、あえて訳せば「高潔さ」とか「誠実さ」ということになるのではないかと思ったあたりで、だから先輩も、「改めてわかった」のかと腑に落ちたのです。 
 
それでそういうことをすっかり忘れていた先日、安田登の『役に立つ古典』の「『中庸』が伝える「誠」の力」という章を読んでいたとき、ふとそのことを思い出しました。そうか、integrityとは、『中庸』の説く「誠」のことかもしれないと直感したのです。 
 
『中庸』では、人はつねに自分の天命である「性」に従って生きて行くものと説かれているのですが、ただし孔子ですら「五十にして天命を知る」と言っていたように、私たちはなかなかそれを知ることができません。そんな性を知る方法について、『中庸』にはこう書いてあるのだそうです。安田の解説文と併せて引用します。 
 
「誠なる者は、天の道なり。これを誠にする者は、人の道なり。誠なる者は、勉めずしてあたり、思わずして得、従容として道にあたる、聖人なり。これを誠にする者は、善を択びて固くこれをとる者なり。」 
「誠」というのは天の道だといいます。天の道は「誠」そのものです。努力をしなくてもぴたりと符合し、あれこれ考えなくても必要なものはゲットでき、そして自然にしていても道に合致している。花は春になれば咲き、毛虫は放っておいても蝶になります。必要なものはあちらから訪れ、必要な人とも自然に会う。これが性に従うことであり、誠そのものの姿です。」 
 
そして、具体的なやり方として、『中庸』は①博学(知の空白を埋める)、②審問(詳細な問いを立てる)、③慎思(じっくり考える)、④明弁(答えを分けていく)、⑤篤行(丁寧に実行に移す)という五つの作業を地道にやっていくことで、私たちはおのれを「誠にする」ことができるのだと。

同様に、今期のみずがめ座もまた、そうした誠に至る道をたんたんと、どこかで楽しみながら進んでいくことを意識してみるといいでしょう。 
 
 
参考:安田登『役に立つ古典』(NHK出版) 
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<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ