『ワークマン』と一緒に考えた、ひとり暮らし女性のための防災対策
防災の日にあたる毎年9月1日は、防災対策を見直す絶好のチャンス! 日本に暮らす私たちは、次々に発生する台風や豪雨、南海トラフ巨大地震の可能性など、さまざまな自然災害がもたらす被災リスクに日々直面しています。命を守るために必要不可欠なのが日頃の備え。そこで、『ワークマン』防災担当チームのみなさまとともに、都市部在住・ひとり暮らし・女性が知っておくべき防災知識やおすすめ防災グッズを考えてみました。
日本赤十字看護大学附属災害救護研究所と連携協定を締結している『ワークマン』。過酷な環境で働く職人たちに向けた長年の作業着開発で培ったノウハウを生かし、普段の生活はもちろん、防災対策にも役立つアイテムを数多く企画・生産・販売しています。
- 【はじめに】被災直後から起こりうることを想定し、命を守るアクションプランを考えておく
- 【外出時の防災対策】いつどこで被災してもあわてないために
- 【在宅避難の3大マスト】情報確保・停電対策・断水対策
- 【情報確保】正確な災害情報を常にキャッチ
- 【停電対策】バッテリー&照明のほか、体の保温も忘れずに
- 【断水対策】食事・排泄・入浴・洗濯etc. 水がなくてもできる工夫を
- 1週間の在宅避難を乗り切れば、生活再建の目処が見えてくる!
【はじめに】被災直後から起こりうることを想定し、命を守るアクションプランを考えておく
たとえば“今”巨大地震が起こったとしたら、真っ先に取るべき行動を把握していますか?
- 室内の物が倒れたり建物が倒壊したりして下敷きになり、ケガ人が続出
- エレベーターが停止し、閉じ込められたり高層階に取り残されたりする
- 公共交通機関がストップし、帰宅困難者が街や道路にあふれかえる
- 電気・水道・ガスなどのライフラインが止まる
- 火器や電気器具から発火し、火災が広がる
- 津波・洪水・浸水に巻き込まれる
……など、少し想像するだけでもさまざまな被害が考えられます。
ひとり暮らしの女性が被災した場合、(二次災害や犯罪を含めて)被害に巻き込まれることなく、確実に命を守るためには、普段から防災知識を身につけ、備えをなるべく万全にして、“自助”へとつなげることが必要です。
国や自治体が発信している防災対策情報をインプット
被災した場合の具体的な行動規範について最もわかりやすく発信しているのは、お住まいの自治体です。
例えば、東京都は2023年、災害から命や暮らしを守るための事前の備えと、発災時に取るべき行動をまとめた防災ブックをリニューアルしました。「東京くらし防災」(写真中央)では、日常の暮らしの中で取り組める防災対策について、「東京防災」(写真右)では災害への備えをより万全にするための知識についてをそれぞれ紹介。あらかじめ目を通しておくだけで、いざという時に役立ちます。
被災時に自分が避難生活を送る場所はどこになるのか把握しておく
自治体が発信する防災情報に加え、お住まいのエリアや建物の被災リスクがわかるハザードマップにもあらかじめ目を通し、避難所に逃げる必要があるのか、どこに避難すべきなのかを把握しておきましょう。
都市部の共同住宅に住んでいる場合、「被災したら即避難所へ!」ではなく“在宅避難”のほうが安全なケースが多いのです。
東京都の場合、約900万人の都民がマンションなどの共同住宅に住んでいます。耐震基準を満たしている集合住宅の場合、被害が軽微で、浸水や火災といった二次災害のリスクが低く、自宅に留まって生活が続けられそうなら、基本的には“在宅避難”となります。
避難所は、自宅が全半壊したり、火災や浸水被害に遭うなどしたりして、在宅避難が不可能な人を優先して受け入れます。もちろん、ケガや発病などで支援が必要な場合にも、遠慮なく第三者機関を頼ってください。
【外出時の防災対策】いつどこで被災してもあわてないために
自然災害(特に地震)はいつ起きるか予測不可能。仕事やレジャーなどで外出中に被災した場合、とりあえずの目標はとにかく自分の身の安全の確保。公共交通機関が全面ストップして帰宅困難状態に陥っても、自宅やオフィス、自治体指定の避難場所、一時滞在施設や災害時帰宅支援ステーションなどまでたどり着くために必要なものをそろえ、防災ポーチとして常に持ち歩きましょう。
おすすめ防災ポーチの作り方
情報収集や連絡手段の要となるスマートフォンや携帯電話に加え、持っていると安全度がグッと上がるアイテムは下記5点。風雨にさらされないよう、防水・はっ水機能つきのポーチに入れておくとより安心です。
- モバイルバッテリー
- 緊急連絡先一覧メモ
- メガネ(コンタクトレンズ着用が難しくなった時のため)
- 現金(公衆電話を使用する場合の小銭も)
- ホイッスル(助けを求める際に吹く!)
普段づかいのアウターやシューズにも防災視点を!
外出時にはおるジャケットやスニーカーにも防災視点を加えておくと、いざという時に頼れます。防水・撥水機能に優れたアウターがそろう『ワークマン』2024年秋冬のイチ推しレインジャケットは、なんとフードのつばにLEDライトを、ファスナーにホイッスルを搭載。日本赤十字看護大学附属災害救護研究所と共同開発した新作です。
つま先を守る先芯や踏み抜き防止インソールが搭載されたセーフティーシューズ(安全靴)を普段から履き慣れておくのも得策。『ワークマン』には、普段の生活に無理なく取り入れられる軽量タイプで、防水や撥水・透湿性に優れたものや、インソールやアウトソールを工夫してはき心地やフィット感にこだわったモデルを、リーズナブルな価格で多数ラインナップしています。
【在宅避難の3大マスト】情報確保・停電対策・断水対策
いざ在宅避難の場合、停電や断水に見舞われても、最低1週間は自宅をベースに生き延びるための対策が必要です。日頃から下記6点に留意して備えを進めてください。
- 水・食料品・衛生用品などの生活必需品がそろっているか
- 携帯トイレ・簡易トイレのストックがじゅうぶんか
- 室内の安全確保(家具の配置工夫や転倒防止対策)ができているか
- 初期消化方法(消火器・消火栓の位置や使い方)を把握しているか
- 感振ブレーカーなどの備えがあるか(火災による二次災害防止)
- 居住者どうしで協力体制を築けるか(隣近所や管理人との関係構築)
ここからは、ひとり暮らしの女性が在宅避難時に直面すると思われる各問題と対策について考えていきましょう。
ちなみに大前提として、戸締まりや、不審な訪問者には対応しないなどの防犯対策は万全に。
【情報確保】正確な災害情報を常にキャッチ
被災状況や避難指示など、あらゆる災害関連情報を正確に把握するためには、たとえ停電しても情報収集可能なスマートフォンや携帯ラジオが命綱。電源が使えなくてもガジェットに充電できる太陽光式のモバイルバッテリーや乾電池のストックがあるとより安心です。
ちなみに、電波障害などによりスマートフォンが使えなくなった場合、頼れるのはラジオ。オキシマガジンのおすすめはNHKラジオ第1。地震・台風・大雨などの災害情報を正確かつ迅速に発信してくれる頼れるメディアです。
【停電対策】バッテリー&照明のほか、体の保温も忘れずに
地震・台風のいずれの場合もとても高いのが停電のリスク。停電したら、部屋の照明はおろか、TV・冷蔵庫・洗濯機・エアコンをはじめとする家電製品も一切使えなくなります。スマートフォン充電用のモバイルバッテリーのほか、まずは明かりと暖を死守。
ランタン・懐中電灯・充電器。ソーラー充電可能な3WAY
多機能ランタンは数多く販売されていますが、『ワークマン』のキャンプコーナーで発見したこちらに感動! なんと太陽光とUSBのどちらでも充電が可能なうえ、スマートフォンへの充電も可能。本体をスライドすれば懐中電灯からランタンにトランスフォームする優れものです。
防寒ウェアで低体温症を予防!
避難生活において、命の危険に直結するのは暑さよりも寒さといわれています。災害関連死最大の原因ともなる低体温症に陥らないために、防水または撥水・保温機能に優れたウェアを自宅に一式そろえておくと、停電でエアコンや電気ストーブが使えなくても暖を取ることができ、いざ逃げる時にも役立ちます。
『ワークマン』の2024秋冬新商品発表会でお披露目された「X Shelter(エックスシェルター)」シリーズのアウターやパンツは、特殊な断熱シートと吸光発熱綿を組み合わせて開発された“着る断熱材”。外気温をほぼ無効化し、ウェアの中を暖かく快適にキープしてくれます。
【断水対策】食事・排泄・入浴・洗濯etc. 水がなくてもできる工夫を
上下水道へのダメージによる断水がもたらすリスクも絶大。調理はもちろん、トイレも入浴も洗濯もままならなくなります。飲料水(ひとりにつき1日最低2ℓ×想定される在宅避難日数)の確保のほか、水がなくても生活できる準備を普段から整えておきましょう。
「調理できない」問題:水なしでもおいしいフードをストック
水やお湯がなくてもおいしく食べられ、栄養補給できる非常食やサプリメントを備えておきましょう。普段から少し多めに食材や加工品を買っておき、使った分だけ新しく買い足していくことで、一定量の食料を常に家に備蓄しておく“ローリングストック”スタイルがおすすめです。好きなスイーツやドリンクなど嗜好品の常備もお忘れなく。
「トイレが使えない」問題:簡易トイレや携帯トイレを駆使
集合住宅では、上下水道、特に排水管の損傷がないか・復旧したかの確認が取れるまで、水洗トイレを使うことはできません(※)ので、携帯トイレ・簡易トイレの使用を強く推奨します。
※上の階の居住者が排水管の損傷に気づかずトイレを使用すると、下の階で汚水があふれ出る恐れがあるといわれています
自宅のトイレボウルにセットして使うタイプ(写真左)やポータブル可能なタイプ(写真右)など、非常用トイレにはさまざまな商品があります。いずれも、防臭・抗菌機能の高い袋と凝固剤がセットになっています。使い終わったら燃えるゴミとして処理。普段から使い慣れておくといざという時にあわてないですみます。
大人が腰かけても崩れないダンボール製組み立て式の非常用トイレも! トイレが利用しにくい環境に陥ると飲食を我慢してしまいがちになりますが、かえって心身に大きな負担をかけ、健康を損なうので、食料や飲料水と同じくらい、非常用トイレの準備も抜かりなく。
「お風呂に入れない」問題:ウェットシートやドライシャンプーを活用
シャワーやお風呂が使えない場合、顔や体はボディシートやウェットティッシュでふけますが、どうしても難しいのがヘアケア。ドライシャンプーがあると安心です。頭皮や髪に直接スプレーするタイプのほかに、このようなグローブタイプの商品も。両手にはめて、頭皮をマッサージするように揉みながら汚れをふき取ります。清浄効果はもちろん、すっきりとした爽快感が得られ、汗や皮脂によるニオイやベタつきを抑えてくれます。
「洗濯できない」問題:抗菌・消臭機能に優れたタオル・衣類・下着を
上下水道が使えない状態では、大量の水を使うお洗濯もままなりません。さらに、台風や大雨の際はなかなか乾きづらくて難儀するもの。そんな時は、洗濯の量自体を最小限に抑える工夫を。抗菌・防臭・消臭機能がついたタオルや、ウェア&インナーの着用がおすすめです。
「化繊のほうが機能的なのかな?」と思いきや、防災視点から近年注目されているのがメリノウール素材のウェアやインナー。保湿性・吸湿速乾性・防臭性に優れ、冬はもちろん夏でも着用可能。天然素材のため肌に優しく、長期間入浴できない環境でも肌荒れしづらいなどのメリットがあるそうです。
水がなくても使える衛生用品はたっぷり備えておいて損はなし!
そのほか、手指を清潔に保つアルコール消毒液や、少量の水でも使える歯ブラシ&歯みがきペースト、使い捨てできる生理用品など、衛生用品のストックもお忘れなく。トイレや入浴問題も含め、「自分の体や生活環境をなるべく清潔に保つにはどうするか?」を念頭に置くと、自分が備えるべき防災グッズの種類と量が自然にわかってくると思います。
避難所行きを余儀なくされたら:防水バッグパックを相棒に
火災や浸水などの二次災害や、ケガ・病気など、やむを得ない理由で在宅避難が難しくなり、避難所や宿泊施設などへ移動する場合は、非常用持ち出しバッグも工夫して。ご紹介した防災グッズや貴重品を収納する防災バッグに向いているのは、中身を雨風にさらさない防水機能つきで、両手が自由に使えるバックパックタイプです。
1週間の在宅避難を乗り切れば、生活再建の目処が見えてくる!
以上、都市部在住・ひとり暮らし・女性の場合の防災対策についてご紹介しました。在宅避難の目安は約1週間といわれています。日頃の備えと心構えで在宅避難期間を乗り切り、避難生活が落ち着いてきたら、社会の動きに合わせて、日常生活の再建に向けて動き出しましょう。防災視点を常に意識して毎日の生活を送ることが、いざという時、命を守る行動に直結します。
取材協力/ワークマン 取材・文/沖島麻美 ※掲載内容には私物および個人の見解が含まれます。また、価格・入荷予定・在庫状況を含むすべての商品情報は2024年8月31日時点でのもので、店頭や公式オンラインストアでは予告なく変更になる場合があります。