日々の支払いも楽になるうえ、貯蓄も増えると話題のキャッシュレス。消費税の増税に伴い、使い始めた人も大勢いるハズ。楽、便利、オトクなキャッシュレスでも、使い方を間違えると、かえって損をしたり大変な思いをしたりすることも。ここでは、キャッシュレスを使う上で気をつけたい注意点をお伝えします。

教えてくださった方々

『JCB』広報部 貴田久美子さん
2008年入社。社外広報を担当。キャッシュレスや『JCB』について正確に、より広く知ってもらうべく情報発信を行っている
『キャッシュレス推進協議会』ディレクター 鈴木麻友さん
オールジャパン体制によるキャッシュレス普及に向け、推進役を担う協議会の中心メンバー。自身もキャッシュレス生活を実践中
ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢さん
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。『ケチケチせずに「お金が貯まる法」見つけました!』(王様文庫)など著書多数

決済アプリを次々とダウンロード

「残高管理ができなければ、予算も資産も管理できません。支出の窓口となる銀行口座をひとつ決めたら、クレジットカードを1枚選び、コード決済は2種までが理想的。次々にダウンロードした決済アプリを途中でやめると、あちこちに残高が分散してしまい、自分の大切なお金が管理されないまま長期間放置される結果に」(風呂内さん)。

「支出の窓口を増やしすぎると、把握が難しくなります。使うのがダメということではなく、複数の決済アプリを使いたいなら、家計簿アプリなどに連携して“見える化”を。ある調査では、アプリを確認するだけでレコーディングダイエットのような節約につながるという報告も!」(鈴木さん)
キャッシュレスの使い方、間違ってない? の画像_1

現金と同じ感覚で使う

「固定電話とスマホ、手紙とメールをイメージしてもらうとわかりやすいのですが、それぞれ似ているようでまったくの別ものですよね。同じように、現金とキャッシュレスも性質が違うので、単純に置き換えられるものではありません。キャッシュレスは便利だからこそ、現金とは違った管理が必要になります。たとえば、パスワードを設定したり、明細をチェックしたりといった習慣が、生活するうえでの前提になってきます」(鈴木さん)

キャッシュレスを活用するための習慣を身につけないまま、トラブルや不安に振り回されては本末転倒。キャッシュレスに対する自分の意識を変えることが、本当の意味でのスタートラインかも。

すべてをオートチャージにしている

残高を気にすることなく使えて便利なオートチャージ機能も、使う用途によっては使いすぎを助長することになるので慎重に。

「交通費のように、絶対に必要なコストに関しては、オートチャージが便利です。ただし、洋服やコスメなどは欲望が先に動いてしまうので、たとえ前払いや即払いでもオートチャージにしてしまうのは危険! 月1回、予算分だけをチャージして、その都度残高を確認しながら管理しましょう。そもそも、“キャッシュレスだとつい使いすぎてしまう”という感覚自体も問題です」(風呂内さん)
キャッシュレスの使い方、間違ってない? の画像_2

スマホの電池残量がいつもギリギリ

メッセージに通話、検索、動画再生など、一日中フル稼働しているスマホ。気づいたら、肝心のキャッシュレス決済の際に電池切れ……なんて可能性も。日常的に夕方以降の電池残量が危うい人はもちろん、頻繁に使う予定がある日などは、モバイルバッテリーを常備する習慣を身につけて。

生活圏の中で充電できるスポットを把握しておくのも有効ですね。また、スマホの電池残量が数%になってしまったのに充電する手立てが見つからない場合は、いったん電源を落として電池を温存して。支払う時に電源を入れ直すと、その瞬間は使えることがあります」(風呂内さん)
取材・原文/国分美由紀 イラスト/二階堂ちはる ⒸWAHA/amanaimages