複数の異性を同時に愛することは現代社会での処世術「自立している女性にとって結婚はなんの意味があるのか」【モア・リポート80】
1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。
そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。20代、30代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!
複数パートナーがいる30代女性
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ーDATAー
村上さん(仮名)31歳 / 職業:医療関係
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経済的に自立している村上さんは、デートもセックスも複数の男性と楽しむ「分散恋愛」をしている。特定の男性との「おつきあい」「彼氏・彼女の関係」をしない彼女が考える幸せなパートナーシップとは。
彼氏でもセフレでもない。分散恋愛のパートナー
――村上さんは現在、パートナーが複数いるのですか?
はい。現在は3人のパートナーがいます。以前は最大5人いたこともあります。(以下同、村上さん)
――そのパートナーたちとの関係性はどんなものですか?
彼氏でもないし、セフレでもない。体の関係がある人もいるけれど、毎回ではないし……。“異性の親友”という感覚が一番近いかもしれません。
――パートナーとはどのようなつきあい方をしていますか?
お互い束縛しないような関係でおつきあいしていますね。
――パートナーは村上さんに複数パートナーがいることを知っていますか?
知っています。過去に複数パートナーがいることで揉めたことがあるんです。相手からGPSをつけられて監視されたこともありました。それからは事前に複数パートナーがいることを話して、許容してくれるパートナーを選んでいます。
――今の状態は恋愛を分散している、ということでしょうか?
なにをもって「恋愛」ととらえるか難しいと思うのですが、デートやセックスを伴う関係性を「つきあっている」「恋愛」というのだとしたら、今の自分は分散恋愛をしていますね。ショッピングに行きたい友達と、美術館に行きたい友達って違うじゃないですか。恋愛の相談をする友達と、仕事の相談をする友達も違う。男性のパートナーも女友達同様に、やりたいことや話したいことが3人とも違うので、それぞれ違うつきあい方をしています。
――それぞれのパートナーに対して抱く感情は、“恋愛感情”なのでしょうか?
うーん、難しいですね。人として好きみたいな、“人類愛”に近いのかもしれません(笑)。
――3人のパートナーに対しての愛情に差はありますか?
私の感覚的には、3人ともに全力で向き合っているつもりです。
3人のうち、ひとりのパートナーとは私の価値観について食事をしながら話し込む関係性で、パートナーは「いやぁ、個性的な価値観やなぁ」と言いながら、私という人間を楽しんでいる感じがしますね。
分散恋愛をするようになった理由
――そもそもなぜ村上さんは分散恋愛をするようになったのでしょうか?
私に結婚(法律婚)願望がないからですかね。
――なぜ結婚したくないと思うのですか?
私の周りの結婚している人たちがあまり幸せそうに見えないからです。
――それはなぜですか?
私は医療従事者なのですが、職場の女性は、夫よりも稼いでいるケースが多いんです。結婚後の生活費も女性の方が多く出している。それなのに育児もほとんど女性がワンオペでやっているケースを見てきて、「それって対等じゃなくない?」と思いました。
――周りに経済的に自立している女性が多いのですね。
そうですね。それで、経済的に自立している女性にとって、結婚ってなんの意味があるんだろうって考えるようになったんです。私は絶対にこどもがほしいという強い願望もないので、なおさらそう思うのかもしれません。「(特定の人と)つきあう」のゴールが「結婚」だとしたら、私にはその必要はないなと考えました。
分散恋愛のメリットとは?
――複数のパートナーをつくる分散恋愛のメリットはありますか?
普通の恋愛なら、デートもセックスも特定の彼氏ひとりにすべてをゆだねる=ある種の依存関係だと思うのですが、パートナーを分散すれば、依存先も分散している状態なので、自立した関係が築けるのではないかと思います。
――ひとりに依存しないつきあいかたができるということですね。
そうですね。ひとりのパートナーと向き合うことから逃げているように思う人もいるかもしれないけれど、今の時代、ひとりのパートナーだけにすべてを託す方がリスクが高い気がしています。
――それはなぜですか?
たとえば安定した会社に勤めていたとしても、いつその会社が倒産するかわからない時代じゃないですか。だから副業や兼業とかで収入源をいくつか持っておく……みたいな働き方をしているほうが、経済的に自立しているといえる時代だなって思うんです。
恋愛や結婚も同じで、相手がいつどうなるかわからない。
依存先を分散させてたくさん持っておくことが、不安定な時代を生き抜く処世術だと思っています。
取材・文/毒島サチコ