1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。20代、30代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

大学時代、女性用風俗に30万円課金

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ーDATAー

下山さん(仮名)26歳 / 職業:エンタメ関係

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下山さん(仮名・26歳)は、マッチングアプリで出会った男性との雑なセックスに辟易していた大学3年生の頃に、女性用風俗へ。軽いノリで利用したものの、セラピストにハマり、デート代に3万円つぎ込むように。

前編を読む。「セックスの“リハーサル”みたいな感じで、女風を利用できると思った」

「沼ったら大変」セラピストと3万円のデート

女性用風俗にハマって30万円課金した女子の画像_1

――初めて女性用風俗(以下、女風)を利用してみて、どうでしたか?

女風のセラピスト(男性)が某アイドルそっくりの超イケメンだったんです!「イケメン来たー!」と、めっちゃテンション上がりましたね。部屋に入るなり「会いたかった―」って久しぶりに恋人に会うようなノリも嬉しかった。今までアプリで出会った男性はみんなセックスが雑だったけど、彼は触り方がすごく丁寧でハマってしまいました。……それで私、彼のことが好きになっちゃったんです。


翌日もまた彼を予約。次は、デート込みのトータル4時間で3万円のコースでした。(以下同、下山さん)



――3万円のコースはどのようなものでしたか?

待ち合わせをして、ケーキ屋さんでケーキを食べ、夜景を見て、最後はホテルに行きました。はたから見れば本当のカップルみたいだと思います。ただ長時間いたら、彼の体臭が気になりはじめて、ふと我に返りました。このまま彼と会い続けていたら私、破産するなって。




――会うたびに3万円は大きな出費ですよね。

はい。沼ったら大変だと思いました。就活で東京に来た時に利用してよかったです。もし住んでいる町の近場だったら、会いたくなった時にすぐに利用できちゃいますからね。




――それで女風を利用するのをやめたのですか?

はい。しばらくはやめていたのですが、女風での体験が忘れられませんでした。

女風のセラピストは、靴を脱がしてくれて お姫様だっこをしてくれて、お風呂のお湯もためてくれて、歯まで磨いてくれるんですよ⁉ 今更マッチングアプリで出会った男性の雑なセックスには戻れないという気持ちになりました。




――それでまた女風を利用することにした?

はい、正直なところ性欲もたまっていたので。大学4年生の時に就活で忙しい日々でしたが、最後に思い出を作ってやめようと心に決め、もう一度女風を利用することにしたんです。




――再び利用してみてどうでしたか?

1回だけにしようと思っていたのに、気づけば3回利用していました(笑)。最初はネットで、“テクニシャン”と呼ばれていたセラピストを選びました。だけど人気の方だったので、私がその日の3人目だったらしく、なんか疲れていたんです。バイブを使ってすごく手抜きなプレイをされたので、それきりに。

次に指名した人には「若いのになんでこんなところ来てんの?」ってガチなトーンで言われて萎えました。




――いろいろなタイプのセラピストの方がいるんですね。

そうですね。その次はリーズナブルなお店に行ってみることにしました。1時間4千円と、他のお店と比べてかなり安かったんです。あまり期待していなかったんですが、そこで私好みのイケメンのセラピストに出会いました。

女風にトータル30万円課金した

女性用風俗にハマって30万円課金した女子の画像_2

――そのセラピストは何度か指名したのですか?

はい。セラピストのことを好きになって何度か指名し、プライベートでも会うようになりました。




――その「好き」は恋愛感情でしたか?

推し、かな~。でも当初は彼とつきあいたいと思っていたから恋愛感情だったのかもしれません。だけど仲よくなって彼のパーソナルな部分が見えてくると、どんどん気持ちが冷めていきました。




――それはなぜですか?

彼の素の部分を知って、幻滅することが多々あったんです。彼の指名客はふたりで、私と高齢の女性のみ。彼はその女性のヒモで、ほぼ無職状態だったんですよね。彼は私と仲よくなって信用しているからこそ話してくれたんだと思うけど、それを知った時気持ちが冷めました。




――どのように気持ちになったのですか?

あぁ、自分は「セラピストとしての彼が好きなんだ」と気付きました。私が好きなのは彼との行為であって、彼自身ではない。無職の彼を愛せるかと言ったら、無理だなと思いました。




――冷静になったんですね。

そうですね。あとはSNSで女風に通っている女性たちのアカウントを見てみると、セラピストに対するポストが“ガチ恋”なんです。それを見て、ちょっと怖くなりました。




――“ガチ恋”している人のポストはどんなものですか?

たとえば、同じセラピストを指名しあっている人同士で、挿入の有無、私の方がよいサービスを受けたとかで、マウントを取り合っているんですよ。

利用する理由も、私みたいに「セックスを楽しみたい!」みたいなフランクな感じではなくて、深刻な事情を抱えた40代くらいの方が多い。セラピストから色々な話を聞いて、女風のダークサイドも知りました。

そんなことから、当時女子大生だった私は「ここにずっといちゃいけない!」と思ったんですよね。

女性用風俗は一種のエンタメ体験だった

女性用風俗にハマって30万円課金した女子の画像_3

――それで女風を利用するのをやめたのですか?

はい。気付いたら、すでに女風に30万円ほど課金していました。大学生にとっては大金ですよね。バイトで貯めた貯金をほぼ使い切っていたことに気付いて、もうやめようって思いました。




――すぐに利用をやめられましたか?

わりとしっかり遊んだので、すぱっとやめられました。今はアプリでも女風でもなく、仕事先で出会った彼とつきあっています。女風を利用したおかげで、自身のテクニックもあがったような気がします(笑)。




――女風を利用して後悔していますか?

いえ。本格的に沼る前にやめられたので、後悔していません。楽しませてもらいましたから(笑)。自分にとっては一種のエンタメ体験みたいな感じだったなと思います。

女風は、1.何度も同じ人を指名しない 2.ガチ恋しない 3.色々なイケメンやテクニシャンを探してみる! この3つをわきまえていれば楽しめると思いますよ。

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。