連続テレビ小説『エール』で主人公・裕一の幼馴染み、佐藤久志役を演じている山崎育三郎さん。幼稚園の時にミュージカル『アニー』を観て歌に夢中になり、12歳でミュージカルデビュー。以来、“ミュージカル界のプリンス”として活躍されながらも、ドラマ・バラエティ・歌番組・ラジオ等、様々なメディアに進出されている山崎さんにMOREが初インタビュー。
【山崎育三郎さんスペシャルインタビュー・後編】朝ドラ『エール』での熱演が話題!溢れんばかりのエンタメ愛を語り尽くす 
  • 『エール』での様々な出会いに感謝しながら演じ、歌う日々
    ――『エール』の佐藤久志役は「ミュージカル界のプリンス」と呼ばれる山崎さんと重なる部分も多いという評判ですが、それについてどう思っていますか?

    「よく『佐藤久志さんのままですね』と言ってもらえるんですが、普段の僕を知っている人にはそうではないと感じていると思います(笑)。僕は男四人兄弟で、幼い頃は野球少年だった体育会系なので、男っぽいところが結構あるんですよね。でも確かに久志はみなさんがイメージする『山崎育三郎』にはきっと近くて……。久志は音楽学校に通いますが、僕も音大の付属高校から音楽大学に進学してますし、今まで自分が勉強してきたことが活きているところも沢山あります。そういう役と、この朝ドラで出会えたのはすごくありがたい。楽しんでやらせてもらっています」

    ──12月2日にリリースされるシングル『君に伝えたいこと』の表題曲は、森山直太朗さんが作詞作曲されています。「エール」での共演がきっかけということですが。

    「そうなんです! 『エール』の楽屋では、よく直太朗さんと話していて。その中で、『育三郎くんの曲のイメージが湧く』と仰っていただけたんです。僕は直太朗さんの曲をよく聴かせていただいていたので、『もし良ければ楽曲制作をお願いできないでしょうか』とお伝えしました。先輩ではあるんですけど、感覚的にすごく合うというか……、ずっと一緒にいたくなるような方で。久志にとっても直太朗さんが演じた藤堂先生は歌を与えてくれた恩師であり、心の支えでもある。そういう関係性が楽曲にもすごく反映されたと思っています。歌詞の内容もメロディも、『エール』があったからこそできた楽曲です」

    ─―歌が際立つとてもシンプルなピアノバラードです。曲を初めて聴いた時はどう思いましたか?

    「曲を聴いた時、僕はもう藤堂先生が亡くなってしまうことを知っていたので、『大切な人を失っても、前に進んでいかなきゃいけない』という久志の感情になりました。曲越しに、藤堂先生からのメッセージなんじゃないかと感じてグッときましたね。そういった自分にとって大切な人と自分の関係性を表現したかったので、2台のピアノだけの編成になったんです。実は、今回ピアノを弾いてくださった方が、僕の舞台デビューであった『フラワー』(1998年)という作品で稽古ピアノを弾いてくださっていた方でもあり、直太朗さんともお仕事されてる方なんです。そんな運命的な再会があった曲でもあります」
  • 森山直太朗さんとのコラボや福島の子供達との歌作り・・・・・・。 また「新しい自分」に出会えた
    ──「(直太朗さんに)これまでにない自分を引き出してもらい、裸にされたような感覚になった」とコメントを出されていましたが。

    「僕はこの世界でずっと生きてきて、これまでは“多くの人に届ける”という意識で歌を表現してきました。ミュージカルだと2000人くらい入る劇場で、2階席3階席まで届ける発声や表現で歌を歌うんです。でも、『君に伝えたいこと』は、『エール』での久志と藤堂先生の関係性が反映されたような楽曲でもある。ドラマでの“一対一の関係を表現する”っていう意識が音楽になった場合どういう歌になるのか、っていうやり方で取り組んでみたいなって思ったんです。なので、等身大の自分自身と向きあいながらぽつぽつ歌っていくことを意識しました。歌い手としての自分を1回ゼロにして内面の深い部分を出し、目の前の人に寄り添うような歌を歌いたかったんです」


    ──カップリングには「エール」の主人公のモデルである作曲家・古関裕而さんの代表作の一曲『栄冠は君に輝く』が収録されています。演奏は福島商業高等学校吹奏楽部で、合唱は福島大学附属小学校合唱部という布陣になっていますよね?

    「NHK福島の番組内で、古関裕而さんの母校の高校に行く企画があったんです。そこの吹奏楽部の学生に、サプライズでいきなり『今度皆さんと福島のホールで“栄冠は君に輝く”を演奏します』って伝えたんです。でも、そのコラボレーション企画がコロナで中止になってしまった。その後、学生たちが自分たちで演奏風景を撮ったものを見せてもらったんです。それに僕も自分の歌を乗せる……というやり取りがあって。それで今回、その叶わなかったコラボレーションを形にしたいなっていう思いがあり、オファーさせていただいたんです。そこで、古関裕而さんの母校の小学校の合唱部も参加していただけることになり、そこにまた直太朗さんがハモリで入ってくださったという、いろんな縁を感じる楽曲になりました」
  • 武道館で、ミュージシャン・女優・お笑いとコラボレーション! 唯一無二なエンターテインメントSHOWを届けたい
    ──11月7日に開催されるライブイベント「『山崎育三郎 THIS IS IKU 日本武道館』にも直太朗さんはゲスト出演されます。2018年から年に1回開催されているイベントですね。今年はどんな内容になりそうですか?

    「僕のラジオ番組『山崎育三郎の I AM 1936』から生まれた企画で、いつか武道館をやりたいなって思ってスタートしたんですが、今年、なんと3回目で叶ったんです!これまでの2回は国際フォーラムでやらせてもらって。1年目は水谷千重子さんと城田優くんと乃木坂46の生田絵梨花ちゃんに来てもらって、翌年はロバートの秋山(竜次)さん、2年連続でX JAPANのToshiさんに参加して頂きました。各ジャンルで活躍されてる方とコラボレーションする、というコンセプトなんです。それで、今年のゲストは直太朗さんと元宝塚の明日海りおさんと千鳥さん。ミュージシャン、女優、お笑いの方という3組に出ていただく。直太朗さんとは『さくら』や『エール』の曲を歌いたいなと思っていて。明日海さんとは、今年コロナの影響で中止になってしまったミュージカル『エリザベート』で僕が演じる予定だったトートを明日海さんも演じられた経験があるので、同じトート役でデュエットを考えてみたり。千鳥さんとは漫才に音楽を入れて、歌あり漫才みたいなものを作ろうと思って。それを今年は授賞式という演出でショウアップして届けます。かなり豪華な面白いエンターテイメントになると思っています!」


    ──『山崎育三郎 THIS IS IKU 日本武道館』のゲストとの関係性もそうですが、山崎さんというと、ミュージカル界の大先輩から、20代の後輩まで、年代やジャンル関係なく多くの人に囲まれて活き活きとお仕事をされているイメージがあります。コミュニケーション術のコツがあったりするのでしょうか?

    「うーん、そうですね……。『まずは自分が自分を開放してないと、相手は受けいれてくれない』と、いつも思うんです。あと、相手の良いところを探す。誰にでも素敵なところは絶対にあると思うから。それ以外のところはもう見ないようにするとか(笑)。それに、自分が頑張って仕事をしていると、だんだん素晴らしい人しか周りにいない環境が作られる気がしています。どんな世界であっても、色々なジャンルのスペシャリストや身の回りの大切な人への敬意を忘れずに頑張っていれば、頑張ってる人が集まってくると思うんですよね」
  • ひとつひとつの質問に、真摯に答えてくださる山崎さん。この優しさと情熱に触れた人からファンになるのも納得!のお人柄です。<後編>では、お仕事への“情熱と姿勢”についてさらにお届けします。