1980年──、いまから40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。新「モア・リポート」をお届けします!

男女関係がうまくいくかどうかは、セックスの相性が全てだと思う

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DATA
遠藤さん(仮名)27歳/ 未婚(バツ1)/ 職業:出版営業
初体験:17歳/ 経験人数:4人/ セックスとは:現状確認
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以前は、セフレの呼び出しにいつでも駆けつけていた

27 歳の会社員の女性
―――1年以上もセックスフレンドの彼が?

はい。1年以上前からずっと曖昧な関係を続けていました。彼は、私が当時働いていた飲食店で出会った35歳の商社マンのヨウ(仮名)。見た目も遊んでそうな感じだったけど、顔がタイプだし、何よりも話が面白くて一瞬で好きになりました。

―――当時は、どのくらいの頻度で会っていたんですか?

多くて月2回くらい。ヨウはいつも、酔っぱらって深夜近い時間に電話してくるんです。私は他の友達と遊んでいても、ヨウに呼び出されたら絶対に飛んで行っていました。

―――その関係に悲しくなることは?

もちろんありました。クリスマスも会えなかったし……。こっちから誘っても断られる事が多いから、ヨウからの誘いをいつも待ってた。呼び出されたら急いで準備して、新宿駅で待ち合わせて、2人で適当に飲んで、タクシーで私の部屋に帰って、そのままセックスをして、始発でヨウは帰るっていう感じでしたね。

実はバツ1。だから一歩踏み出せない?

―――ヨウさんとは、付き合おうという話にならなかったんですか?

お互いそういう話を切り出さなかった。それに、私、実はバツイチなんです。一昨年、25歳のとき、結婚1年目でスピード離婚してて。理由は、性格の不一致ですけど、セックスレスにも耐えられなかった。元旦那ともその前の彼氏とも同棲をしたんですけど、どちらの時も同棲したとたんにセックスレスになった。
そんなわけで、離婚後に次の恋愛に踏み出すのには勇気がいりました。


―――バツ1だから、一歩踏み出せなかったということ?

いいえ、そうではなくて……。一緒に生活したり、同じ時間を長く共有したいと思うのは、好きになれば当然なんですが、「またいつか飽きられてしまうんじゃないか」っていう恐怖があったんです。だから曖昧な関係で、刺激的なセックスをして、「会えたら嬉しい、会えないと切ない」みたいな感覚がどこかで心地いいと感じていたのかもしれません。

初体験の苦い思い出と、ヨウとのセックスの良い思い出

セックスの体験について語る女性
―――ヨウさんとは、毎回刺激的なセックスを?

初めてヨウとしたとき、びっくりしましたね。流れるようにセックスをするんです。私、背中に大きなアザがあって、それを隠すために髪の毛を長くしてるんです。いつもセックスの時は隠して、見られたら引かれるんじゃないかって思ってセックスに集中できなかったけど、一番最初にヨウはそこにキスをしてくれた。そんなの初めてだった……。

―――安心感が気持ちよさにつながったんですね

はい。安心して身をゆだねることができたのと、挿入ってこんなに気持ちいんだって思ったのも初めてで。

それまでのセックスの経験があまりいいものじゃなかった。初体験は高校生の時で、年上の彼と。こんなこと言ったら下品だけど、彼、今考えたらアソコがものすごく小さくて……。入ってるか入ってないか分からないんですよ。でも、周りの友達とかは「めっちゃ痛かった!」とか言ってるから、もしかしたら私のアソコが、ガバガバなんじゃないか?って(笑)。

初めては楽勝、2人目は大量出血!?

―――初めてだと分からないですよね。

そうなんですよ。「痛くないし楽勝じゃん」って思ってたけど、逆に次に付き合った人は、挿入が痛すぎて……。大量出血しました。この時にセックスに対して、恐怖心が出来上がっちゃって。セックス自体、好きじゃなくなりました。でも、私がガバガバじゃないって分かってほっとした(笑)。

―――その後は?

その後、旦那だった彼と出会い、結婚しました。付き合っているときからそんなにセックスしなかったけど、結婚してから全くしなくなった。夫婦なのにそれはまずいんじゃないかって思って無理に誘ったりもしましたけど、基本断られて。自分もそこまでセックスがしたいわけじゃないけど、メディアでは「セックスレスは大問題」みたいなことも言うじゃないですか。それで、このままじゃまずくない?って。

まあ、他にも性格の不一致とかいろいろあって。今考えたら性格の不一致を感じるようになった時期は、セックスを拒否されるようになった時期と同じかも。結婚生活は1年で終わりました。その後に出会ったのがヨウなんです。
性格の不一致やセックスの拒否で離婚を決めた女性
―――ヨウさんとは、今までに体験したことのないセックスだったんですね?

そうなんです。「イク」って感覚も、ヨウで知りました。一瞬身体が浮いて、ジェットコースターの下降しているときの「ゾワッ」って感覚のあとに、快感が襲ってくる。私の姿を見てヨウが「イッたね」っていうから、「あぁ、これがあの噂に聞いていたやつか!」みたいな。いつも3時間くらいしてます。

―――え、3時間も!?

はい。話をしながらとか、お互いの匂いをかいだりとか。気づけば朝、みたいな感じです。今までこんなにセックスをしたこともないし、こんなに気持ちいいと思ったこともないし、こんなに楽しかったこともない。だから「いままで一番好き!」ってなった。

―――そんなに仲がいいのに、月に2回、それもヨウさんの呼び出しの時にだけ会っていた?

そうですね。ヨウは忙しいんだって思ってました。土曜日も昼は働いてるし、日曜日は疲れて寝てるって。だから金曜晩の飲み会のあとくらいしかゆっくりできないんだ~って言ってて。

―――その言葉を信じない人も多そうですが……。

まあ、疑いますよね(笑)。「ほかに彼女がいるんじゃないかとか。でも、好きだからしょうがない。それにこの関係だからこそ、飽きられずにうまくいくと思っていたところもあるし。

でも、コロナウィルスが流行しはじめた3月頃から、ヨウも完全にテレワークに切り替わり、夜飲みに行くこともなくなって。必然的に深夜の呼び出しは減っていったんです。

緊急事態宣言中に、ヨウが転がり込んできた

彼と同棲することになった女性
―――コロナウィルスの感染拡大で、関係が終わったという男女の話もたくさん聞きました。

ですよね。私も、3月の頃にヨウから1か月間くらい連絡が無くなりました。でも、4月に入って急に「元気?」って連絡が来て。「今から家に行っていい?」って。

―――緊急事態宣言中に!?

そうなんです。私もびっくりでした。もう私たちはコロナで終わるんだろうなって思ってたから。ヨウはスーパーの袋を持ってうちに現れて、急にカレーを作り始めたんです。私は理解できなくて「え?」ってなっりました。「絶対そんな男やめときな!」って言ってた女友達に「急にヨウが来て手料理作ってるんだけど(笑)」って言ったら「え、女に追い出されたのかな……でもよかったじゃん」と言われました。

―――それからどんな関係に?

その日作ってくれたカレーがあまりにもおいしくて、というか、急に訪れた幸せが幸せすぎて、ずっと「これは夢か?」って。それからいつの間にか、ヨウはパソコンを持ってうちに入りびたるようになりました。私もテレワークだったので、狭い1Kで半同棲生活になったんです。ヨウがたまに出社するときも、私の家からのほうが近いのもあって。私といるのが「居心地いい~」って言って、テレワーク中にイチャイチャ開始! の日もありました(笑)。

―――ヨウさんはなぜ急に?

分からないんです。気軽に会えた頃は雑に呼び出してたのに。でも、一緒に住んで気づいたんです。ヨウは本当に激務。急に電話が掛かってきて対応したり、土曜日も仕事。日曜日はリアルに一日中寝てる。ほかに彼女がいるのだろうと疑っていたけど、本当に忙しいんだっていうのは分かりました。

同棲しはじめて1か月くらい経って、会話の中で「〇〇(遠藤さん)と付き合ってから楽しいわ」って言われて。「あぁ、私たちカップルなんだ」って(笑)。
当初心配していた「同棲したら飽きられるのではないか」っていう不安もあったんですけど、半年以上一緒にいる今も、飽きるどころか、週3でセックスしてるし、もうなくてはならない存在になってて。

―――それでも、1年間セフレだったのになぜこのタイミングで急に?とか、気になることはないんですか?

私の友達は「女に追い出されたんじゃない?」とか「何か特別な理由があって家にいられなくなったんじゃない?」とか言っています。でもなんでもいい(笑)。今一緒にいますから。

それに「セフレ」と「付き合う」の境目って、難しくないですか? 男女関係がうまくいくかどうかは、セックスの相性が全てって言っても過言じゃないと私は思う。
セックスが合う相手とは、会話も弾むし、一緒にいても苦じゃない。セックスレスから性格の不一致につながって離婚したので、私はそう断言できますね。
取材・文/毒島サチコ