1980年──、いまから40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。
そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。MORE世代の女性の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

アソコのことは“お姫”って呼んでます

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ーDATAー
本山さん(仮名)31歳 / 未婚 / 職業:サロン経営
初体験:20歳 / 経験人数:8人 / セックスとは:エネルギー交換でありコミュニケーションの場୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

女性器を見ればその人の体調が分かる?

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ー3万人の女性器を見てきた?

はい。ブラジリアンワックス(アンダーケアの脱毛)のサロンを経営していて、延べ3万人の女性器を見てきました。(以下、本山さん)

最初は、ただ仕事として女性器に触れ、脱毛をするだけだったんですが、性器の状態から、その人の体調がいいのか悪いのかがだんだん分かるようになってきたり、性器自体が持つエネルギーみたいなのを感じるようになってきたりして。

こんなことをいうと、周りにはスピリチュアルだって言われるんですけど……。女性器の形は十人十色だし、匂いや色で健康状態が分かります。今は、女性器のことを“お姫”って呼んでいます。

海外ではアンダーヘアのケアはマナー?

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ーなぜ、そこまで女性器に関心が?

もともとは、性全般に対して、恐怖心があったんです。幼い頃、家庭に問題があり、父親から離れたくて……。いつ家を出てもいいように、キャリーバッグを引いて学校に通っていました。

高校生のとき、心が壊れそうになったときがあって。放課後、そのまま家出したんです。1人で渋谷の街をフラフラ彷徨って……。当時金髪だったのですが、とりあえず生きるためにバイトしなきゃ!と思って、とある会社の求人を見つけて行きました。

運よくその会社が採用してくれて。イベントホールのアルバイトを始めたんです。そこで出会ったスタッフの外国人の女性に「ブラジリアンワックスいかない?」と誘われたのが、最初にお姫に興味を持つようになったきっかけかな。

ーそれで、外国人の友人とともにアンダーヘアのケアへ?

はい。最初誘われたときは動揺しましたね。「え、ブラジリアンワックス? 何それ?」みたいな。でも外国人の友達からすると、アンダーヘアの脱毛をすることはマナーで、「むしろ、ボウボウのままのほうがやばくない?」みたいな感じだったのを覚えています。

ただ、はじめてのブラジリアンワックスは、めちゃくちゃ痛くて……。

ブラジリアンワックスから、セルフプレジャーの世界へ

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ーどう痛かった?

ビリビリビリって……。今考えると、施術してくれた人が下手だったんだと思います(苦笑)。ただ、そんな痛い思いをしてでもアンダーヘアのケアをしたほうがいいという友人に感化されましたね。

そのときちょうど韓国に留学しようと思っていた時期で、韓国と言えば美容大国だし、美容先進国のブラジリアンワックスだったら、痛くないのかな……?と思って韓国で再チャレンジしてみたんです。そしたら全然痛くなくて! 

それに、毛がなくなっただけだけど、なんか気持ちが変わったというか、ストレスが減ったというか。そこからアンダーヘアのケアにハマって、女性器の研究を始めました。今ではそれを職業にしています。

ーアンダーヘアのケアをして気持ちが変わった?

はい、自分のお姫を愛せるようになりました。毛と一緒に過去のトラウマが無くなったというか……。

アンダーヘアの脱毛をしてすぐ、友人の影響ではじめてセルフプレジャーをしました。そのときの解放感は今でも覚えていますね。普通セルフプレジャーって性欲解消するものと思われがちじゃないですか。でも私にとっては違ったんです。自分のお姫を触ることで、過去のトラウマがなくなったような気がして……! こういうことを言うとまたスピリチュアルって言われちゃうんですけど。

実際に、ずっと悩んでいたアトピーが治ったり、身体全体が健康になったりと、身体にもいい変化が現れました。

セルフプレジャーは性欲を解消するだけのものじゃない?

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ーセルフプレジャーは、性欲を解消する以外の効果があると考えているのですね

はい。特に日本人女性は、セルフプレジャーに対して、恥ずかしいとかみじめとか下品っていう固定概念を持っている人が多いと思います。

でも、それは違います。私は、セルフプレジャーは、心と身体の健康につながる、そう考えています。

私は、自分がお姫に向き合っていくことは“必然”だと思っています。今はセルフプレジャーグッズの開発にも乗り出しています。

自身のトラウマから抜け出せた経験があるからこそ、声を大にして、セルフプレジャー最高っていいたい! 世の女性がお姫を愛せるような社会を作っていきたいです。
取材・文/毒島サチコ