細胞死に宿る美を描く。中北紘子の新作展『Apoptosis』

“Easter lily” -2023- 805mm x 1305mm(M60) Oil, sand and brass on canvas

“Easter lily” -2023- 805mm x 1305mm(M60) Oil, sand and brass on canvas

今春に開業5周年を迎えた、神戸のGallery Hiroko Nakakitaでは2026年2月27日(金)まで、現代アーティスト中北紘子の作品展「Apoptosis (アポトーシス)」を開催中です。

陽気で開放的な前回の展示「My California」から一転し、今回は中北紘子の感性に根ざす日本文化の美意識 ‘もののあはれ’ を通して、花や葉、鳥などをモチーフに移ろいゆく命の儚くも輝く美を捉え描いた作品を展示しています。

“Apoptosis” -2023- 1620mm x 1303mm(F100) Oil on canvas

“Apoptosis” -2023- 1620mm x 1303mm(F100) Oil on canvas

中北 紘子さんより、コメントも到着!

私は「作為と無作為の共存」をテーマに、大人が持つ打算(作為)と、子供が持つ純粋な感情(無作為)という相反する要素を、絵画の中に共存させ表現してきました。これまで花、栁、人魚姫、シャンデリアなどをモチーフに描いてきましたが、今あらためて考えると、それらに「儚さに宿る美」を見出してきたのだと思います。

桜の花は一度散ることで、また翌年新しい花が咲きます。花は散ることにより自らを殺すことで、桜の命は未来へと続いていきます。このある意味残酷な循環のなかに、私はえもいわれぬ生命の美しさを感じています。

日本とカリフォルニアを行き来して制作を続けるなかで、私は自らの感性が日本文化の美意識に根ざしていることに気付かされました。日本の感性を象徴する「もののあはれ」という言葉は、四季の移ろいなど外の世界に触れることで生じる、しみじみとした感動や情緒を意味します。永遠に不変のものではなく、死を前提とした移り変わるものにこそ美が宿るという考え方は、日本文化の根底に流れているのでないでしょうか。

今回の展覧会は「Apoptosis(アポトーシス)」と題しました。アポトーシスとは、生物が命を繋いでいくために、細胞にあらかじめプログラムされている「細胞死」のことです。花や葉、鳥などを、次の生命を育むために変化するものとして捉え直し、そこに儚くも輝く美を捉えてようと試みました。

“Heavenly” -2024- 652mm x 803mm(F25) Oil on canvas

“Heavenly” -2024- 652mm x 803mm(F25) Oil on canvas

中北紘子作品展「Apoptosis (アポトーシス)」概要

中北紘子作品展「Apoptosis (アポトーシス)」概要

会期:2026年2月27日(金)まで
場所:Gallery Hiroko Nakakita
兵庫県神戸市海岸通り3番地 シップ神戸海岸ビル1階
時間:11:00~18:00 金~月曜日 (火~木曜休廊)
入場料:無料
お問合せ:hirokonakakita.artgallery@gmail.com

イベントの詳細は、中北紘子さんの公式サイトをチェック!