【東京】西ドイツの再生を支えたデザインの力を探る「アイデンティティシステム」展、銀座で開催
ライター
菅原 麻葉
戦後の西ドイツを彩ったデザインの軌跡をたどる
Design: vista (Katharina Sussek & Jens Müller)
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)では、2025年5月27日(火)から7月5日(土)まで、第408回企画展「アイデンティティシステム 1945年以降 西ドイツのリブランディング」を開催します。本展は、京都dddギャラリーで好評を博した同名展の規模を拡大した巡回展で、戦後の西ドイツがどのようにして国家のイメージを再構築していったのか、その過程をデザインの視点から紐解きます。
展示では、デュッセルドルフのデザインスタジオ「vista」のカタリーナ・ズセック氏とイェンス・ミュラー氏が設立した「A5コレクション デュッセルドルフ」のアーカイブから、企業のリブランディングを担ったポスターやビジュアル・アイデンティティの展開例、デザインマニュアル、スケッチ、印刷サンプルなど、貴重な資料を紹介。これらの資料を通じて、敗戦からの驚異的な復興を遂げた西ドイツのデザインソリューションの体系的な発展を探ります。
1969 – Walter Breker – Minimal Art Exhibition (Kunsthalle Düsseldorf) – Brochure cover
デザインが導いた国家の再生とその背景
1963 – Otl Aicher, E5/HfG Ulm – Lufthansa – Ticket
20世紀初頭、ペーター・ベーレンスをはじめとするドイツのデザイナーたちは、後にコーポレート・デザインとして知られる世界初の例を創出しました。バウハウスやウルム造形大学などの教育機関も、システマティックなデザインソリューションをカリキュラムに取り入れ、ドイツのデザイン文化を形成していきました。
1971 – Anton Stankowski – Berlin–Layout – Design manual © Stankowski-Stiftung, Stuttgart
第二次世界大戦後、西ドイツはこれらのデザイン原則を再び取り入れ、1960年代初頭には新たな解釈を加えたシステマティックなデザインが形成されました。これらは、ルフトハンザ航空や1972年のミュンヘンオリンピックなど、多くの企業や組織、イベントのビジュアル・アイデンティティに結実し、民主主義国家としての西ドイツのイメージを視覚的に形づくる重要な役割を果たしました。
関連イベントとして、5月30日(金)17:00~19:00にギャラリートークが開催されます。出演はカタリーナ・ズセック氏とイェンス・ミュラー氏で、会場はDNP銀座ビル3F。入場無料・要予約(定員70名)で、英日逐次通訳が行われます。詳細は公式サイトをご確認ください。
1980 – Willy Chlormann – Lottery Competitions 1980 – Brochure cover
「アイデンティティシステム」展 概要
会期:2025年5月27日(火)~7月5日(土)
時間:11:00~19:00
休館日:日曜・祝日
会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1)
入場料:無料
1987年生まれ。OLで雑誌編集を行う傍ら、ファッション、美容、お出かけ系などのライター業も。ファッション初心者ゆえ、安い・着やすい・コーデしやすいアイテムに目が行きがち。身長162cm、ブルベ冬・骨格ストレート寄りらしい。インスタグラムは愛猫と食べログ3.5以上のお店巡りが多め