【新潟県長岡市にUターン】念願のものづくりの道へ。地元でやっと見つけられた本当にやりたかった仕事

安藤香織さん(27歳・ニットエンジニア)
DATA

22歳・都内の大学卒業後、大手百貨店の婦人服売り場に就職
24歳・退職後、学生時代にアルバイトをしていた飲食店で再びアルバイトとして働きつつ転職活動を開始
26歳・新潟県長岡市にUターン
同県見附市にあるニットメーカー『丸正ニットファクトリー』に就職
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実家のある新潟へ帰省する高速バス内。ふと背もたれのポケットにある移住イベントのチラシが目に留まった——。この運命的な出合いが、安藤さんをUターンへとかじを切らせた。
「都内の百貨店で販売員として働いていましたが、職場の雰囲気に違和感を感じたこと、売り手よりも作り手になりたい想いが募ったことで退職。東京で転職活動をしている時に偶然知ったのがUターンや移住についての説明会でした。それがきっかけで、今まで考えたこともなかったUターンもアリかもと思い始めて。そこで紹介された、表参道にある『新潟館ネスパス』内の『にいがた移住支援デスク・ココスムにいがた』と『にいがたUターン情報センター』に相談。窓口担当の方が親身になって、今の会社を提案してくれました」
Uターンの決め手は、希望の技術職に出合えたから。
「ニット製造のエンジニア枠で採用していただき、ついに作り手になれることに。決まった時は、すがすがしい気持ちでした。この職でなければ今も東京に残っていたかもしれません」
Uターンは誰にも相談せずに決めたという安藤さん。
「親に相談したら、きっと『それなら帰ってきたら』と言ってくれるだろうなと。でも、自分の意志で、自分のやりたいことがある状態で帰りたくて、相談はしませんでした
故郷に戻ってきたことで、心にも余裕が生まれた。
「ビルが所狭しと建っている東京では、通勤途中に目に入ってくる看板など、視覚情報の多さに疲れを感じていました。今は車通勤なので、目に入ってくるのは田んぼなどの自然。頭がクリアになって、物ごとを考えるゆとりができました。一日も早く、この仕事で一人前になりたいと思っています」
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一着がほぼ完成形の状態で編み機から出てくる「ホールガーメント(無縫製)」に魅了された安藤さん。「簡単な編み地のニットであれば1着1時間、複雑な編み地は1着約3時間で編み上がります」。仕事中は、汚れてもいいシンプルなデニムスタイルが基本。
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暖かくなると、休日は同僚と山登りやキャンプをして過ごす。「東京時代の休日は、疲れすぎて家で寝てばかりいました。今はアクティブに楽しめるようになり、充実しています。気楽につきあえる同僚に恵まれて、幸せです」
この特集では……
Uターン『地方出身で、東京近郊で働いた後、地元に戻って働いている』という定義にしています。
取材・文/海渡理恵 撮影/露木聡子