神木隆之介と門脇麦の巧さに唸るSF映画『太陽』

神木隆之介と門脇麦の巧さに唸るSF映画『太陽』_1
前川知大が主宰する劇団イキウメによって2011年に初演された舞台を映画化した話題のSFドラマ。蜷川幸雄により2014年に「太陽 2068」として上演され話題になったので、知っている人もいるのでは? 舞台では具体的なセットを置かずに抽象化して描いていましたが、映画ではそうはいきません。登場人物たちが着る洋服や住んでいる家、背景や美術など、あらゆるものを具体的に表現することに対し、「提示する恐ろしさがあった」と語りながらも、映画ならではの世界観を『SR サイタマノラッパー』で知られる入江悠監督が見事に構築しました。

物語の舞台はバイオテロにより人類が激減し、新人類“ノクス”と旧人類“キュリオ”に二分された世界。若く健康な肉体を手にしたノクスと、彼らに管理されて貧困を強いられながらも、太陽の下で自由を謳歌しているキュリオの暮らしが対照的に描かれます。キュリオに比べて遥かに豊かな生活を送っているように見えるノクスですが、太陽の下で暮らすことができない彼らは、果たして本当に幸せと言えるのか。そして生きている実感を持つことができているのか。タイトルである『太陽』の意味を突きつけるストーリーに注目です。

W主演を務めるのは、本作が初共演となる神木隆之介と門脇麦のふたり。幼なじみのキュリオ役ながら、ノクスへの転換手術を希望する神木演じる鉄彦は、自分の運命を呪い、生への欲望をストレートに追い求める男の子。粗野で直情的な振る舞いは時に痛々しくも見えますが、ここまで振り切って演じられる彼の実力に、改めて驚かされます。一方、門脇が演じるのは、家族を捨ててノクスに転換した母を恨み、キュリオとして前向きに暮らす結。自分の意志ではなく、周囲によってガラリと立場が変わっていく重要な役どころを、そこにただ佇むだけでドラマを感じる、唯一無二の存在感で演じています。築いてきたキャリアや出演してきた作品のジャンルは対照的ですが、同年代の中でダントツに巧い彼らの演技合戦がたっぷり堪能できる1本。ハリウッドのSF大作とはまた違う、リアリティのある新しいSF映画としても見応えアリです!

(文/松山梢)

●公開中

©2015「太陽」製作委員会

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