【創刊45周年特別連載】45歳。私が選ぶ道 ——伊東美咲さん

今回のゲストは2000年代、連続ドラマに次々と主演し、女性の憧れだった伊東美咲さん。今も変わらないその美しさの秘密は、あくなき向上心にありました。

2022年MORE11月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。

「自分の可能性を確かめたくて、未知の世界に飛び込みました!」

女優・伊東美咲さん
「女優としてだけでなく、ひとりの人間として自分を磨き直して、社会に貢献できる人になりたいと思っています」

トップス¥69300/コロネット(ヴィンス) イヤカフ¥53900/Hirotaka 表参道ヒルズ(ヒロタカ)

20代の頃

振り返ると、人生って本当に何が起きるかわからないですよね。もともと幼児教育の資格を取るために大阪の短大に通っていました。「芸能界」なんて考えてもいなかったのですが、事務所の方にスカウトされたのがきっかけで、想像もしていなかった世界に飛び込むことになりました。不安もありましたが、未知の世界で自分はどこまでできるのだろうかという可能性を確かめたくて、迷わず上京しました。

大きなCMや雑誌モデルの仕事が早い段階で決まって、女優の道へ。そこからは連投に次ぐ連投で、休みなく連続ドラマに出演することになりました。でも、若い頃から俳優のキャリアを積んできた方と比べると私はほぼ素人。うまく演技ができなくて悔しい思いもしましたし、外見だけでなく、中身も磨かなければならないという壁にもぶつかって。でも、それで落ち込んでいたりする時間がないくらい、当時は忙しかったですね。

ほとんど寝ていない中での真夏のプールのロケや、夜中過ぎてからの泣きの芝居を2本連続で撮ったり(笑)。睡眠不足で集中力がなくなると長セリフも飛んでしまうし、体力的にかなりきつかったです。それでも乗りきれたのは、若かったからだと思いますね。

私自身は平和主義者で競争心も強くないほうなのですが、当時、私と同じようにモデルから女優になる方が多かったので、自然と「私も頑張らないと!」という気持ちが芽ばえて頑張れたような気もします。この世界で生き残るのは、やっぱり誰よりも努力をして輝いている人。かつガッツがないとその場所には立てないんですよね。毎日本当に忙しかったけれど、いろいろな人との出会いがあって、友人もできて充実した20代だったと思います。この世界に入る時もそうでしたが、人生の岐路に立った時、私は何かを失うかもしれないということより、新しい出会いなどプラスの面を見て、より幸せなシナリオを描けるほうを選択しています。自分の人生なんだから、自分のやりたいようにやる、というのが私の生き方なんです。
伊東美咲さん2005年MORE8月号表紙
「28歳の頃。『電車男』に出演して、いちばんハードな毎日でした」
2005年MORE8月号

30代の頃

ずっと仕事一筋で走ってきて、ひと息ついたのが30歳を過ぎた頃。そんな時に夫と出会って結婚。30代は、お仕事は少し休んで、子育てに専念することになりました。仕事はまたいつかできるけれど、子育てはその時しかできない。そんな貴重な時間を大事にしたいと思ったので、仕事か、家庭かで迷うことはありませんでした。

子育ては大変なこともありましたが、一緒に過ごす時間は豊かでしたし、子どもを通して、学ぶことがたくさんあり、私自身も成長できたと思っています。

5年前、ビジネスをきっかけにハワイに教育移住しました。英語教育はもちろん、自然と共存できる環境で育ってほしいと思ったからです。また、ハワイにはいろいろな国の人がいて、さまざまな文化や価値感と接することができるので、それはすごい財産ですよね。多様性を学んで、グローバルに活躍できる人間になってほしいですね。

45歳の今

最近、通信制で臨床心理士の資格を取る勉強を始めました。きっかけはコロナ禍です。メンタルが弱ってしまった友人がいて、私なりに相談に乗っていたのですが、もっと専門的に理論づけてアドバイスできたらと思ったんです。

40歳を過ぎての学びは新鮮ですね。周りでもコロナ禍をきっかけに学び直したいという友人が多くて刺激を受けています。資格を取るのには時間がかかるけれど、子どもの心のケアにも役立てられるように諦めずに極めたいですね。

40代は子育てに専念するのではなくて、新しいことにどんどんチャレンジしたいです。女優としてはもちろんのこと、ひとりの人間としても自分を磨き直したい。そして困っている人の手助けをして、社会に貢献できるような人になりたいと思っています。

悩める読者へのアドバイス

もっと成長したいなら美意識を極めよう!
自分をもっと成長させたいと思ったら、5年後、10年後、自分がどうありたいかという目標をしっかりと掲げること。そして外見、内面、ライフスタイルを含めた美意識を極めていってください!

PROFILE

Misaki Ito
1977年、福島県生まれ。『CanCam』専属モデルを経て、2000年に女優デビュー。ドラマ『電車男』でのヒロイン・エルメス役など、数々のヒット作に出演。代表作にドラマ『危険なアネキ』、『山おんな壁おんな』、『エジソンの母』など
Misaki’s 45years
22歳 雑誌『CanCam』で専属モデルを務める
    ドラマ『らぶ・ちゃっと』で女優デビュー
25歳 ドラマ『逮捕しちゃうぞ』でドラマ初主演
    映画『模倣犯』で映画デビュー
27歳 映画『海猫』で映画初主演
    日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞
28歳 ドラマ『電車男』でヒロイン役を演じる
29歳 CM起用社数ランキング年間首位を獲得
33歳 第一子出産
38歳 第二子出産
40歳 第三子出産
    ハワイに移住
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撮影/YUJI TAKEUCHI(BALLPARK) ヘア&メイク/岡野瑞恵 スタイリスト/大沼こずえ(eleven.) 取材・原文/佐藤裕美 ※MORE2022年11月号掲載