シオリーヌさん教えて! “妊活”ってどうですか?

シオリーヌさん
「妊活は、ふたりで話し合い一緒に進めるプロジェクト」
30歳に向けて妊活をスタートしてみたら、検査でまさかの事実が発覚! パートナーと一緒に歩んだ治療経験が、発信の原動力に。

【PROFILE】シオリーヌさん

「性の話をもっと気軽にオープンに」をテーマに活動する助産師&性教育YouTuber。著書に『やらねばならぬと思いつつ』など

病院の検査でまさかの展開に

今回の特集に登場してくれたシオリーヌさんは、2021年に新しい命を授かったばかり。

シオリーヌ「自分の中で30歳をひとつの節目に考えていたので、〝保活〟なども考えて妊活の時期を逆算。30代の一年はとても貴重な時間だから、後悔しないために万全の心意気で臨もうと、夫婦でブライダルチェックを受けました

すると、ホルモンの乱れなどで排卵が起きにくい「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」が発覚。

シオリーヌ20〜30代女性の約5〜8%が経験する病気と知ってはいたけれど、まさか自分が……と本当にびっくり。でも、原因を知らないまま何年も妊活に費やしたかもしれないと思うと、検査を受けて本当によかったと思います」

すぐに治療を始めたものの卵胞がなかなか育たず、服薬で生理を起こして一度治療を中断する「リセット」を経験。先が見えない日々を支えたのは、パートナーであるつくしさんの存在や、YouTubeチャンネルに投稿することだったそう。

シオリーヌ「できるだけつくしと一緒に通院することで状況を共有できたのは助かりました。治療ってやっぱりきついし、落ち込むこともありますよね。私はモヤモヤした思いをつくしとの会話やYouTubeで言葉にできたけれど、誰にも言えずに頑張っている方はすごくしんどいと思います」

妊活って私のわがままなの?

その言葉どおり、YouTubeチャンネルで「PCOS日記」として日々の様子を公開すると、そこには多くの共感コメントが。

シオリーヌ「治療中は診察日に次の予定が決まるから仕事のスケジュール調整が大変だし、調整のたびに『申し訳ありません』って謝ることもすごく多くて。そうすると、“子どもが欲しいって、私のわがままなのかな”と思わされる瞬間もたくさんありました。妊活している人が自分を責めたり謝ったりせず、自分らしくいられる社会にしたいですよね」

そして治療開始から約3カ月後、卵胞が無事に育ってきた段階で人工授精を決意。

シオリーヌ「タイミング法という選択肢もありましたが、今後もし卵胞が育たなかったら後悔すると思ったので、今できる最大限のことをしようと決めました

その後、無事に排卵し妊娠が確定するも、その事実を受け止めるには時間がかかったそう。

シオリーヌ「助産師という仕事柄、何が起きるかわからないことを知っているので、ずっと『妊娠しています』という言葉を口にできなくて。不妊治療のクリニックを卒業する日に初めて『妊婦になった気がする』って言えたくらい。今も妊婦(仮)な気分です。きっと不安な思いをしている人も多いと思うので、私自身が妊活を通じて学んだこと、考えたことをこれからも発信していけたらいいなと思います」

シオリーヌさんの妊活ヒストリー

妊活スタート

妊活を決意し、ピルをやめる。
久々の生理は重くて寝込むほどのつらさ。

妊活3カ月目

ブライダルチェックのようす
夫婦でブライダルチェックへ。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の治療開始。
排卵を起こしやすくする治療を始めることに。

妊活4カ月目

子宮鏡検査、卵管造影検査を受け、妊娠を妨げる要因をチェック。
特に問題なし。

妊活5カ月目

初めての「リセット」。
「今まで払った薬代の意味って……」と落胆。

妊活6カ月目

人工授精の時のようす
人工授精にチャレンジ。
子宮に精子を注入、排卵を待つ。

妊活7カ月目

排卵確認。
「期待しすぎちゃいけないと思う自分がいた」

妊活7カ月目

妊娠確認。
不妊治療クリニックから産婦人科へ転院。

やってみてわかった! 妊活これが大事

①「妊活はふたりの共同プロジェクト」という意識で

「当たり前だけれど、妊娠は共同プロジェクト。一緒に勉強したり、先の見通しを立てるために歩みを揃えておくのはすごく大事!」

②まじめなことをしっかり話し合える関係づくり

「妊活以前に大事な話ができる関係性は何より大切です。気持ちを言葉にするのは難しいけど、うやむやにすると何も変わりません」

③ライフプランをふたりですりあわせておく

「お互いが大事にしたいことなどを共有すると、同じ方向を見ている安心感が持てるし、すれ違った時も軌道修正しやすいと思います」
撮影/天日恵美子 取材・原文/国分美由紀 構成・企画/西脇素子(MORE)