金継ぎや藍染めを通してSDGsに貢献! おすすめの教室や、自宅でできるキットを井桁弘恵が紹介
つづく、つづける。モアモデル・井桁弘恵と一緒に学ぶSDGs【Vol.24】
日々、よく耳にする“SDGs”という言葉。なんのために取り組むの? 私にできることは何? SDGsに興味を持ち始めた井桁弘恵が、そんな疑問に向きあいます!
割れたり欠けたりした食器を、漆と金粉を使って修復する「金継ぎ」。古くから日本で受け継がれてきたこの伝統技法を学んで、ものとの向きあい方を見直そう。
What’s SDGs?
国連で採択された、2030年までに達成すべき17のゴールのことで、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。私たちが地球に住み続けるために、貧困、飢餓、環境、教育、ジェンダー平等などの問題を、世界が協力して解決することを目指す。
伝統技法を通して、「ものを大切にすること」を学ぶ
アップサイクルで生み出す“捨てない”という選択肢
教えてくれたのは……
金継ぎを通して学ぶ、伝統技法とSDGsの関係性って?
「茶の湯文化が花開いた室町時代に誕生した『金継ぎ』は、廃棄する際に埋め立て処理するしかない割れた陶磁器を、捨てずに再生させる伝統技法です。ゴミの発生量を、リサイクル・リユースで減らすことを目指した、SDGsの12番『つくる責任 つかう責任』の達成につながります。日本では、おうち時間が増えたコロナ禍に注目を集めました。近年は、海外でもウェルビーイングの効果があるとして関心が高まっています」(俣野さん、以下同)
『金継ぎつぐつぐ 恵比寿本店』
所要時間は1時間! いげちゃんが実際に金継ぎを体験!
金継ぎは、割れた破片の接着、欠けを埋める、傷の表面を平らにする、黒漆を塗る、金粉をまくの全5工程。『つぐつぐ』のワークショップでは、最終工程の仕上げの部分を体験することができるからまずはトライ!
1. 削る
水に浸した紙やすりで、黒色の漆を塗った部分を、力を入れずに優しく研磨する。なめらかにすることで、次に塗る漆の接着がよくなる
2. 漆を作る
パレットに出した生漆を、へらで空気に触れさせながら、水分をとばすように混ぜる。色が変化したら、朱色の弁柄粉を加えてよく混ぜる
3. 漆を塗る
❷で作った弁柄漆を、黒の漆が塗られた部分に、はみ出ないように薄く塗り広げる。厚く塗ると、仕上げの金粉が沈むので要注意!
4. 金粉をまく
弁柄漆の上に金粉を、真綿を使って、ほうきで優しく掃くようにのせたら完成!
初めての人でも安心! 金継ぎQ&A
Q. どんな器でも直せる?
A. 時間はかかりますが直せます!
「粉々に割れた器でも修復することが可能です。ただ時間と忍耐力が必要で、難易度もぐんと上がります。また、和食器や洋食器だけでなくガラス製品も、高い技術を必要としますが金継ぎすることができます」
Q. 習得するのにかかる所要時間&費用は?
A. 教室に通うと、10回(1回90分¥6600、回数券割引あり)ぐらいはかかります
「教室では、2〜3カ月かけて10回ほど受講していただければ、金継ぎの基礎を習得できます。破損レベルによりますが、1回につき約3〜8皿まで修復が可能です。ほかにも、金継ぎ体験をせずに修理のみ承るサービスも!」
Q. 金色以外にもできる?
A. どんな色でもできますよ!
「金継ぎの仕上げ色は、金、銀、プラチナ、黒漆、弁柄漆をはじめ、ピンク、黄色、青といったカラーなど、真っ白以外の15色以上を用意。色彩豊かな洋食器も美しく修復できます」
Q. 自分ひとりでもできる?
A. オンラインで買えるキットもあります!
「30年以上も漆芸に携わる柴田克哉先生監修の本格的なキットには、手順書と、YouTubeの解説動画(日本語・英語)がついています。初心者でも、気軽に金継ぎに挑戦できます」
生漆、木・砥粉、色粉、筆、へら、パレット、サンドペーパー、金粉、真綿、手順書などがセットに。
「つぐキット金」¥9980/つぐつぐ
リメイク体験はほかにもいろいろ!
着られなくなった服を再生する「藍染め」
汚れや色落ちで着られなくなった服は、天然藍染めで染め直してアップサイクル。廃棄衣料削減に貢献しよう!
─ 久留米かすり 池田絣工房 ─
天然藍染めした糸を手織りして作る「久留米かすり」。制作工程の体験ツアーや、持ち込んだアイテムの藍染め体験が可能(要予約)。
◆福岡県筑後市久富1840 ☎0942-53-2416
10:00〜17:00 不定休(要確認) ■https://ikedakasuri.jp/
使い古した布をリサイクル「裂き織り」
江戸時代にはすでにあった「裂き織り」。古布を裂いて、昔ながらの地機で織り込み、衣服や小物にアップサイクル。
─ 南部裂織保存会 ─
体験教室(約60分)では、着られなくなった綿のゆかたやブラウスを、手織りの機を使ってテーブルセンターに生まれ変わらせることができる。
◆青森県十和田市大字伝法寺平窪37の2 道の駅とわだ
☎0176-20-8700 10:00〜16:00 休/月曜
■https://sakiori.jp/ ●体験教室¥2500
いげちゃんのSDGsなコツコツ日記。
破れてしまった服をリペアしました!
「金継ぎは、ただ壊れたものを修理することではないなと。自分で時間をかけて修繕することで、そのものへの愛着をはぐくむ伝統技法だと思いました。以前、5年間愛用しているロンTの脇の部分が裂けてしまい、手縫いで補修しました。今も大事に着ています!」(井桁)
撮影/野田若葉(TRON) ヘア&メイク/後藤若菜(ROI) モデル/井桁弘恵(モア専属) スタイリスト/辻村真理 取材・原文/海渡理恵 ※MORE2023年11月号掲載