RADWIMPS野田洋次郎、映画初出演!の画像_1
ピエタとは聖母子像のこと。それがトイレとどう繋がるんだろう──。何とも興味深いタイトルのこの映画は、人気ロックバンド「RADWIMPS(ラッドウィンプス)」の野田洋次郎が主演をつとめるラブストーリーです。 野田さんが演じるのは、余命3ヵ月と宣告される青年・宏。画家になる夢をあきらめ、ビルの窓拭きのバイトをしながら生活するフリーターです。ある日、バイト先で倒れ病院へ運ばれるところから物語は始まります。検査結果は家族と一緒じゃないと聞けないと医師に言われた彼は、偶然居合わせた女子高生の真衣(杉咲花)に妹役を頼みます。それがふたりの出会い。生きているのに死んでいるような生活を送っていた宏が死を突きつけられたことで、真衣と過ごすことで、自分自身の生き方を見つめ直していく……というお話です。 病気×恋愛は映画ではよくある設定ですが、『トイレのピエタ』は松永大司監督が10年もの間あたため、満を持して監督デビューを飾った作品。手塚治虫が死の直前まで綴っていた日記の最後のページに書かれていたアイデア──がんの宣告を受けた患者が、何一つやれないままに死んでいくのはばかげていると、入院している部屋のトイレに天井画を描きだす、浄化と昇天の物語──をヒントに「排泄のための場所に描かれるピエタ。それは人が生まれて死んでいく、この世界そのものを表現しているのではないか」というテーマが添えられ、でき上がった完全オリジナル脚本です。 原作ものの映画化が多いなかでオリジナル脚本の映画はそれだけでもワクワクしますが、何がいいって、演技初挑戦の野田さんの存在感がいいんです! 「宏役は何かを創り出している人に演じてほしかった」という監督のたっての希望で、バンドの全作詞作曲を手掛ける野田さんに声がかかり、そのキャスティングは見事に的中。彼以外には考えられないハマり役に。宏から伝わってくるのは、ものすごく純粋で強烈で繊細な恋愛観と生死観。「自分はいま、ちゃんと生きているだろうか」と考えさせられる映画です。 (文/新谷里映) ●6/6〜新宿ピカデリーほか
映画『トイレのピエタ』公式サイト