あなたの幸せは家族ですか? 夢ですか? 映画『WISH I WAS HERE/僕らのいる場所』
“しあわせ”の定義は人それぞれで、好きな人と結婚することがしあわせだったり、夢を追い続けることがしあわせだったり、やり甲斐のある仕事をバリバリこなすことがしあわせだったり、さまざまです。映画『WISH I WAS HERE/僕らのいる場所』は、自分のしあわせ(=夢)を追いかけすぎて家族のしあわせが見えていなかった主人公が、父として、夫として、息子として、悩んで模索して成長していく姿をユーモアたっぷりに描いた自分探しの物語。
主人公は売れない俳優のエイダン・ブルーム(ザック・ブラフ)、35歳。何年も前にシャンプーのCMに出たきりなのに、いつか俳優として成功するという夢にしがみついて生きている。そんな彼を献身的に支え、家族の大黒柱となっているのは妻のサラ(ケイト・ハドソン)。夫のことは愛しているけど、現実を見てほしいというのが本音で、そろそろ我慢の限界!? そんなちょっぴりわけありのブルーム一家が“家族として”のしあわせを考えるきっかけとなったのは、子供たちが通う私立学校の授業料を払ってくれていたおじいちゃんがガンになったこと。授業料を払えず子供たちは退学しなくてはならなくなって……。
家族のために夢をあきらめるのか。三十代半ばで初めて現実と向きあうことになるダメ男エイダンが教えてくれるのは、「このままでいいのか?」と気づいたときに逃げないこと、勇気を持つこと。また、エイダンを応援し続けるサラには、いい女、いい妻、いい母ってこういう女性かも! と学ぶべきヒントがたくさん詰まっています。そして、今の自分にとっての“しあわせ”って何だろう……と考える、素敵な映画です。
(文/新谷里映)
●新宿シネマカリテほかにて上映中
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