多部未華子、今月は『過ぎ去りし王国の城』を読了!
未知の世界を前にして、 自分はどう変わるのか?
宮部さんの小説は『模倣犯』や『理由』を読んでいたので、今回もどっぷり推理ものを予想していたところ……。新作は、なんとミステリーにファンタジー要素が盛り込まれた作品! 存在感の薄い中3男子・真(しん)が拾ったヨーロッパの古城の絵にはとんでもない力があり、中に“入る”ことができるのです。真は同級生の・珠美の画力を借りて異空間を探険し、新たな仲間にも出会います。やがてお城にいる少女とある事件との関わりを知り――というお話です。 私自身は現実主義者なので、こんな超常現象に遭遇したら見なかったことにしてしまうかも(笑)。でも、予想もしないような事態を前にしたら、思いきって飛び込むのかな……? 私が違う世界に“飛び込んでみた”と言えるのは、20歳の時。それまではお仕事で疑問や悩みがあると、まずは両親に相談してから行動していました。でも20歳になって「もう大人なんだ。失敗するかもしれないけど、これからはまず自分の判断で動いてみよう」と決めたんです。それから6年――。たしかに強くなれた気がしています。真や珠美たちも絵に入って変われたのか、変われなかったのか。ぜひ作品で確かめてください! 彼らの置かれた環境も含め、心にずっしりくる一冊でした。
『過ぎ去りし王国の城』宮部みゆき
--------------------- MORE2015年8月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 取材・文/石井絵里 撮影/露木聡子 ヘア&メイク/赤松絵利(esper.) スタイリスト/轟木節子 ---------------------