鑑賞後はメイク直し必須! アカデミー長編の画像_1

『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』、『インサイド・ヘッド』など、アニメーションの美しさだけでなく、細部まで徹底的に練られた泣けるストーリーで知られるディズニー/ピクサー作品。今度の新作ももちろん泣けます。というか、映画館を出たあと確実にメイク直しが必要になるので注意が必要です。主人公はミュージシャンを夢見る12歳の少年ミゲル。家族の厳格な掟によって、演奏することはおろか音楽を聴くことも禁止されているものの、ある古い家族写真をきっかけに尊敬する伝説のミュージシャンが自分の祖先ではないかと思い込み、死者の国に迷い込みます。 死者の国とは、メキシコで故人の魂を迎える祭礼行事“死者の日”にだけ出現する、亡くなった人が暮らす巨大都市のこと。1年に1度先祖をお迎えするという文化や、あの世があるという考え方は日本人にもなじみ深く、ストーリーに親近感を覚えるのがまず魅力。そして劇中を彩る音楽がとにかくいい! 実は音楽が作品の本質を担う初めてのディズニー/ピクサー作品で、アカデミー歌曲賞を受賞した「リメンバー・ミー」は“いつまでも愛する人たちに覚えていてほしい”という願いが込められた、特に大きな意味を持つ名曲です。『アナと雪の女王』で「レット・イット・ゴー」を手がけたコンビが作ったもので、歌うキャラクターによって様々なアレンジが加えられ、ひとつの歌がこんなにもドラマティックに変化するのかと驚かされます。 そして最大の涙腺刺激ポイントは、死者の国から脱出するために奮闘するミゲルが、冒険の過程で直面する家族の秘密。音楽を禁止する家族の掟は、ひいひいおばあちゃんイメルダに起きたある悲しい出来事がきっかけだったのですが、彼女が生前に抱えていた深い悲しみと戸惑いと怒り、そして家族をひとりで守るために必死に生きてきたたくましさに、女性ならきっと涙を搾り取られるはずです。実はこの作品の原題はミゲルのひいおばあちゃんの名前から取られた『COCO』。100歳近い高齢でほとんど言葉を発することもなく、記憶も失いかけている設定なのですが、実写と見まごうリアルな手のシワを見るだけで愛おしくなる魅力的なキャラ。クライマックスには、生きている人間と死者の国に暮らす先祖たちをつなぐ、家族の愛を象徴する重要な存在になるので、ぜひ注目を。家族に無性に会いたくなる名作です。ちなみに短編『アナと雪の女王/家族の思い出』も同時上映。こちらもお楽しみに。 (文/松山梢) ●公開中 ©2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

映画『リメンバー・ミー』公式サイト